ここ数年、企業に対して、ESG(環境・社会・ガバナンス)分野に関する法規制が、
欧米諸国を中心に強化しつつあります。

今回は、その中でも特に重要だとされているものをご紹介します。
BSRのレポートを参考にしました。

〇 U.K. Bribery Act 2010(2010年イギリス贈収賄防止法)

イギリスで2010年4月に制定された贈収賄防止法が、2011年4月に施行されます。
この法律は、過去になく適用範囲が大幅に拡大されているのが特徴です。
通常の贈収賄防止法は、国内に上場または登記している企業が対象なのですが、
この法律は、適用範囲が国境を超える、域外適用を認めています。

例えば、登記していなくても、イギリス国内の企業や個人と販売・調達の取引がある、
イギリス国内を通過する物流を行っているなど、なんらかの事業活動のつながりが、
イギリス国内にあれば、その企業は適用範囲となります。

また、イギリス国民に対しては、国外にいても適用されます。

そのため、日本に登記をしている企業が、インドで贈収賄行為を行ったとしても、
その企業がイギリス国内でも事業をすれば、その贈収賄行為にもこのイギリス法が
適用され裁かれます。

また、「贈収賄行為」の範囲も例のないほど拡大され、
いかなる「便宜行為」も例外として認められません。
企業や個人が、自分の利益のために、他者・他社に対して金品を渡す行為は、
すべて「贈収賄行為」として認識されます。
間に代理人等を介して行う場合でも、訴追されます。

この法を犯した場合は、個人に対し10年以下の懲役または禁錮が課せられます。
刑期の長さでも他に例を見ません。
例えこの法律に対する認識がなかったとしても、同法律は適用されます。
 

〇 U.S. Dodd-Frank Act(ドッド・フランク法)

この法律そのものは、リーマンショック後の金融規制強化のために制定されましたが、
同法1502条に、コンゴ民主共和国の紛争資源に関わる条文が盛り込まれています。

同法自体は2010年夏に制定されていますが、紛争資源に関わる詳細は、
SEC(アメリカ証券取引委員会)に審議に委ねられており、
SECは2011年4月に最終ルールを施行する予定としています。

紛争資源として定められているのは、錫、タンタル、タングステン、金の4種類。
そのほか、SECが必要と定めた場合には、他の鉱物も追加されます。

この法律の適用対象者は、アメリカで株式上場をし、さらに、上記の4種類の鉱物を
原料として必要とするすべての製造業者。
これらの企業は、この4種類の鉱物の原産国が、
コンゴ民主共和国および周辺諸国(スーダン、中央アフリカ、コンゴ共和国、アンゴラ、
ザンビア、マラウィ、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア)であるかどうかを
開示しなければなりません。
原料の直接の購入者でなくとも、調達先をたどり原産国を特定する必要があるため、
サプライチェーンの途中にいる企業に対しても事実上同様の努力が課せられることとなります。

ルールとして定められている要求事項は、
・原産国がコンゴ民主共和国および周辺諸国であるかどうかを開示しなければならない。
・原産国が当該諸国でない場合は、それを第三者機関などが認証しなければならない。
・原産国が当該諸国である場合や判断できない場合は、「紛争鉱物報告書」を作成しなければならない。

罰則については現在、SECにて検討されています。
 

〇 California Transparency in Supply Chains Act(カリフォルニア州サプライチェーン透明法)

カリフォルニア州で2010年9月に制定された州法です。
米国で社会問題となっている人身売買の防止を強化するために定められました。

カリフォルニア州内のすべての企業は、人身売買を防止するための取組につして、
ホームページ上などで公開することが義務付けられています。
また、国際人権規約を順守することも、同様に義務付けられています。
 

〇 EU Flegt Law(EU木材規制)

2010年にEU域内27か国に適用される木材規制が制定されました。

これは、違法な方法で伐採・生産された木材製品の取引を禁じるものです。

同法は2013年3月3日に施行され、以後、EU域内の木材取引企業には以下の義務が課されます。
・違法な方法で伐採・生産された木材製品の取引の禁止
・全ての木材製品がEU域内に持ち込まれた時点で、違法性有無のデューデリジェンスを実施。
・トレーサビリティ確立のため、全ての木材製品取引において買い手と売り手の記録。
 

〇 OECD Guidelines on multinational enterprises(OECD多国籍企業ガイドライン)

2011年5月に制定されたガイドラインで、環境、労働環境、人権、賄賂などについて、
多国籍企業が守るべき事項が書かれています。

こちらは法律ではありませんが、42か国が同ガイドラインに採択しており、
企業が自主的に守るべき規制として、今後認識されていく可能性が非常に高いです。

〇 UN Guiding Principles on Business and Human Rights(国連ビジネスおよび人権原則)

こちらも人権について書かれた国連のガイドラインで、2011年6月に制定されました。

企業経営において守るべき人権項目が説明されています。

OECDガイドラインと同様、法律ではありませんが、国連の人権委員会で採択されたものであり、
国内法の規制強化へと方向づけるものになる可能性があります。

 

