2012年2月10日に、復興庁設置法に基づき、内閣に復興庁が設置されました。

今日は、復興庁の中身を解説していきたいと思います。

○ 復興庁の役割

復興庁の役割は、復興庁設置法に以下のように定義されています。

① 東日本大震災からの復興に関する内閣の事務を内閣官房とともに
 助けること(内閣補助機能)
② 主体的かつ一体的に行うべき東日本大震災からの復興に関する行
 政事務の円滑かつ迅速な遂行を図ること(分担管理機能)

ここでのポイントは2つあります。

まず、復興庁は内閣の事務をサポートするために設置されています。
すなわち、組織上、内閣の直下に置かれている「庁」なのです。
例えば、金融庁、消費者庁などは、内閣府の下に置かれており、
内閣の直下ではありません。
さらに、復興庁は既存の府省の事務を調整するための昨日を持っているため、
他の府省よりも格上の存在として扱われることになっています。

2つ目のポイントは、東日本大震災という言葉の定義です。
復興庁設置法に置いて、東日本大震災とは、
「東北地方太平洋沖地震及びこれに伴う原子力発電所の事故による災害」
と定義されています。
すなわち、原発事故からの災害復興も復興庁が担うことになっています。

○復興庁の具体的な事務

復興庁設置法では、具体的な所管事務を以下のように定めています。

① 内閣補助事務
・ 東日本大震災からの復興に関する施策の企画及び立案並びに総合調整
② 分担管理事務
・ 東日本大震災からの復興に関する行政各部の事業の統括及び監理
・ 東日本大震災からの復興に関する事業に関し、関係地方公共団体の要望の一元的な
 受理、当該要望への対応方針の策定、当該対応方針に基づく事業の改善又は推進等
・ 東日本大震災からの復興に関する事業を以下により実施
 ア 必要な予算を一括して要求及び確保
 イ 実施計画の策定
 ウ 事業を自ら執行又は関係行政機関に予算を配分すること等により執行させる
・ 東日本大震災からの復興に関し、関係地方公共団体の求めに応じて情報提供、助言等の協力
・ 東日本大震災復興特別区域法の施行事務
・ 株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の施行事務
・ その他東日本大震災からの復興に関する施策に関すること 等

ここでのポイントは、
復興に関する各事業に要する費用を、既存の府省の管轄事項とせず、
復興庁によって一元管理・予算請求されるとしている点です。
これによって、府省による重複予算請求を防ぐとともに、
復興に要するお金の流れをクリアにすることで、
復興債の債権者に対する説明責任を明確にすることができます。

また、関係地方自治体からの要望窓口を一本化することで、
「どの府省の案件かわからない」「複数の府省の管轄にまたがる」とされる
案件を、復興庁が円滑に裁くことが期待されています。
そのため、復興庁が請求する予算は、一般会計ではなく、
平成24年度より新設予定の「東日本大震災復興特別会計(仮称)」において
計上されることとなっています。

○ 復興庁の組織

上記で説明した通り、復興庁は内閣府や内閣官房と並立に置かれています。


※出所:復興庁「復興庁の概要

また、復興庁内部の組織体制は以下となっています。


※出所:復興庁「復興庁の概要

復興庁のトップは内閣総理大臣ですが、復興大臣が実質的には取り仕切ることとなります。
復興大臣と復興副大臣を支える事務方として、
復興庁事務次官や復興庁統括官、統括官付審議官がいます。
復興統括官や統括官付審議官は柔軟にその都度必要な案件を分担して対応していきます。
復興大臣政務官は各復興局を担当し、復興局長を指揮し、事務を遂行します。
統括官付参事官も統括官や審議官、局長の指示のもと、柔軟に案件を処理していきます。

