3/19に、福島第一原子力発電所の状況が大きく安定化してきました。

1号機: 東北電力からの電源ケーブル敷設が完了。冷却施設の回復見込み。
2号機: 東北電力からの電源ケーブル敷設が完了。冷却施設の回復見込み。
3号機: 東京消防庁の消防車による注水作業で効果があり、施設冷却に成功。
4号機: 3号機と同様の処置を行う予定。
5号機: 仮設の海水ポンプの稼働に成功。使用済み核燃料プールの冷却機能が回復。
6号機: 仮設の海水ポンプの稼働に成功。使用済み核燃料プールの冷却機能が回復。

当初、同様に原子力緊急事態宣言が発令された、福島第二原子力発電所においても、
すでに、1号機~4号機までの全てにおいて、冷温停止状態となり危機を脱しています。

しかしながら、
放射線漏れによる近隣自治体への影響は深刻な状態となっているとともに、
東京電力管内全域でも深刻な電力不足に見舞われています。

東日本大震災(東北関東大震災)前と後の発電量(出力量)をまとめました。
東京電力の公開情報や報道資料をもとに独自作成。
※最大出力量はWikipedia参照。
※震災への影響は3/20時点の内容。
表をクリックすると拡大します。

大震災前に総計6000万kW近くあった発電量が、
大震災後は総計4000万kW弱まで落ち込んでいるのがわかります。

また、実際に供給できる電力は、”供給量 = 発電量 – 配電ロス” となり、
4000万kW全てが供給できるわけではありません。

この大きな需給格差を埋めるために、
東京電力は契約に基づき大口の法人顧客(工場等)への電力抑制を依頼。

そして、震災直後からの電気需要と供給量の予測は以下の通りでした。

3/12(土) 需要 3600万kW 供給 3700万kW
3/13(日) 需要 3700万kW 供給 3700万kW
3/14(月) 需要 4100万kW 供給 3100万kW (電車運行抑制・揚水式水力発電停止)
3/15(火) 需要 3500万kW 供給 3300万kW (計画停電開始)
3/16(水) 需要 3500万kW 供給 3300万kW
3/17(木) 需要 4000万kW 供給 3350万kW (電車本数増加)
3/18(金) 需要 3700万kW 供給 3500万kW
3/19(土) 需要 3100万kW 供給 3450万kW
3/20(日) 需要 3100万kW 供給 3400万kW
東京電力の公開情報をもとに作成。

このように休日は企業活動が休止するため需要が減りますが、
平日は節電したとしても供給量が足りません。
そのため、電車本数の削減や計画停電が実施されている状況です。

さらに、東京電力の発表では、通常、
冬場で5000万kW、
夏場で5500万~6000万kWトの電力供給力が必要だということです。
その結果、東京電力は、政府中枢機関の多い千代田区、港区、中央区の
3区を除く、都内20区においても夏には計画停電が必要となる可能性を
示唆しました。
※元記事はコチラコチラ

東京電力が現在、復帰や再稼働を目指している
東扇島、鹿島、横須賀を含めると発電量は4,863万kWに達し、
供給量は推定4,200万kWまでは回復できそうです。

そのため、今年の夏は大規模な節電が強いられることになりますし、
計画停電は今年の冬にまで続くという見通しもあります。
朝日新聞の記事

もちろん、節電や計画停電の効果は大きいです。



出所:東京電力のHP

上のグラフを見ていただくと、前年の相当日に比べて、
日中および夜間の電力消費量が大きく低下しているのがわかります(3/23時点)。

今回は現状のみの報告となり心苦しいですが、
対策については情報が取れ次第、あらためて説明していきたいと思います。

※僕の別ブログである「アメリカ・サンダーバードMBA留学ブログ」から転載しました。

今回のテーマは、奴隷です。
サンフランシスコ大学神学・宗教学部のDavid Batstone教授が、
ご自身が創立したNPO Not For Saleキャンペーンについて
説明してくれました。

この時代に奴隷や人身売買と言われても、
最初は正直ピンとこないかもしれません。

しかし、人身売買は現在でも行われており、
アメリカでは大きな問題になっています。

Not For Saleは、Batstone教授ご自身の体験談を機に
発足されました。

彼が大好きだったインド料理レストランで、ある日火災が発生。
アルバイトの女性が焼死。
事故究明の過程で、なんと彼女はインドで人身売買で売られ、
アメリカに連れてこられていたことが判明。
この事実を知った、Batstone教授は、
自分の身近に人身売買が行われていたことにショックを受けます。

その後、彼は世界の人身売買状況について調査をし、
人身売買が頻繁に行われているタイ、ラオス、中国南西部、ミャンマー、
カンボジア、インドなどに、
自分の足で赴き、実態を把握していきました。

そこで判明したのは、
生活苦にあえぐ貧しい人々が、自分の子供を売り、
嫌がる子供を、業者が力づくで拘束し、連れ去り、
その「奴隷」は、アメリカなどでも「販売」されているということ。

そこで、彼はNot For Saleを立ち上げます。
このNPOは複合的なアプローチをとっています。

まず、アメリカ国内で人身売買を撲滅するため、
アメリカ全土で、人身売買の調査を継続して行い、
人身売買フローについての、膨大なデータベースを構築します。
「何をするにも、データがないとはじまらない」
彼はそう語ります。
そのデータベースをもとに、警察・検察当局と協議を行い、
現在は、当局とともに取締を強化しています。

同時に、人身売買についての認知を高めるため、
プロスポーツ選手等とタイアップし、
メディアミックス手法によるキャンペーンを展開しています。

これらが、デマンドサイドの対策です。

サプライサイドの対策も実施されています。
人身売買の発生源である、東南アジア地域で、
親が面倒をみれなくなった人々を救う、
学校兼生活支援施設を建設。

同時に、その資金源を獲得するため、
年長者には雇用も提供します。
主に、服飾関連のビジネスを立ち上げ、
基本的に、寄付に頼らない財務体質を作り上げています。
彼は、倫理学の教授でありながら、
自身でベンチャーキャピタルを営んだりもしています。
彼の信念は、「寄付や援助に頼る組織は、継続できない」。
Net For Saleは、今では、毎月利益を出し続けています。

最後の質疑応答の時間で、学生の一人がこう質問しました。

「人身売買を扱う社会的機関は今はほかにもいろいろある。
どのようにそれらの競合と差別化しようとしているのか?」
ビジネススクールらしい質問です。

彼はこう答えます。

「自組織で全部を実施しようとすると、他の全員が競合になる。
 自組織の役割やポジションの詳細を定めると、他の全員が協働者になる。
 Not For Saleは様々な機関と協働して成り立っている。」

とても素敵な言葉でした。

「企業は、社会問題の何を解決しようとしているのかを、まず考える必要がある。
 それを見据えてから、自分たちのビジネスを定めることができる。」

彼は、このようにも語ります。

環境問題、高齢化問題、食糧問題、雇用問題、格差社会問題。
問題が山積している21世紀の企業のあり方について、
ひとつの指針を、Batstone教授は与えてくれているように思います。