先日、世界のメガソーラー(大規模太陽光発電)の世界の状況についてレポートしたのに続き、
今回は、世界の風力発電の状況をご紹介したいと思います。
世界の風力発電の大規模化は、太陽光発電を大きく凌駕する勢いで進んでいます。
例えば、現在の世界最大規模の太陽光発電所は、カナダのSarnia で92MW。
一方、現在の世界で最大規模の風力発電所は、アメリカのRoscoe で781.5MW。
8倍以上の開きがあります。
さらに、風力発電所の大規模化は今後も大きく進むと予想され、
中国は5000MWを超える超巨大風力発電所を2020年に甘肃省にオープンする
ことを発表しています。
※世界の風力発電所ランキングについては後述します。
世界の風力発電は、2006年あたりから、急速に造塊しています。
世界風力エネルギー協議会(Global Wind Energy Council: 通称GWEC)が
発表している、世界の風力発電トップ12か国を見てみましょう。
※出所:GWECレポート Global Wind Report 2010, 2009, 2008
ご覧いただくと、中国、アメリカ、ドイツ、スペイン、インドが
世界の風力発電を大きくリードしていることがわかります。
ドイツ、スペインは太陽光発電の分野でも世界をリードしており、
再生可能エネルギー全般にを政府が全面的に後押ししていますが、
その両国を超えるスピードで、中国、アメリカ、インドでは、
風力発電の建設が進んでいます。
中国は2010年ついに累積風力発電量で世界トップとなりました。
続いて、大規模風力発電所の状況を紹介します。
風力発電所はその立地により、オンショア風力発電(陸上風力発電)と
オンショア風力発電(洋上風力発電)に大きく分けられます。
大規模化が著しく進んでいるのは、建設コストが少ないオンショア風力発電です。
<オンショア風力発電出力量の世界ランキングトップ35>
<オフショア風力発電出力量の世界ランキングトップ35>
オンショア風力発電の分野では、アメリカ、特にテキサス州での建設が目立ちます。
理由としては、テキサス州政府が発令している送電網の電力会社(風力発電電気の買い手)
負担政策が挙げられます。
この政策により、
風力の強いテキサス州の荒地から都市部などの電力消費エリアに送電するコストが軽減され、
風力発電の発電事業者が積極的に大規模風力発電所を建設できるようになりました。
オフショア風力発電の分野では、イギリスとデンマークの存在が目立ちます。
両国ともに、風力発電量全体としては、それぞれランキング8位、11位ですが、
オフショア風力発電の分野では、世界を牽引しています。
特にデンマークは、国営企業Vattenfallと、国営色の濃いエネルギー企業DONG Energyが、
自国内だけの発電量増加だけでなく、積極的に近隣諸国に展開し、
発電プラントを積極的に建設しています。
一方、イギリスは、オフショア風力発電の一層の促進を計画しています。
2010年1月イギリス政府は、オフショア風力発電のライセンスを大規模に発行。
世界最大となる9,000MW規模の発電所をはじめ、
超巨大風力発電所が複数誕生する予定となっています。
※出所:BBC News
今回はデータを中心に紹介しましたが、各国の事情については、
今後紹介していきたいと思います。