発足時の各人事は以下となっています。

内閣総理大臣:野田武彦
復興大臣:平野達男
復興副大臣:末松義規
      松下忠洋
      中塚一宏(内閣府副大臣と兼務)
復興大臣政務官:郡和子(宮城復興局等担当)(内閣府大臣政務官と兼務)
        大串博志(内閣府大臣政務官と兼務)
        吉田泉(福島復興局・茨城事務所担当)(財務大臣政務官と兼務)
        津川祥吾(岩手復興局・青森事務所担当)(国土交通大臣政務官と兼務)
復興庁事務次官:峰久幸義
復興庁統括官:岡本全勝
 (局長級) 上田健
復興庁統括官付審議官:佐川宣寿
 (局次長級)    伊藤仁
復興庁政策参与:鉢村健政(復興庁統括官付審議官と併任)
復興庁岩手復興局長:井上明
復興庁宮城復興局長:澤田和宏
復興庁福島復興局長:諸橋省明
復興庁統括官付参事官:青木由行
 (課長級)     安東義雄
           石塚昌志
           太田秀也
           岡本直樹
           尾澤卓思
           尾関良夫
           亀村幸泰
           木村実
           串田俊巳
           栗田卓也
           小林祐一
           阪口進一
           阪本克彦
           田島淳志
           寺岡光博
           中石斉考
           中島慶二
           福井仁史
           藤澤美穂
           前島明成
           村手聡
           森重樹
           諸戸修二
           山田英樹
           由良英雄
復興庁岩手復興局次長:菅井雅昭
復興庁宮城復興局次長:稲田幸三
復興庁福島復興局次長:濱邉哲也
職員:約250人(常駐のみ)(うち定員:118人)
   岩手復興局(22人)
   宮古支所(2人)
   釜石支所(4人)
   宮城復興局(24人)
   気仙沼支所(3人)
   石巻支所(3人)
   福島復興局(23人)
   南相馬支所(2人)
   いわき支所(2人)
   青森事務所(2人)
   茨城事務所(3人)   

<復興庁本庁の組織図>

※出所:復興庁「(参考資料1)復興庁の体制

<復興庁復興局の組織図>

※出所:復興庁「(参考資料1)復興庁の体制

各復興庁内組織の所在地と連絡先

■復興庁
〒107-0052 東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル
TEL 03-5545-7230(代表)

■岩手復興局
〒020-0021 岩手県盛岡中央通1-7-25 朝日生命盛岡中央通ビル6階
TEL 019-654-6609(代表)

■宮古支所
〒岩手県宮古市五月町1-20
岩手県宮古地区合同庁舎(県施設)内

■釜石支所
〒岩手県釜石市新町6-50
岩手県釜石地区合同庁舎(県施設)内

■宮城復興局
〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町4-6-1
仙台第一生命タワービル13階
TEL:022-266-2163、2164(代表)

■気仙沼支所
〒宮城県気仙沼市笹が陣3-5
気仙沼市シルバー人材センター(市施設)内

■宮城県石巻支所
〒宮城県石巻市新境町1-1-7
セシカ117内

■福島復興局
〒960-8031 福島県福島市栄町11-25 AXCビル7階
TEL:024-522-8514、8515、8519(代表)

■南相馬支所
〒福島県南相馬市原町区小川町322-1
サンライフ南相馬(市施設)内

■いわき支所
〒福島県いわき市平字堂根町4-11
いわき地方合同庁舎(国施設)内

■青森事務所
〒青森県八戸市大字尻内町字鴨田7
青森県八戸合同庁舎(県施設)内
TEL 0178-27-5251

■茨城事務所
〒茨城県水戸市北見町1-11
水戸地方合同庁舎(国施設)内

また、復興庁には、復興推進会議と復興推進委員会が置かれています。
復興推進会議とは、閣僚級の調整機関です。
復興推進委員会とは、有識者による助言機関です。

復興推進会議
議長:野田武彦 内閣総理大臣
副議長:平野達男 復興大臣
議員:その他すべての国務大臣
   副大臣、大臣政務官、関係行政機関の長のうち議長の指名する者

