7/20, 衆議院本会議で「2011年度第2次補正予算案」が可決されました。
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参議院での審議はこれからですが、
参議院での可決も見通されていること、並びに、
憲法上の規定により予算における「衆議院の優越」が認められていることから、
実質的に、衆議院で可決された予算案が成立したことになります。

2次補正予算の総額は1兆9988億円。
東日本大震災の復旧対策に要する予算が盛り込まれました。

財務省の資料によると、1兆9988億円の内訳は以下のようになります。

1.原子力損害賠償法等関係経費            2,754億円

(1) 原子力損害賠償法関係経費             2,474億円
○ 政府補償契約に基づく補償金支払い          1,200億円
○ 原子力損害賠償和解仲介業務経費等            13億円
○ 福島県 原子力被災者・子ども健康基金          962億円
○ 除染ガイドライン作成等事業               2億円
○ 放射能モニタリングの強化               235億円
○ 福島県外も含めた校庭等の放射線低減事業         50億円
○ 東電福島原発における事故調査・検証委員会経費      2億円
○ 「日本ブランド」復活のための対外発信力強化       53億円

(2) 原子力損害賠償支援機構法(仮称)関係経費      280億円
○ 原子力損害賠償支援機構(仮称)への出資金        70億円
○ 交付国債償還財源に係る利子負担            200億円
○ 東京電力に関する経営・財務調査委員会に必要な経費    10億円

2.被災者支援関係経費                3,774億円

(1) 二重債務問題対策                  774億円
○ 中小企業再生支援協議会を核とした相談窓口の体制強化   30億円
○ 中小企業基盤整備機構等が出資する新たな仕組み      1億円
○ 再生可能性を判断する間の利子負担の軽減        184億円
○ 震災により一旦廃業した中小企業者等対象の融資の拡充   10億円
○ 中小企業組合等共同施設等災害復旧事業
 (1次補正において155億円措置)             100億円
○ 被災地域産業地区再整備事業
 (1次補正において10億円措置)             215億円
○ 水産業共同利用施設の機器等(製氷機等)の整備の拡充
 (1次補正において18億円措置)             193億円
○ 木質系震災廃棄物等の活用可能性調査           1億円
○ 再生可能性のある医療・福祉施設に対する貸付債権の
 条件変更を推進するための福祉医療機構の財務基盤強化   40億円

(2) 被災者生活再建支援金補助金             3000億円
今般の東日本大震災に限った特例措置として、既に支給した支援金を
含め補助率(現行50%)を80%へ引上げ(20万世帯に対する支援金支
給に必要な規模)。

3.東日本大震災復旧・復興予備費            8000億円
東日本大震災に係る復旧及び復興に関係する経費であって、予見し難
い予算の不足に緊急に充てるためのもの。

4.地方交付税交付金                  5455億円
東日本大震災に係る被災自治体等の特別な財政需要に対応。その中で
東日本大震災復旧・復興予備費使用に係る地方負担、被災者生活再建
支援制度の地方負担に係る積増し分等にも適切に対応。

合計                        1兆9988億円

この第2次補正予算の財源については、国債を充てずに、
平成22年度(2010年度)決算剰余金により賄うこととされています。

この決算剰余金とは、予算を策定したときの想定と、
実際に予算年度を終えて決算を行った時の差額のことです。

財務省の資料によると、2010年度の決算剰余金は1兆4651億円。
そのうちの1兆4533億円を今回の補正予算のために投入し、
残りの5455億円は地方交付税交付金財源を投入するということです。

また、通常この決算剰余金は、財政法の取り決めにより、
半額以上を公債の償還に充てることが定められています。
今回の決算剰余金の補正予算への活用は、特例法を経て可能となります。
結果として、国債の償還に充てられる額が減少することとなります。
言うなれば、新たな借金はしないものの、
以前借りた借金の返済額が少なくなるということです。

政府を中心に、復興後の日本の未来についての検討が進められていますが、
今回の2次補正予算には長期プランのための予算は盛り込まれていません。