2011年5月31日に、
社会企業を推進している世界的な機関「シュワブ財団」が、
Social Investment Manual“という冊子を発行しました。

ソーシャル・インベストメント・マニュアル。
日本にあえて訳すと、「社会投資マニュアル」となります。

これは、昨今、「社会的投資家」と呼ばれる人々や組織の影響力が大きく
なってきていることに注目し、
どのように社会的投資家との関係を構築し、資金を獲得していくのかを、
実務家の観点からまとめられたものです。

「社会的」という言葉は、ときどき「慈善的」という言葉と混同されがちです。

ときどき、「社会的投資家」というもの対して、
「従来の資本主義的な投資家とは異なり、利益の見返りを多くは求めない」
「儲けが少なくても、社会的な意義のあることに投資をしてくれる」
というイメージが強く語られることもよく目にします。

しかし、実際には、社会的投資家も、投資先から多くの見返りを求めています。
もちろん、従来の投資家とは「見返り」の中身は異なります。
経済的なリターンだけでなく、社会的投資家は活動の中身も重視します。

つまり、経済的なリターンとは別に、
どのような社会的なインパクトをもたらしているのか、
そのインパクトをもたらすために資本を効率的に活用できるか、
スケールアップのプランは用意されているか、
独自のイノーべーションを創造しているか、
このような活動の「質」についての尺度にも大きく関心を払っています。

そのため、社会的投資家から資金を獲得するためには、
財務情報分析に加え、活動の中身に関する入念な計画が必要となります。
※その分、従来の投資家から資金を得るより負担は大きいともいえます。

そこで、冒頭で紹介した「ソーシャル・インベストメント・マニュアル」では、
社会的投資家との関係構築、資金獲得についての一般的な動向、
特に影響力のある社会的投資家の多い西欧の傾向について、
ビジネスパーソンにわかりやすく解説されています。

冊子の章立てとしては、以下のようになっています。

1. イントロダクション
2. 社会的投資の概要
3. 資金獲得プロセス
  - 利用可能な社会投資機関
  - 適切な社会投資機関の選び方
  - 社会的投資家へのアプローチ方法
  - デューデリジェンスの流れ
  - 財務情報についての交渉方法
  - 資金獲得後の社会的投資家との関係構築方法
  - 出口戦略
4. 補筆

社会的投資家とは何であり、
何のために投資をしているのか。

社会的投資家と関わっていく上で、
これをおさえておくことは、とても重要です。