企業のグローバル化とは、海外の法規制に対してもアンテナを張り、
順守していく努力を必然的に伴います。
今回紹介したものは、ぜひ日本のグローバル企業の皆さんにも知っておいて頂きたいと思う
ものたちばかりです。

世界の政財界関係者が一堂に会する世界経済フォーラム(通称ダボス会議)。

毎年1月にスイスのダボスで行われる年次総会に加え、
2007年からは毎年夏に中国でニュー・チャンピオン年次総会(通称夏季ダボス会議)が
開催されています。
今年2011年は、9月14日から16日まで大連にて開催されていました。

その中で毎年の恒例行事となっているのが、
ボストン・コンサルティング・グループが調査発表する
「ニュー・サステナビリティ・チャンピオン」(New Sustainability Champion)の発表。

この賞は、今日世界の経済成長課題に対して、革新的で実用的なソリューションを
生み出し推進し、グローバル社会に広めている組織に対して与えられます。
特に、経済活動インフラが整備されている先進国の政府、環境団体、グローバル企業
ではなく、より日々の苦労が大きい新興国の企業・組織を表彰するものとされています。

今年は、世界から合計16の企業・組織が表彰されました。
※レポート(英文)はコチラ

Broad Group (中国:製造業)
Equity Bank (ケニア:金融サービス業)
Florida Ice & Farm (コスタリカ:消費財メーカー)
Grupo Balbo (ブラジル:農業)
Jain Irrigation Systems (インド:製造業)
Manila Water Company (フィリピン:インフラ)
Masisa (チリ:林業/製造業)
MTR Corporation (香港:輸送業)
Natura (ブラジル:消費財メーカー)
New Britain Palm Oil (パプアニューギニア:農業)
Sekem (エジプト:農業)
Shree Cement (インド:セメント)
Suntech (中国:再生可能エネルギー)
Suzlon (インド:再生可能エネルギー)
Woolworths (南アフリカ:小売業)
Zhangzidao Fishery Group (中国:農業)

この審査にあたっての評価基準は、以下となっています。

1. イノベーションにより、積極的に活動制約を機会に転換した
  - 不足する資源に対処した
  - 顧客を教育した
  - 顧客に適切な資金を供給した
2. 企業文化の中にサステナビリティを埋め込んだ
  - 大胆にサステナビリティビジョンを定義した
  - サステナビリティ向上を日々のオペレーションの中に組み込んだ
  - サステイナビリティ向上のための人事施策を導入した
3. ビジネス環境を主体的に生成した
  - 政策や基準策定に影響力を発揮した
  - 共通目的の達成のためのパートナーシップを締結した
  - サステナビリティの重要性を周囲に認知させた
4. 同業界の他社より財務成績が良い


※出所:World Economic Forum “Redefining the Future of Growth”

それではここから、それぞれの受賞企業と受賞理由を紹介していきます。

〇 Broad Group

・本社所在地:中国・長沙
・従業員数:約2000人
・事業内容:電気を使わないエアコンの製造および設置
・売上高:USD379 million (2008)
・電気供給不足の中、エアコンの普及率が進む中国において、電気の代わりに天然ガスと臭化リチウ
 ムの混合溶液を使うエアコンを開発し、現在、非電気エアコンマーケットシェア国内50%。
・電気式エアコンに比べ、電気効率は2倍。二酸化炭素排出量は1/4に削減。
・製品は70か国に輸出されている。
・エネルギー効率を高める技術開発を重視し、その他のエコ製品を多数上市。
・従業員用住宅無料化、ジム完備、オーガニック料理提供など従業員福利厚生も充実。

Equity Bank

・本社所在地:ケニア・ナイロビ
・事業内容:農業銀行
・売上高:USD274 million (2010)
・国民の3/4が農業に従事するケニアで、農家の生活改善に寄与する金融サービスを幅広く提供。
・農地の肥沃化や肥料への融資のほか、農家への金融教育なども実施。
・ケニアの携帯電話会社Safaricomと提携し、携帯電話上での情報サービスも展開。
・長期的なシナリオに基づく、経営戦略や事業計画を策定。
・数多くの国際機関やNGOと協働。

〇 Florida Ice & Farm

・本社所在地:コスタリカ・サンホセ
・事業内容:飲食料品製造・販売
・売上高:USD571 million (2010)
・トリプルボトムライン経営を実施。環境、社会的な指標を利益と同程度に重要視。
・例えば飲料品製造における水資源消費量を半分以下にまで削減。
・経営陣のパフォーマンス評価もトリプルボトムラインの指標を活用。
・トリプルボトムライン経営を他社へ広げるべく、政府やNPOと協働しノウハウを体系化。