復興推進委員会
委員長:五百旗頭真(防衛大学校長、神戸大学名誉教授)
委員長代理:御厨貴(東京大学教授)
委員:飯尾潤(政策研究大学院大学教授)
   牛尾陽子(財団法人東北活性化研究センターアドバイザリーフェロー)
   大井誠治(岩手県漁業協同組合連合会代表理事会長)
   岡本行夫(東北漁業再開支援基金・希望の烽火代表理事)
   清原桂子(兵庫県理事)
   佐藤雄平(福島県知事)
   重川希志依(富士常葉大学大学院環境防災研究科教授)
   達増拓也(岩手県知事)
   星光一郎(福島県社会福祉施設経営者協議会長)
   堀田力(弁護士、公益財団法人さわやか福祉財団理事長)
   村井嘉浩(宮城県知事)
   横山英子(㈱横山芳夫建築設計監理事務所代表取締役社長)
   吉田文和(共同通信社論説委員)

さらに、震災後、政府の復興体制は、
東日本大震災復興対策本部・緊急災害対策本部・原子力災害対策本部の
3本部体制で進められてきました。
※詳しくはコチラ

今回、東日本大震災復興対策本部が、復興庁として組織が確立したことに伴い、
この3本部体制も、1庁2本部体制へと移行しています。


※出所:復興庁「(参考資料1)復興庁の体制

その中で、復興庁は、原子力発電所災害の復興を担うとしつつも、
実質的には原子力災害対策本部と役割を分担して担当していくかたちになっています。
下図のように、除染、国民の健康状況把握、補償・賠償などは原子力災害対策本部が、
それ以外の復興のためのインフラ整備、予算の手当などは復興庁が、
担当していくようです。


※出所:復興庁「(参考資料1)復興庁の体制

○復興庁の予算

平成24年度復興庁予算として、復興庁は総額3兆7,754億円を要求しています。
※出所:復興庁「平成24年度復興庁予算(案)の概要

(1) 東日本大震災復興交付金       2,868億円
(2) 東日本大震災復興調整費         50億円
(3) 福島避難解除等区域生活環境整備事業   42億円
(4) 復興特区支援利子補給金         11億円
(5) 復興関係事業費の一括計上      17,429億円
(主な内訳)
・公共事業等              4,881億円
・原子力災害復興関係          4,569億円
・災害廃棄物処理事業          3,442億円
・災害関連融資             1,210億円
(6) 復興庁一般行政経費           33億円
合計                  20,433億円
(7) 全国防災対策及び警察等の災害対処能力向上に係る経費や震災復興特別交付税等
                    17,321億円
総額                  37,754億円

ひとまず、復興を促進めるための復興庁が発足しました。
しかしながら、あくまで復興の主体は国ではなく地方自治体であるというのが、
復興の基本方針です。
皆さんの県市町村レベルでの支援をよろしくお願い致します。

東日本大震災から半年が経過した9/11。
野田内閣ではじめての東日本大震災復興対策本部が開催されました。

今回の対策本部は、震災復興において、
短期的な復旧を担当する「緊急災害対策本部」、
さらに、原子力災害からの復旧復興を担当する「原子力災害対策本部」
とあわせた三本部合同対策本部の形式をとっています。

この日の議論では、菅内閣時に制定された復興基本方針や、
復旧・復興に関する現状、および政府の体制について、
8月末に各本部事務局(官僚)でまとめられた資料が、本部員に共有されました。
この共有の目的は、概して、前内閣からの連続的な本部運営の実現と、
新たな内閣での変更要望や修正要望の有無が確認されていくことにあります。

そのため、会議の議事では、実質的な対策の議論よりも、
新メンバーに対するインプットに比重が置かれていrます。

この新政権誕生を見越して、各本部事務局では、内閣が変わる直前の8月末に、
前内閣における現状認識、方向性、取組内容に関するまとめ作業が、
急ピッチで進められ、前内閣の最終会議にて内容確認が行われていました。
責任ある業務遂行を続けるための、官僚の知恵だと考えられます。

