2012年2月10日に、復興庁設置法に基づき、内閣に復興庁が設置されました。

今日は、復興庁の中身を解説していきたいと思います。

○ 復興庁の役割

復興庁の役割は、復興庁設置法に以下のように定義されています。

① 東日本大震災からの復興に関する内閣の事務を内閣官房とともに
 助けること(内閣補助機能)
② 主体的かつ一体的に行うべき東日本大震災からの復興に関する行
 政事務の円滑かつ迅速な遂行を図ること(分担管理機能)

ここでのポイントは2つあります。

まず、復興庁は内閣の事務をサポートするために設置されています。
すなわち、組織上、内閣の直下に置かれている「庁」なのです。
例えば、金融庁、消費者庁などは、内閣府の下に置かれており、
内閣の直下ではありません。
さらに、復興庁は既存の府省の事務を調整するための昨日を持っているため、
他の府省よりも格上の存在として扱われることになっています。

2つ目のポイントは、東日本大震災という言葉の定義です。
復興庁設置法に置いて、東日本大震災とは、
「東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害」
と定義されています。
すなわち、原発事故からの災害復興も復興庁が担うことになっています。

○復興庁の具体的な事務

復興庁設置法では、具体的な所管事務を以下のように定めています。

① 内閣補助事務
・ 東日本大震災からの復興に関する施策の企画及び立案並びに総合調整
② 分担管理事務
・ 東日本大震災からの復興に関する行政各部の事業の統括及び監理
・ 東日本大震災からの復興に関する事業に関し、関係地方公共団体の要望の一元的な
 受理、当該要望への対応方針の策定、当該対応方針に基づく事業の改善又は推進等
・ 東日本大震災からの復興に関する事業を以下により実施
 ア 必要な予算を一括して要求及び確保
 イ 実施計画の策定
 ウ 事業を自ら執行又は関係行政機関に予算を配分すること等により執行させる
・ 東日本大震災からの復興に関し、関係地方公共団体の求めに応じて情報提供、助言等の協力
・ 東日本大震災復興特別区域法の施行事務
・ 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の施行事務
・ その他東日本大震災からの復興に関する施策に関すること 等

ここでのポイントは、
復興に関する各事業に要する費用を、既存の府省の管轄事項とせず、
復興庁によって一元管理・予算請求されるとしている点です。
これによって、府省による重複予算請求を防ぐとともに、
復興に要するお金の流れをクリアにすることで、
復興債の債権者に対する説明責任を明確にすることができます。

また、関係地方自治体からの要望窓口を一本化することで、
「どの府省の案件かわからない」「複数の府省の管轄にまたがる」とされる
案件を、復興庁が円滑に裁くことが期待されています。
そのため、復興庁が請求する予算は、一般会計ではなく、
平成24年度より新設予定の「東日本大震災復興特別会計(仮称)」において
計上されることとなっています。

○ 復興庁の組織

上記で説明した通り、復興庁は内閣府や内閣官房と並立に置かれています。


※出所:復興庁「復興庁の概要

また、復興庁内部の組織体制は以下となっています。


※出所:復興庁「復興庁の概要

復興庁のトップは内閣総理大臣ですが、復興大臣が実質的には取り仕切ることとなります。
復興大臣と復興副大臣を支える事務方として、
復興庁事務次官や復興庁統括官、統括官付審議官がいます。
復興統括官や統括官付審議官は柔軟にその都度必要な案件を分担して対応していきます。
復興大臣政務官は各復興局を担当し、復興局長を指揮し、事務を遂行します。
統括官付参事官も統括官や審議官、局長の指示のもと、柔軟に案件を処理していきます。

発足時の各人事は以下となっています。

内閣総理大臣:野田武彦
復興大臣:平野達男
復興副大臣:末松義規
      松下忠洋
      中塚一宏(内閣府副大臣と兼務)
復興大臣政務官:郡和子(宮城復興局等担当)(内閣府大臣政務官と兼務)
        大串博志(内閣府大臣政務官と兼務)
        吉田泉(福島復興局・茨城事務所担当)(財務大臣政務官と兼務)
        津川祥吾(岩手復興局・青森事務所担当)(国土交通大臣政務官と兼務)
復興庁事務次官:峰久幸義
復興庁統括官:岡本全勝
 (局長級) 上田健
復興庁統括官付審議官:佐川宣寿
 (局次長級)    伊藤仁
復興庁政策参与:鉢村健政(復興庁統括官付審議官と併任)
復興庁岩手復興局長:井上明
復興庁宮城復興局長:澤田和宏
復興庁福島復興局長:諸橋省明
復興庁統括官付参事官:青木由行
 (課長級)     安東義雄
           石塚昌志
           太田秀也
           岡本直樹
           尾澤卓思
           尾関良夫
           亀村幸泰
           木村実
           串田俊巳
           栗田卓也
           小林祐一
           阪口進一
           阪本克彦
           田島淳志
           寺岡光博
           中石斉考
           中島慶二
           福井仁史
           藤澤美穂
           前島明成
           村手聡
           森重樹
           諸戸修二
           山田英樹
           由良英雄
復興庁岩手復興局次長:菅井雅昭
復興庁宮城復興局次長:稲田幸三
復興庁福島復興局次長:濱邉哲也
職員:約250人(常駐のみ)(うち定員:118人)
   岩手復興局(22人)
   宮古支所(2人)
   釜石支所(4人)
   宮城復興局(24人)
   気仙沼支所(3人)
   石巻支所(3人)
   福島復興局(23人)
   南相馬支所(2人)
   いわき支所(2人)
   青森事務所(2人)
   茨城事務所(3人)   