〇 Grupo Balbo

・本社所在地:ブラジル・サンパウロ
・事業内容:製糖業
・売上高:USD350 million (2010)
・農薬や肥料が生物多様性に悪影響を与える製糖業において、20年前から無農薬製糖を実施。
・当初は低生産に悩んだが、現在は微生物農法を確立し、業界平均より20%高い生産性を実現。
・ノウハウを広く普及さえるため、情報を広く公開。
・政府と協働し、無農薬製糖の認証制度の制定を推進。

〇 Jain Irrigation Systems

・本社所在地:インド・ジャルガオン
・事業内容:農業用灌漑設備メーカー
・売上高:USD820 million (2010)
・水資源の希少性が増すインドで、水利用効率を高める細流灌漑設備を小規模農家に提供。
・肥料、水、農薬などの利用ノウハウも併せて伝授し、生産性向上とコスト削減を同時に実現。
・灌漑への投資を可能とするため、農家の政府補助金獲得や金融機関からの融資獲得を支援。
・灌漑ノウハウを教育するため、地域人材採用を重視。
・地域イベントの参加など、地域に溶け込んだプロモーションを実施。

〇 Manila Water Company

・本社所在地:フィリピン・マニラ
・事業内容:水供給業
・売上高:USD415 million (2010)
・慢性的な水供給不足に悩むマニラにて、地域と一体となり水供給網を確立。
・新設備を導入し、供給過程で失われる浪費水量を大幅に削減。
・地域社会と協働し、盗水を監視し、水の安定供給を強化。
・二酸化炭素排出量など環境指標を経営に導入。

〇 Masisa

・本社所在地:チリ・サンティアゴ
・事業内容:林業および木工業
・売上高:USD1,080 million (2010)
・森林伐採が進むラテンアメリカで、持続可能な林業・木工業を推進。
・30000人の大工をネットワーク化し、大工ノウハウの共有と生活水準向上に貢献。
・生活水準向上に伴い、持続可能な林業で生産された木材原料の購入促進を実現。
・林業の規制強化を政府と協業。
・低所得者層向けビジネスプランを従業員から広く募集し、事業化。

〇 MTR Corporation

・本社所在地:中国・香港
・事業内容:公共交通機関
・売上高:USD4,316 million (2010)
・人口密度の高い香港にて、環境・社会への影響を最小限にとどめた交通網整備を推進。
・人に優しい駅構内整備や、美観を意識した公園設計などを実施。
・リスクマネジメントや利害関係者の関心を経営戦略に盛り込む。
・中国で最初にサステナビリティレポートを発行。

〇 Natura

・本社所在地:ブラジル・サンパウロ
・事業内容:コスメティクス製造・販売
・売上高:USD3,047 million (2010)
・政府、NGO、地域と協働して設定した環境持続可能性基準を順守した原材料調達を実施。
・地域との信頼関係構築に成功し、地域からの原材料調達やノウハウ獲得で強みを発揮。
・製品の容器にリサイクル容器を用い、環境負荷をさらに削減。
・管理職層や利害関係者に対する持続可能性教育に多額資金の投資。
・地域社会への啓蒙活動を行うNPOを設立。

〇 New Britain Palm Oil

・本社所在地:パプアニューギニア・モサ
・事業内容:パーム油等製造・販売
・売上高:USD470 million (2010)
・パーム生産を草原や荒廃林地に限定し、原生林を保護。
・パーム供給者に対して認証を発行し、サステイナブルなパーム生産を義務化。
・パーク農場において、購入ではなく貸借形態をとり、地域社会に利益を還元。
・NGOとの協働を積極化し、地域社会との信頼関係構築を実現。
・パーム油のトレーサビリティを確立。

〇 Sekem

・本社所在地:エジプト・カイロ
・事業内容:オーガニック食材酪農業
・売上高:USD34 million (2009)
・微生物を活用した有機農法にて、健康食品から乳製品、蜂蜜などを栽培・生産。
・有機廃棄物は微生物分解により肥料として再利用。
・無期廃棄物は紙資源の原料やビニール袋としてリサイクル。
・利益の最大化は目指さず、契約農家に対して利益を還元。
・設立したNGOを通じて、契約農家に対する教育活動も展開。

〇 Shree Cement

・本社所在地:インド・ビーワー
・事業内容:セメント業
・売上高:USD809 million (2010)
・エネルギー生産性を高めるためのシステムを導入。バイオマス発電所も設置。
・生産過程廃棄物「溶滓」を最小限に抑える製法を開発し、気候変動枠組条約事務局から表彰。
・粗悪石灰岩から石膏を創る技術、亜鉛鉱滓を再利用する技術、コークスによる火力発電技術を開発。
・水消費量を最小限にとどめる生産技術も開発。
・従業員に対するサステナビリティ教育も充実。
・高レベルのサステナビリティレポートを発行。競合会社も招いたノウハウ共有も実施。