また、この会議では、政府が、国際原子力機関(IAEA)に対して報告する
福島原子力発電所のレポートについても、内容の確認(オーソライズ)が
行われました。

会議で共有された資料
1. 復旧の現状と主な課題への取組(復興対策本部のこれまでの取組のまとめ)
2. 被災地域の復旧の状況等(データ編)(現地の復旧状況の詳細データ)
3. 復興基本方針のポイント(菅内閣でまとめた復興基本方針のまとめ)
4. 除染に関する緊急実施基本方針
5. 国際原子力機関に対する日本国政府の追加報告書
-東京電力福島原子力発電所の事故について-(第2報)(概要)(案)

6. 国際原子力機関に対する日本国政府の追加報告書
-東京電力福島原子力発電所の事故について-(第2報)(案)(日本語版)

7. 国際原子力機関に対する日本国政府の追加報告書
-東京電力福島原子力発電所の事故について-(第2報)(概要)(案)(英語版)

この会議に参加した「東日本大震災復興対策本部」「緊急災害対策本部」
「原子力災害対策本部」の構成員は、
基本的には菅内閣時のメンバーが踏襲されています。
組閣時にも組織運営の連続性が考慮され、平野復興対策担当大臣や、
担当副大臣、担当政務官や事務局の官僚についても、
基本的には再任されています。

大きな構成員の変化となったのは、原子力災害対策を担う経済産業省および
環境省の大臣変更ですが、
その鉢呂経済産業大臣については、突然の辞職に伴い、
経済産業大臣不在の会議となりました。

以下、各本部の構成員の一覧です。

目次

東日本大震災復興対策本部
岩手現地対策本部
宮城現地対策本部
福島現地対策本部
東日本大震災復興構想会議
東日本大震災復興構想会議・専門委員会
内閣官房復興庁設置準備室

緊急災害対策本部
現地対策本部(宮城県庁内)
現地連絡室(岩手・福島県庁内)
被災者・生活支援チーム
震災・ボランティア連携室

原子力災害対策本部
政府・東京電力統合対策室(東京電力内)
現地対策本部(福島県庁内)
原子力災害合同対策協議会
原子力被災者生活支援チーム
原発事故経済被害対応チーム
東京電力に関する経営・財務調査委員会
内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室(通称:原子力安全庁設置準備室)

■ 東日本大震災復興対策本部

東日本大震災復興対策本部

本部長:  野田佳彦(内閣総理大臣)
副本部長: 藤村修(内閣官房長官・経済産業大臣代理)
      平野達男(復興対策担当大臣)
本部員:  川端達夫(総務大臣・内閣府特命担当大臣)
      平岡秀夫(法務大臣)
      玄葉光一郎(外務大臣)
      安住淳(財務大臣)
      中川正春(文部科学大臣)
      小宮山洋子(厚生労働大臣)
      鹿野道彦(農林水産大臣)
      枝野幸男(経済産業大臣)
      前田武志(国土交通大臣)
      細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
      一川保夫(防衛大臣)
      山岡賢次(国家公安委員会委員長)
      自見庄三郎(内閣府特命担当大臣)
      古川元久(内閣府特命担当大臣)
      蓮舫(内閣府特命担当大臣)
      齋藤勁(内閣官房副長官)
      長浜博行(内閣官房副長官)
      竹歳誠(内閣官房副長官)
      津川祥吾(岩手現地対策本部長・国土交通大臣政務官)
      郡和子(宮城現地対策本部長・内閣府大臣政務官・対策本部本部長補佐)
      吉田泉(福島現地対策本部長・財務大臣政務官)
      後藤斎(内閣府副大臣・対策本部本部長補佐)
      松下忠洋(経済産業副大臣)
      浜田和幸(外務大臣政務官)
幹事:   山本庸幸(内閣法制次長)
      浜野潤(内閣府事務次官)
      安藤隆春(警察庁長官)
      畑中龍太郎(金融庁長官)
      福嶋浩彦(消費者庁長官)
      岡本保(総務事務次官)
      大野恒太郎(法務事務次官)
      佐々江賢一郎(外務事務次官)
      勝栄二郎(財務事務次官)
      清水潔(文部科学事務次官)
      阿曽沼慎司(厚生労働事務次官)
      町田勝弘(農林水産事務次官)
      安達健祐(経済産業事務次官)
      宿利正史(国土交通事務次官)
      南川秀樹(環境事務次官)
      中江公人(防衛事務次官)
事務局長: 峰久幸義(内閣官房内閣審議官・元国土交通事務次官)
事務局次長:岡本全勝(内閣官房内閣審議官・前内閣府大臣官房審議官)
      上田健(内閣官房内閣審議官・前国土交通省大臣官房審議官)
      佐川宣寿(内閣官房内閣審議官・前財務省大臣官房審議官)
事務局員: 参事官(25人以内)を含め62人 (事務局体制の詳細はコチラ