<復興庁本庁の組織図>

※出所:復興庁「(参考資料1)復興庁の体制

<復興庁復興局の組織図>

※出所:復興庁「(参考資料1)復興庁の体制

各復興庁内組織の所在地と連絡先

■復興庁
〒107-0052 東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル
TEL 03-5545-7230(代表)

■岩手復興局
〒020-0021 岩手県盛岡中央通1-7-25 朝日生命盛岡中央通ビル6階
TEL 019-654-6609(代表)

■宮古支所
〒岩手県宮古市五月町1-20
岩手県宮古地区合同庁舎(県施設)内

■釜石支所
〒岩手県釜石市新町6-50
岩手県釜石地区合同庁舎(県施設)内

■宮城復興局
〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町4-6-1
仙台第一生命タワービル13階
TEL:022-266-2163、2164(代表)

■気仙沼支所
〒宮城県気仙沼市笹が陣3-5
気仙沼市シルバー人材センター(市施設)内

■宮城県石巻支所
〒宮城県石巻市新境町1-1-7
セシカ117内

■福島復興局
〒960-8031 福島県福島市栄町11-25 AXCビル7階
TEL:024-522-8514、8515、8519(代表)

■南相馬支所
〒福島県南相馬市原町区小川町322-1
サンライフ南相馬(市施設)内

■いわき支所
〒福島県いわき市平字堂根町4-11
いわき地方合同庁舎(国施設)内

■青森事務所
〒青森県八戸市大字尻内町字鴨田7
青森県八戸合同庁舎(県施設)内
TEL 0178-27-5251

■茨城事務所
〒茨城県水戸市北見町1-11
水戸地方合同庁舎(国施設)内

また、復興庁には、復興推進会議と復興推進委員会が置かれています。
復興推進会議とは、閣僚級の調整機関です。
復興推進委員会とは、有識者による助言機関です。

復興推進会議
議長:野田武彦 内閣総理大臣
副議長:平野達男 復興大臣
議員:その他すべての国務大臣
   副大臣、大臣政務官、関係行政機関の長のうち議長の指名する者

復興推進委員会
委員長:五百旗頭真(防衛大学校長、神戸大学名誉教授)
委員長代理:御厨貴(東京大学教授)
委員:飯尾潤(政策研究大学院大学教授)
   牛尾陽子(財団法人東北活性化研究センターアドバイザリーフェロー)
   大井誠治(岩手県漁業協同組合連合会代表理事会長)
   岡本行夫(東北漁業再開支援基金・希望の烽火代表理事)
   清原桂子(兵庫県理事)
   佐藤雄平(福島県知事)
   重川希志依(富士常葉大学大学院環境防災研究科教授)
   達増拓也(岩手県知事)
   星光一郎(福島県社会福祉施設経営者協議会長)
   堀田力(弁護士、公益財団法人さわやか福祉財団理事長)
   村井嘉浩(宮城県知事)
   横山英子(㈱横山芳夫建築設計監理事務所代表取締役社長)
   吉田文和(共同通信社論説委員)

さらに、震災後、政府の復興体制は、
東日本大震災復興対策本部・緊急災害対策本部・原子力災害対策本部の
3本部体制で進められてきました。
※詳しくはコチラ

今回、東日本大震災復興対策本部が、復興庁として組織が確立したことに伴い、
この3本部体制も、1庁2本部体制へと移行しています。


※出所:復興庁「(参考資料1)復興庁の体制

その中で、復興庁は、原子力発電所災害の復興を担うとしつつも、
実質的には原子力災害対策本部と役割を分担して担当していくかたちになっています。
下図のように、除染、国民の健康状況把握、補償・賠償などは原子力災害対策本部が、
それ以外の復興のためのインフラ整備、予算の手当などは復興庁が、
担当していくようです。


※出所:復興庁「(参考資料1)復興庁の体制

○復興庁の予算

平成24年度復興庁予算として、復興庁は総額3兆7,754億円を要求しています。
※出所:復興庁「平成24年度復興庁予算(案)の概要

(1) 東日本大震災復興交付金       2,868億円
(2) 東日本大震災復興調整費         50億円
(3) 福島避難解除等区域生活環境整備事業   42億円
(4) 復興特区支援利子補給金         11億円
(5) 復興関係事業費の一括計上      17,429億円
(主な内訳)
・公共事業等              4,881億円
・原子力災害復興関係          4,569億円
・災害廃棄物処理事業          3,442億円
・災害関連融資             1,210億円
(6) 復興庁一般行政経費           33億円
合計                  20,433億円
(7) 全国防災対策及び警察等の災害対処能力向上に係る経費や震災復興特別交付税等
                    17,321億円
総額                  37,754億円

ひとまず、復興を促進めるための復興庁が発足しました。
しかしながら、あくまで復興の主体は国ではなく地方自治体であるというのが、
復興の基本方針です。
皆さんの県市町村レベルでの支援をよろしくお願い致します。

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1件のコメント

  1. 18才 専門学生

    警戒区域に今だ取り残されている動物の保護活動をなさっている一般市民を逮捕したりしているようですが、何をお考えですか?あなたたちがするべき行動がされていないから自らの生活費を切り詰め危険承知でやっていただいているのに何が法ですか 勝手に決めないでください。寄付金をいい様に飲み食いされているんではないのですか 偉いと思われている方の給料ですか 動物で人間は救われていることがどうして理解できないのですか 人間だけが保護されて先進国とどうして言えるのですか 逮捕された方々は今も検事に呼ばれたりして時間も費用も遣っているなんておかしいと思いませんか もっと対面ばかりではなく根っこで動いてくださいよ 

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