〇 Suntech

・本社所在地:中国・無錫
・事業内容:太陽光発電パネルメーカー
・売上高:USD2,904 million (2010)
・太陽光発電メーカー売上高で世界トップ。単結晶型・多結晶型のエネルギー変換効率で世界トップ。
・太陽子発電パネルコストの削減に大きく寄与。
・世界中で技術者採用を実施する一方で、ローカル採用にも注力。
・保有ノウハウを他社にも共有し、業界全体をリード。
・太陽光発電の可能性を子供たちに伝え、次世代教育にも貢献。

〇 Suzlon

・本社所在地:インド・プネー
・事業内容:風力発電機メーカー
・売上高:USD4,604 million (2010)
・風力発電機で世界で高いシェアを誇る1社。発電コストの削減に大きく貢献。
・自社エネルギーは太陽光発電または風力発電にて調達。
・利用済み水や廃棄物のリサイクルも実施。
・海外管理職ポジションにローカル人材を抜擢。
・海外にて積極的に再生可能エネルギーについて市民や政治家への普及に従事。

〇 Woolworths

・本社所在地:南アフリカ・ケープタウン
・事業内容:小売量販店チェーン
・売上高:USD3,074 million (2010)
・販売製品の97%が自社ブランドの衣類・食料品小売量販店。
・衣類の原材料にオーガニック綿を使用。納入農家の教育も実施。
・サステナブル経営=経営そのものという概念を確立。
・政府と協働し、農作物基準の策定や、労働環境改善、教育などにも注力。

〇 Zhangzidao Fishery Group

・本社所在地:中国・大連
・事業内容:漁業
・売上高:USD340 million (2010)
・疑似的な捕食環境を構築する養殖手法(IMTA)を用いた漁業(ホタテ貝、ナマコ、ウニ、アワビ)を実施。
・養殖場の病気の削減、生物多様性の増加、二酸化炭素吸収量の向上を実現。
・水質および微生物活動状況を毎月モニタリング。
・研究機関と協働し、さらなる養殖技術の向上にも熱心。

以上、16社。

この16社の取り組みから、先進国だけでなく新興国でもサステイナブル経営が浸透しつつある
ことがおわかりいただけると思います。
特に、サステイブル経営を、「利益を社会に還元する」「CSRレポートを作成する」という
意味以上に、事業の根幹として経営者がとらえているということも重要なポイントです。

上記の企業たちは、
サステナブルな社会・環境をつくるための課題を、事業機会ととらえ、事業を推進し、
大きな財務成績を誇っています。

ひとつ今回の「2011年ニュー・サステナビリティ・チャンピオン」を読み解く中で、
残念に感じたことは、このチャンピオンの審査過程に、日本人が一人も参加していない
という点です。

日本企業が真の意味でグローバル企業となるための課題のひとつに、
このような「サステナブル経営」というグローバル企業の大きなトレンドを掴み、
それを推進していくということがありそうです。

もっと日本人が世界のサステナビリティ活動に推進に大きく貢献できる
ようにしていきたいですね。

The Princeton Reviewが、

北米の大学の「環境配慮度」(The Green Rating)を毎年発表しています。

ちなみに、この「環境配慮度」とは以下の項目で測定されています。

・地域産品、オーガニック食材、エコ食品への支出が食品支出全体に占める割合。
・大学が、バスのフリーパス、他の交通機関のフリーパス、自転車シェアリングや
 自転車レンタル、カーシェアリング、乗り合いバスサービスなど、車の一人乗り
 を避けるための取組をしているかどうか。
・キャンパスの持続可能性を改善するために、学生も委員として参加した公式な
 委員会を開催しているかどうか。
・新校舎建設時に、LEED Silver規格や同等規格に則っているかどうか。
・廃棄物再利用の割合。
・大学が、環境学の主専攻、副専攻、認証プログラムを設けているか。
・大学が、入学選考時に「環境リテラシー」を審査しているか。
・大学が、温室効果ガス排出の目録を作成して公開し、さらに2050年までに
 温室効果ガス排出量を80%削減する気候行動計画を採択しているか。
・大学エネルギー消費量(冷暖房含む)のうち、再生可能エネルギー(原子力、
 大規模水力発電除く)が占める割合。
・大学が、フルタイムのサステイナビリティ担当理事を置いているかどうか。

2011年のこの審査において、満点の「99点」を取得した大学は次の15校です。
※審査全体は311校。

American University (Washington DC)
Arizona State University (Tempe)
College of the Atlantic (Bar Harbor ME) Dickinson College (Carlisle PA)
Georgia Institute of Technology (Atlanta)
Harvard College (Cambridge MA)
Northeastern University (Boston MA)
Oregon State University (Corvallis)
San Francisco State University (San Francisco CA)
State University of New York – Binghamton University
University of California – Santa Cruz
University of Maine (Orono)
University of Washington (Seattle)
University of Wisconsin – Stevens Point
Virginia Tech (Blacksburg VA)
Warren Wilson College (Asheville NC)
※アルファベット順