岩手現地対策本部

本部長:  津川祥吾(国土交通大臣政務官)
本部員:  関係地方行政機関の長
事務局長: 井上明(内閣官房内閣審議官・前水産庁資源管理部長)
事務局員: 常駐4人、非常勤20人

宮城現地対策本部

本部長:  郡和子(内閣府大臣政務官)
本部員:  関係地方行政機関の長
事務局長: 沢田和宏(内閣官房内閣審議官・前国土交通省東北地方整備局副局長)
事務局員: 常駐4人、非常勤20人

福島現地対策本部

本部長:  吉田泉(財務大臣政務官)
本部員:  関係地方行政機関の長
事務局長: 諸橋省明(内閣官房内閣審議官・前総務省自治財政局公営企業課長)
事務局員: 常駐4人、非常勤20人

東日本大震災復興構想会議

議長:   五百籏頭真(防衛大学校長、神戸大学名誉教授)
議長代理: 安藤忠雄(建築家、東京大学名誉教授)
      御厨貴(東京大学教授)
特別顧問: 梅原猛(哲学者)
委員:   赤坂憲雄(学習院大学教授、福島県立博物館館長)
      内館牧子(脚本家)
      大西隆(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授)
      河田恵昭(関西大学社会安全学部学部長・教授、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長)
      玄侑宗久(臨済宗福聚寺住職、作家)
      佐藤雄平(福島県知事)
      清家篤(慶應義塾塾長)
      高成田享(仙台大学教授)
      達増拓也(岩手県知事) 
      中鉢良治(ソニー株式会社代表執行役副会長)
      橋本五郎(読売新聞特別編集委員)
      村井嘉浩(宮城県知事)

東日本大震災復興構想会議・専門委員会

部会長:  飯尾潤(政策研究大学院大学教授)
部会長代理:森民夫(全国市長会会長、長岡市長)
専門委員: 五十嵐敬喜(法政大学法学部教授)
      池田昌弘(東北関東大震災・共同支援ネットワーク事務局長、
       特定非営利活動法人全国コミュニティライフサポートセンター理事長)
      今村文彦(東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター教授)
      植田和弘(京都大学大学院経済学研究科教授)
      大武健一郎(大塚ホールディングス株式会社代表取締役副会長)
      玄田有史(東京大学社会科学研究所教授)
      河野龍太郎(BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト)
      西郷真理子(都市計画家)
      佐々木経世(イーソリューションズ株式会社代表取締役社長)
      荘林幹太郎(学習院女子大学教授)
      白波瀬佐和子(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
      神成淳司(慶応義塾大学環境情報学部准教授)
      竹村真一(京都造形芸術大学教授)
      團野久茂(日本労働組合総連合会副事務局長)
      馬場治(東京海洋大学海洋科学部教授)
      広田純一(岩手大学農学部共生環境課程学系教授)
      藻谷浩介(株式会社日本政策投資銀行地域振興グループ参事役)

