「震災後の日本がどのように変化を遂げていくのか。」
持続可能性の観点からも、世界からも多くの関心が寄せられています。
その中で、企業の持続可能性向上を推進する世界的なNPOのひとつBSRの
CEOであるAron Cramer氏が、同社のブログにて、
“Japan: Tragedy to Turning Point? “と題する記事を発表しています。
非常に示唆に富む内容でしたので、今回はその記事を日本語訳してみました。
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私が今回、ミーティングに参加するために日本を訪れて一週間。
東京は今までにないぐらい人の気配がなく閑散としていた。
おそらく、日本経済は、地震、津波、福島原発事故の三重の波を前に
激しくダメージを受けてしまった。
しかしながら、BSRの会員企業との一週間の会合の中で、
私はより重層的な日本の状況を感じ取った。
日本は明らかに、この悲劇を将来のための転換点として昇華させ、
日本を、安全で、豊かで、持続可能な将来へと導く、
力強い道のりを歩み始めている。
会合の中で、
たくさんの日本の会員企業の代表たちは、自省の念を表明していた。
ある経営者は、日本がこの数十年間謳歌してきた
エネルギー依存の消費型経済モデルから転換していけるのかどうかという
問題提起をしていた。
例えば、「ここでもどこでも」という日本の消費文化のシンボルであり、
大量のエネルギーを消費する自動販売機なしで日本人がやっていけるのかどうか。
彼はこの点について問題を投げかけていた。
別の経営者は、日本企業は、政府と経団連が求めた25%の自発的節電を
「容易に達成することができる」と語った。
そして、彼は続けて、もしこの節電が可能であるならば、
なぜもっと以前からこれに取り組んでこなかったのか、と振り返っていた。
(もちろん、私自身は、エネルギーが非効率で暴飲暴食しているアメリカ国民の
一人として、他国の節電についてあまりとやかく語る筋ではない)
日本は現在、30%のエネルギーを原子力発電で調達している。
この状況を一夜にして転換することはできないし、
もし原子力発電所を削減するとしても、諸外国と同様に、
短期的には二酸化炭素排出量を削減することがより難しくなる。
しかし、多くの日本の人々は、1973年のオイルショック時に日本が
エネルギー効率を国是として推進していったように、
この2011年のできごとを機に、日本が再生可能エネルギーを
さらに促進していってほしいと願っている。
日本の経営者たちは、日本経済は臨機応変に対応できるという自信を見せるとともに、
今回の地震や津波の結果、これまで長い間活動が目立たなかった日本のNPOが、
今後さらに重要になっていくという見通しも示していた。
多くの企業は、震災の救援、復旧、復興においてNPOと共働している。
このような協働はCAREや赤十字などの世界的組織の日本支部が
中心的な役割を果たしているが、NPOとの共働に急速に関心が高まったことで、
今後、日本のNPOが日本社会で果たす役割はますます大きくなっていくだろう。
また、このような企業とNPOの共働が促進された背景には、
政府への信頼が大きく失墜してしまったということがある。
多くの企業経営者は、
今回の災害に対して政府のリーダーシップが欠如していることに大いに失望していた。
自衛隊より迅速に災害に対して救援活動を展開した米軍を称賛している人もいた。
(もちろん米軍は自衛隊より規模も資金も豊富なのだが、この米軍への称賛は、
政府の対応能力とコミットメントの欠如を意味している)
日本は、現在、正念場だ。
かつて、アメリカでは、多くのコメンテーターが、
アメリカは9.11を機に何もかも大きく変わり、
新たな価値観が提起されたり、
社会の共通目的が刷新されるだろうと語っていた。
しかし、残念ながら、これらは実際には実現しなかった。
だが、おそらく日本では、アメリカが成し遂げることができなかったような
前進への転換点を、3.11はもたらしていくだろう。
日本のこの正念場をバネに、将来の世代は再生可能エネルギーと
エネルギー効率の向上にますます拍車をかけていくだろう。
もしそれが実現すれば、日本は世界に対して、かつてのように再び、
プレッシャー下での優雅な対応力、明確な解決策、イノベーション力を
教えていく立場になっていく。
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