大学の顔ぶれがどうなのかはさておき、
「環境配慮度」を上記と定義した発想は、参考になります。

昨今では、環境やサステイナビリティについての専攻を設置する
欧米の大学や大学院が増えてきていますが、
まだまだ、その質の評価については明らかになっていませんし、
その「教育の質」についての評価は未知です。

この分野を志す方々のためにも、その質の評価が待たれます。

「持続可能性担当マネージャー」。ときには「CSR担当マネージャー」。

日本ではまだあまり耳にすることの少ないポジションですが、
欧米のグローバル企業には広く普及してきたポジションです。
日本でも今後、このポジションを設立する企業が増えてくると
思われます。

「持続可能性担当マネージャー」とは何か。

このブログで解説しているように、
今後の企業経営において、社会や環境への影響を鑑みた意思決定は
企業そのもののサステイナビリティを考える上で不可欠になっていきます。

そうした状況下で、社会や環境をひとつのステークホルダーとしてとらえ、
このステークホルダーの視点を経営に反映していく役割を担うのが、
持続可能性(サステイナビリティ)担当マネージャーです。

このポジションに就任したら、何から手をつければいいのか。
あまりにも新しいポジションのため、多くの人は戸惑うかと思います。
「サステイナビリティ・レポート」「CSRレポート」を作成するだけであれば、
既存の広報部やIR担当部門と役割は重なってしまいます。

この疑問に対して、カナダのNPO、Network for Business Sustainabilityが、
持続可能性(サステイナビリティ)担当マネージャーに就任したら
知っておくべき10のコト
」というレポートを発表してくれています。

ここでは、その10個の内容を紹介したいと思います。

1. 持続可能性向上のための投資は回収できるか?

2. 持続可能性向上を企業文化に中に組み込むにはどうすればよいか?

3. 自社製品のサプライチェーンをより強化するにはどうすればよいか?

4. 顧客は持続可能性を向上させた製品・サービスに対価を支払うか?

5. 株主を魅了するにはどうすればよいか?

6. 自社にとって最適な環境測定指標は何か?

7. 持続可能性向上施策を通じて従業員を魅了するにはどうすればよいか?

8. 気候変動を軽減したり、リスクを回避するにはどうすればよいか?

9. 自社にとって、事業の持続可能性とはどのように定義できるか?

10. 持続可能性向上施策に関する情報収集をどうのようにすればよいか?
 

このレポートの中では、上記の質問に関する一般的な解も提供してくれています。

しかしながら、最終的に持続可能性担当マネージャーは、
上記の質問に関する回答を自社という枠に当てはめて考え、
回答を導く必要があります。

そのため、最初のステップとしては、上記の質問を回答するための情報収集を行い、
経営会議に対して報告を行った上で、
炙り出された課題点を基に、当面の活動方針を設定していくこととなります。

前回に続き、ウォルマートの活動を紹介したいと思います。

今回のテーマは、サステイナビリティの「測定」(Measure)。

ウォルマートでは、サステイナビリティ分野での
テーマ設定、目標設定、効果測定(モニタリング)を効果的に行うため、
数多くの指標の効果測定を行っています。

とりわけ強化しているのが、「食料」「農作物」分野の測定です。
ウォルマートが提供する食料品を作るのに、
どれだけの環境、社会的な負荷をかけているのか、
どれだけ効率的(経済的な効率性だけではない)に
食料品を生産できているのかを測定しているのです。

ウォルマートは、この測定をするにあたり、
カリフォルニア州を中心に導入が進んでいる”Stewardship Index for Specialty Crops
を採用しています。

Stewardship Index for Specialty Cropsとは、
社会や環境の持続可能性強化を目指すNPOや企業の集合プロジェクトである
Stewardship Index for Specialty Cropsが生み出した
食料品に特化した持続可能性測定モデルです。
※参加団体の一覧はコチラ

この測定モデルが測定しようとしている項目は、以下です。
※出所はコチラ

1. 人的要素
 - 人的資源(労働者の健康・安全、労働条件等)
 - コミュニティ(地域雇用の実施等)

2. 環境要素
 - 大気の質
 - 生物多様性・生態系
 - エネルギー消費
 - 温室効果ガス排出量
 - 栄養素
 - パッケージング
 - 殺虫剤使用
 - 土壌
 - 廃棄物
 - 水質
 - 水消費量

2. 経済要素
 - 環境に配慮した生産・流通された製品の購買
 - 公平な価格設定

このプロジェクトでは、各測定項目の具体的な測定指標について
検討を進めています。

このウォルマートが進めている測定の取組は、決して実現が容易ではありません。
一般的に企業が進めている「サステイナビリティ」測定は、
電気消費量、エネルギー消費量、水消費量、温室効果ガス排出量など、
自社で測定が完結できるものがほとんどです。
しかしながら、ウォルマートでは、その測定を、自社だけでなく、
生産者・加工者・流通者などサプライチェーン全体に広げようとしています。
ウォルマートが販売する食料品にかかわるすべてのフットプリントを、
測定しようとしているのです。

