企業がサステイナビリティ(持続可能性)に対して投資をすることについて、
また、より狭義には “CSR”を促進することについて、
かねてから、大きな疑念が提起されています。
それは、
企業は、利益が多いときにはサステイナビリティに投資するが、
いざ企業の収益が悪化すると、サステイナビリティ関連投資は終焉する。
というものです。
すなわち、企業は好調の時は、懐に余裕があるため、社会貢献に資金を投じるが、
いざ不調となると、事業に関係ない社会貢献活動をやめてしまう。
という考え方です。
このようなサステイナビリティ投資批判に対して、
サンダーバード国際経営大学院のGregory Unruh教授は、
ブログで以下のように反論しています。
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(I) began asking every company executive I knew whether the economic downturn was scuttling their sustainability strategy. Contrary to the logic, I had trouble finding companies dumping sustainability.
私は知り合いの企業経営陣に、不景気でサステイナビリティ戦略は放棄されるかどうかを尋ねた。しかし、(CSR批判者の)ロジックとは逆に、私は、(この不景気時に)サステイナビリティ戦略が失速していることを確認することはできなかった。
What has become clear is that there has been a bifurcation in the sustainable business space. In the downturn some companies cut back on CSR and sustainability efforts. They have become the laggards. Another group doubled down on sustainability. The best explanation for why they did so in a recession is that they have found out how to make sustainability pay.
明らかなことは、企業の持続可能性戦略は現在、分岐点に来ているということだ。景気後退局面で、CSRやサステイナビリティに対する努力を削減する企業もあったが、その企業は活力を失ってしまった。一方で、サステイナビリティ投資を倍増した企業もある。不景気時にその投資を増やした理由は、彼らはサステイナビリティ投資は割に合うということに気づいたからだ。
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Unruh教授によると、いくつかの企業は持続可能性はブランドのためのコストではなく、
利益を伸ばす行為として認識し、投資を活発化しつつあるということです。
それを後押しするレポートが、サステイナビリティに関する調査&コンサルティング機関の
Verdantixから発表されました。
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Global sustainability spending will soar 50 percent to 100 percent between 2011 and 2013, predicted research firm Verdantix.
売上US$1,000万以上の企業は、2011年から2013年の間に、サステイナビリティに関する投資を50%から100%増加させる。
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特に、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダに本社を置く企業は、
サステイナビリティ、気候変動、二酸化炭素管理、エネルギー効率向上に関する投資を、
現在のUS$約350万から、2013年にはUS$600万に増やしていくとうことです。
サステイナビリティの分野は、今後、大きな市場を形成していきそうです。