今月、Ernst&Young社が、
“Shareholders press boards on social and environmental risks”
というレポートを発表しました。
そこで、報告されているのは、2010年の主要企業の株主決議の中で、
持続可能性に関する案件への支持票が急速に増えてきたということです。
同レポートよると、企業経営者は、30%以上の支持を集める株主決議案件については、
真剣に取り組むでいく傾向があると報告しています。
2005年には、30%以上の支持を集めた持続可能性関連案件は2.6%と、
株主の多くの共感を呼ばなかったの対し、
2010年にはこの割合は、26.8%にまで増加、
1/4以上の案件が30%以上の支持を集めるにまで至りました。
また、2011年には、株主決議全体に占める持続可能性関連案件が、
半数を超えるとまでレポートされています。
このように、持続可能性に関する関心が株主の間で高まってきた背景には、
何があるのでしょうか。
株主が急速に「社会貢献」に目覚めてきているのでしょうか。
レポートを作成したErnst&Youngの担当者は、その背景には、
「財務リスクやレピュテーションリスクに関する懸念の高まりがある」と報告。(コチラ)
すなわち、通常の事業運営をしていく中で、
持続可能性に関する取り組みを重視していくことが事業の安定性を高めると
株主はとらえはじめているようです。
Ernst&Youngは、今後の経営方針の中で、以下の取り組みを重視するよう
提案しています。
1. 取締役会: 社会・環境問題に起因する機会と脅威を真剣に議論する
2. 経営委員会: 社会・環境問題を専門に検討する委員会を設立する
3. 委員会構成: 取締役と社外取締役(環境専門家)を委員会メンバーとする
4. 具体的制度: 各社会・環境問題の優先順位を定める具体的サイクルを設ける
5. 説明責任: 社会・環境問題についての責任者を明確に定める
6. 報告: 定期的な報告制度を具体的に定める
7. 認証: 報告に対して社内外の認証を得る
持続可能性についての取り組みは、従来は熱狂的なCEOを中心に始まりましたが、
その流れが株主にも波及しつつあるように思います。