このように食料品のサプライチェーン全体を測定していく試みは、
今後重要性を増していきます。
なぜなら、世界の食料問題への解決に寄与していくからです。
例えば、世界食糧機関(FAO)は、世界で生産された食料品の1/3は、
「無駄」「ゴミ」として廃棄されていると発表しています。
※出所はコチラ

サプライチェーン全体の「無駄」を削減していくことは、
食料品の増産ではない、もうひとつの食糧問題解決の道となりえます。

Stweardship Indexが進めているサプライチェーン全体の及ぶ測定の枠組みは、
他の業界にも展開されようとしています。
例えば、Sustainability Consortiumという同様のNPO・企業・大学連合は、

「消費者科学」「測定科学」「電化製品」「食料・飲料品」「紙製品」
「ホームケア」「ヘルスケア」「IT製品」「パッケージ」「小売」「おもちゃ」

のそれぞれの分野でワーキンググループを形成し、
測定手法の検討を進めています。

このコンソーシアムを組成している大学・企業・NPOは、

〇 大学(主催者)
アリゾナ州立大学のサステイナビリティ研究所(Arizona State University)
アーカンソー州立大学の応用サステイナビリティセンター(University of Arkansas)

〇 企業
アルコア
BASF
ベストバイ
カーギル
クロロックス
コカ・コーラ
デル
ディズニー
ダウ
ケロッグ
ロレアル
マクドナルド
ペプシコ
P&G
パナソニック
サムソン
SAP
ユニリーバ
ウォルマート
東芝 など

〇 NPO
BSR
世界自然保護基金(WWF)
チリ基金
アメリカ環境保護庁
イギリス環境食糧省

Sustainability Consortiumに参加している日本企業は、
現在、パナソニックと東芝の2社のみです。

今後の企業経営において大きな影響を与えていくと思われるサステイナビリティ。
この大きな世界の動きに、日本企業も積極的に参加していく必要があります。

「持続可能性計画(サステイナビリティプラン)」。

日本ではまだあまり浸透していない概念ですが、
これは、近年、欧米の企業を中心に進められている
社会や環境に配慮した経営計画や新規事業開発のことを指します。

とりわけ注目を集めているのが、世界の小売最大手ウォルマート
トップダウンによるイニシアチブにより、サステイナビリティプランを
積極的に展開しています。

今回、Forbe紙に、
「ウォルマートの10大持続可能性プロジェクトが世界のリーダーシップを
明確に示す」
と題した記事が発表されていました。(原文はコチラ

1. キャリア・トレーニング
トレーニングセンターを通じた職業訓練。インドでは5000人が訓練を受けている。
訓練を施す体制を整えることで、全ての社会層の人たちに対して、成長機会を
与えていく。

2. 2000万トンの温室効果ガスを削減
2015年までにサプライヤーと協働で2000万トンの温室効果ガスを削減。

3. 輸送効率の向上
2005年に全米の輸送効率を65%向上、日本での輸送効率を33.5%向上。

4. 全プレイヤー参加によるグローバルバリューネットワークの構築。
自社だけでなく、顧客、サプライヤー、地域社会と共同で持続可能性
プロジェクトを推進。

5. 地域農産品調達、零細企業活用、農家支援
2015年までに1万件の中小農家から10億ドルの農産品を調達。
100万人の農家を支援し、農家収入を10%~15%向上させる。

6. 店内エネルギー消費量の削減
中国の新規店舗にてエネルギー消費量を40%削減するモデルを開発。

7. オペレーション効率を高めるためテクノロジーを活用
LED電球や薄型太陽光発電型フォークリフトなど最新のテクノロジーを導入。

8. 全米の飢餓を削減
2015年までに20億ドル相当の現金等を全米の飢餓削減のために拠出。
10億ポンドの食糧を提供。食料バンクの推進のために物流専門社員を提供。

9. 高度成長マーケットでのエネルギー効率向上
エネルギー効率向上に寄与する設備投資をサプライヤーに対して実施。

10. 果物・野菜価格の削減
安価な果物・野菜を顧客に提供するため合計10億ドルの価格削減を展開。
 

ウォルマートで展開している持続可能性プロジェクトの内容は、
いわゆる「節電」「植林」などのエコ対策にとどまらず、
幅広く社会や環境に寄与する事業運営を検討・推進しています。

私たちは、
日本企業もこのようプロジェクトを推進していける支援をしていきます。

2011年3月9日(ちょっと前ですが)に、
アクセンチャア社(米国本社)が、持続可能性に対する報告書を発表しました。

Driving Value from Integrated Sustainability

このレポートは、アクセンチュアの独自に行った調査を基に作られています。
Global Fortune 1000にリスト入りしているうちの275社について、
経営者へのサーベイも含めて定性面、定性面の調査を行い、
ハイパフォーマンス分析をまとめたものです。

