サステナビリティ(持続可能性)という言葉は、
20世紀の後半から頻繁に使われるようになりました。

特に、環境問題に対して、
「環境破壊を続けた発展は続くことができない」
という意味合いで語られることが多くあります。

しかし、サステナビリティという言葉の定義は非常に曖昧です。
何(What)をどのぐらい(How long)持続させられる可能性のことを言うのか、
明確に語られることは多くありません。

例えば、森林問題。
今のペースで森林伐採を続けていけば、
やがて森林はなくなってしまうと言われています。

森林を持続可能にするということをゴールと定めた場合、
いくつかの案が出てきます。

・木材資源の無駄使いを減らす
・木材建築をコンクリート建築に変える
・木材に環境税を欠け、需要を減らす
・森林を植える

さらに、こんなものも案としてはありえます。

・木材消費量を減らすため、世界の人口を削減する
・木材伐採を止めるため、木材関連企業を操業停止にする

しかし、これらの過激な案は、人権や経済、雇用などの観点からみて、
なかなか遂行できるものではありません。
すなわち、森林伐採には環境的な側面からだけでなく、
人間社会や経済の側面からも考える必要があるのです。

学問の世界でも、さまざまな側面を持つ持続可能性(サステイナビリティ)を
どのようにとらえるかで論争が起こっています。

環境を重視する立場は、以下のように捉えるべきだと主張します。

自然環境がまず存在し、その部分として人間社会があり、
さらにその部分として経済社会があるというフレームワークです。

確かに、人間社会は、より大きな生態系や地球環境、宇宙環境を基盤に成り立っています。
人間は自然という資源を「借りて」生きているという考え方も理解できます。

しかし、このように環境問題だけを最重要視する考え方は、
僕としてはあまり意味があることだとは思いません。
ゴールに向かって「人間の行動」を変えていこうとする場合、
人間の意思や思惑、望みや生活を無視したゴール設定は実行力を欠きます。
人々の賛同を得られず、活動の規模も大きくなりません。

サステイナビリティを実効性のある概念とするためには、
下記のような新しいフレームワークに共感を覚えます。

こちらは、自然環境、人間社会、経済社会の3つの持続可能性を同列に置き、
その3つが共存するポイントを最終的な持続可能性(サステイナビリティ)と呼ぼうという捉え方です。
環境学者からは、「人間中心主義の世界観だ」と言われてしまうかもしれませんが、
未来を構築していく実効力は、こちらの捉え方のほうが高いと考えています。

さらに、個人的には、人間社会と経済社会を分けて捉える考え方は、好きではありません。
先進国、発展途上国を問わず、人々の社会は、経済と密接に結びついているからです。
構造をシンプル化するため、このブログでは、
持続可能性を、自然環境と経済社会の2つのサステナビリティが両立する状態と
捉えていきます。

しかしながら、こうしても依然として、持続可能性という言葉は曖昧なままです。
持続可能性という言葉が具体的なゴールを持っていけるよう、
これから考察を深めていきたいと思います。

[サステナビリティ] ブログ村キーワード

sustainable japan

電力・エネルギー等サステナビリティに関する最新トピックスは、Sustainable Japanに掲載しています。御覧ください!

1件のコメント

  1. 大変参考になります。

    Reply

心菜 へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です


*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">