結果として報告されているものは、

・42%の経営者が、持続可能性への取り組みはコスト削減につながると回答。
・41%の経営者が、持続可能性への取り組みはブランド価値の向上につながると回答。
・約50%の経営者が、持続可能性への取り組みは株主への信頼向上につながると回答。

というもので、
少なからずリーディングカンパニーに多数が、持続可能性への取り組みを
肯定的にとらえていることがわかります。

アクセンチュアは、このレポートのまとめとして、
持続可能ビジネス戦略を採用している企業の狙いは、

・新製品や新サービスの投入による売上増
・生産効率向上によるコスト削減
・事業リスクや法規制リスクに対するマネジメント強化
・ブランド、評判、協働ネットワークなど無形資産の強化

にあると、報告しています。

もちろん、この情報にはバイアスがかかっている可能性もあります。

1. 発信者のバイアス

このレポートは、アクセンチュア社の持続可能性サービスグループが
とりまとめています。
この「持続可能性グループ」としては、世の中の持続可能性に対する関心が
高まれば高まるほど、グループのビジネスを拡大することができます。
僕自身も事業プランニングの経験があるため、理解できるのですが、
ビジネス拡大を考える際には、データ収集や分析の過程で、
都合よく解釈しようとするバイアスが働いてしまうものです。

2. サーベイ回答者のバイアス

持続可能性に関するサーベイに回答した経営者もバイアスを抱えています。
サステイナビリティやCSRに関するサーベイを実施する場合には、
経営者が「本心とは別に社会的に求められていることに回答してしまう」
というバイアスが働いています。
このバイアスは英語で”Social desirability bias”と呼ばれています。

これらのバイアスがどのぐらい影響を与えているのかはわかりません。
しかしながら、グローバル企業の中で、
持続可能性に対する経営者の関心が高まっていることは確かなようです。

企業がサステイナビリティ(持続可能性)に対して投資をすることについて、
また、より狭義には “CSR”を促進することについて、
かねてから、大きな疑念が提起されています。

それは、

企業は、利益が多いときにはサステイナビリティに投資するが、
いざ企業の収益が悪化すると、サステイナビリティ関連投資は終焉する。

というものです。

すなわち、企業は好調の時は、懐に余裕があるため、社会貢献に資金を投じるが、
いざ不調となると、事業に関係ない社会貢献活動をやめてしまう。
という考え方です。

このようなサステイナビリティ投資批判に対して、
サンダーバード国際経営大学院のGregory Unruh教授は、
ブログで以下のように反論しています。

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(I) began asking every company executive I knew whether the economic downturn was scuttling their sustainability strategy. Contrary to the logic, I had trouble finding companies dumping sustainability.

私は知り合いの企業経営陣に、不景気でサステイナビリティ戦略は放棄されるかどうかを尋ねた。しかし、(CSR批判者の)ロジックとは逆に、私は、(この不景気時に)サステイナビリティ戦略が失速していることを確認することはできなかった。

What has become clear is that there has been a bifurcation in the sustainable business space. In the downturn some companies cut back on CSR and sustainability efforts. They have become the laggards. Another group doubled down on sustainability. The best explanation for why they did so in a recession is that they have found out how to make sustainability pay.

明らかなことは、企業の持続可能性戦略は現在、分岐点に来ているということだ。景気後退局面で、CSRやサステイナビリティに対する努力を削減する企業もあったが、その企業は活力を失ってしまった。一方で、サステイナビリティ投資を倍増した企業もある。不景気時にその投資を増やした理由は、彼らはサステイナビリティ投資は割に合うということに気づいたからだ。

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Unruh教授によると、いくつかの企業は持続可能性はブランドのためのコストではなく、
利益を伸ばす行為として認識し、投資を活発化しつつあるということです。

それを後押しするレポートが、サステイナビリティに関する調査&コンサルティング機関の
Verdantixから発表されました。

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Global sustainability spending will soar 50 percent to 100 percent between 2011 and 2013, predicted research firm Verdantix.

売上US$1,000万以上の企業は、2011年から2013年の間に、サステイナビリティに関する投資を50%から100%増加させる。

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特に、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダに本社を置く企業は、
サステイナビリティ、気候変動、二酸化炭素管理、エネルギー効率向上に関する投資を、
現在のUS$約350万から、2013年にはUS$600万に増やしていくとうことです。

サステイナビリティの分野は、今後、大きな市場を形成していきそうです。

Forbesの5/20のブログに、
アショカ財団のAlexa Clay氏のインタビューが報じられています。

内容は、彼女がアショカ財団の中で研究テーマにしている
世界に点在する米軍基地が社会・環境に与える影響について語ったもの。

こちらが実際のインタビュー映像です。

米軍基地の存在意義は、米軍とその同盟国の安全保障にありますが、
米軍基地が与える影響は、安全保障にとどまらず、
生態系、公害、犯罪などの人災といった悪影響や、
雇用増などによる地域経済の発展、国際交流の振興などにも及びます。

彼女はこれを総合的に判断していく枠組みづくりに取り組んでいます。
それは、従来の報道や社会的関心が、
環境、安全保障、雇用などがそれぞれバラバラに議論されており、
冷静にメリットとデメリットを分析し、
それを全体として改善していくという考え方の必要性を感じているためです。

サステイナビリティは、環境的側面だけでなく、経済的な側面も含めて、
考慮する必要があります。

「武力による安定」というテーマそのものについては、別途深い議論が必要ですが、
基地が実存している事実に目を向け、それをいかに社会や環境と調和させていくか
という点に着目しているClay氏のテーマは、非常に素晴らしいと思います。

「震災後の日本がどのように変化を遂げていくのか。」

持続可能性の観点からも、世界からも多くの関心が寄せられています。

その中で、企業の持続可能性向上を推進する世界的なNPOのひとつBSR
CEOであるAron Cramer氏が、同社のブログにて、
Japan: Tragedy to Turning Point? “と題する記事を発表しています。

非常に示唆に富む内容でしたので、今回はその記事を日本語訳してみました。

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私が今回、ミーティングに参加するために日本を訪れて一週間。
東京は今までにないぐらい人の気配がなく閑散としていた。
おそらく、日本経済は、地震、津波、福島原発事故の三重の波を前に
激しくダメージを受けてしまった。

しかしながら、BSRの会員企業との一週間の会合の中で、
私はより重層的な日本の状況を感じ取った。
日本は明らかに、この悲劇を将来のための転換点として昇華させ、
日本を、安全で、豊かで、持続可能な将来へと導く、
力強い道のりを歩み始めている。

会合の中で、
たくさんの日本の会員企業の代表たちは、自省の念を表明していた。

ある経営者は、日本がこの数十年間謳歌してきた
エネルギー依存の消費型経済モデルから転換していけるのかどうかという
問題提起をしていた。
例えば、「ここでもどこでも」という日本の消費文化のシンボルであり、
大量のエネルギーを消費する自動販売機なしで日本人がやっていけるのかどうか。
彼はこの点について問題を投げかけていた。

別の経営者は、日本企業は、政府と経団連が求めた25%の自発的節電を
「容易に達成することができる」と語った。
そして、彼は続けて、もしこの節電が可能であるならば、
なぜもっと以前からこれに取り組んでこなかったのか、と振り返っていた。
(もちろん、私自身は、エネルギーが非効率で暴飲暴食しているアメリカ国民の
一人として、他国の節電についてあまりとやかく語る筋ではない)

日本は現在、30%のエネルギーを原子力発電で調達している。
この状況を一夜にして転換することはできないし、
もし原子力発電所を削減するとしても、諸外国と同様に、
短期的には二酸化炭素排出量を削減することがより難しくなる。
しかし、多くの日本の人々は、1973年のオイルショック時に日本が
エネルギー効率を国是として推進していったように、
この2011年のできごとを機に、日本が再生可能エネルギーを
さらに促進していってほしいと願っている。

日本の経営者たちは、日本経済は臨機応変に対応できるという自信を見せるとともに、
今回の地震や津波の結果、これまで長い間活動が目立たなかった日本のNPOが、
今後さらに重要になっていくという見通しも示していた。
多くの企業は、震災の救援、復旧、復興においてNPOと共働している。
このような協働はCAREや赤十字などの世界的組織の日本支部が
中心的な役割を果たしているが、NPOとの共働に急速に関心が高まったことで、
今後、日本のNPOが日本社会で果たす役割はますます大きくなっていくだろう。

また、このような企業とNPOの共働が促進された背景には、
政府への信頼が大きく失墜してしまったということがある。
多くの企業経営者は、
今回の災害に対して政府のリーダーシップが欠如していることに大いに失望していた。
自衛隊より迅速に災害に対して救援活動を展開した米軍を称賛している人もいた。
(もちろん米軍は自衛隊より規模も資金も豊富なのだが、この米軍への称賛は、
政府の対応能力とコミットメントの欠如を意味している)

日本は、現在、正念場だ。
かつて、アメリカでは、多くのコメンテーターが、
アメリカは9.11を機に何もかも大きく変わり、
新たな価値観が提起されたり、
社会の共通目的が刷新されるだろうと語っていた。
しかし、残念ながら、これらは実際には実現しなかった。
だが、おそらく日本では、アメリカが成し遂げることができなかったような
前進への転換点を、3.11はもたらしていくだろう。

日本のこの正念場をバネに、将来の世代は再生可能エネルギーと
エネルギー効率の向上にますます拍車をかけていくだろう。
もしそれが実現すれば、日本は世界に対して、かつてのように再び、
プレッシャー下での優雅な対応力、明確な解決策、イノベーション力を
教えていく立場になっていく。

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