内閣官房復興庁設置準備室
室長:   竹歳誠(内閣官房副長官)
室長代理: 佐々木豊成(内閣官房副長官補)
      峰久幸義(東日本大震災復興対策本部事務局長)
室メンバー:次長1名、審議官2名、参事官11名、事務官17名

■ 緊急災害対策本部

緊急災害対策本部

本部長:  野田佳彦(内閣総理大臣)
副本部長: 藤村修(内閣官房長官・経済産業大臣代理)
      平野達男(防災担当大臣)
      川端達夫(総務大臣・内閣府特命担当大臣)
      一川保夫(防衛大臣)
本部員:  平岡秀夫(法務大臣)
      玄葉光一郎(外務大臣)
      安住淳(財務大臣)
      中川正春(文部科学大臣)
      小宮山洋子(厚生労働大臣)
      鹿野道彦(農林水産大臣)
      枝野幸男(経済産業大臣)
      前田武志(国土交通大臣)
      細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
      山岡賢次(国家公安委員会委員長)
      自見庄三郎(内閣府特命担当大臣)
      古川元久(内閣府特命担当大臣)
      蓮舫(内閣府特命担当大臣)
      後藤斎(内閣府副大臣)
      伊藤哲朗(内閣危機監理官)

現地対策本部(宮城県庁内)

本部長:  郡和子(内閣府大臣政務官)

現地連絡室(岩手・福島県庁内)

室長:   津川祥吾(国土交通大臣政務官)
      吉田泉(財務大臣政務官)

被災者・生活支援チーム

チーム長:  平野達男(防災担当大臣)
チーム長代理:川端達夫(総務大臣)
       齋藤勁(内閣官房副長官)

震災・ボランティア連携室

担当大臣:  平野達男(復興対策担当大臣)
室長:    湯浅誠(内閣府参与)

■ 原子力災害対策本部

原子力災害対策本部

本部長:  野田佳彦(内閣総理大臣)
副本部長: 不在 → 枝野幸男(経済産業大臣)
事務総長: 細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
本部員:  川端達夫(総務大臣・内閣府特命担当大臣)
      平岡秀夫(法務大臣)
      玄葉光一郎(外務大臣)
      安住淳(財務大臣)
      中川正春(文部科学大臣)
      小宮山洋子(厚生労働大臣)
      鹿野道彦(農林水産大臣)
      前田武志(国土交通大臣)
      細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
      一川保夫(防衛大臣)
      藤村修(内閣官房長官・経済産業大臣代理)
      山岡賢次(国家公安委員会委員長)
      平野達男(内閣府特命担当大臣)
      自見庄三郎(内閣府特命担当大臣)
      古川元久(内閣府特命担当大臣)
      蓮舫(内閣府特命担当大臣)
      松下忠洋(経済産業副大臣)
      伊藤哲朗(内閣危機監理官)
陪席:   班目春樹(原子力安全委員会委員長)

政府・東京電力統合対策室(東京電力内)

連絡担当責任者:不在 → 枝野幸男(経済産業大臣)
連絡担当者:  細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)

現地対策本部(福島県庁内)

本部長:    柳澤光美(経済産業大臣政務官)

原子力災害合同対策協議会

現地対策本部長:柳澤光美(経済産業大臣政務官)

原子力被災者生活支援チーム

チーム長:   細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
        不在 → 枝野幸男(経済産業大臣)
チーム長代理: 齋藤勁(内閣官房副長官)
事務局長:   松下忠洋(経済産業副大臣)

原発事故経済被害対応チーム

チーム長:   不在 → 枝野幸男(原子力被害・経済被害担当大臣)
副チーム長:  藤村修(内閣官房長官)
        安住淳(財務大臣)
        中川正春(文部科学大臣)

東京電力に関する経営・財務調査委員会

委員長:   下河辺和彦(弁護士)
委員:    引頭麻実(株式会社大和総研執行役員)
       葛西敬之(東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長)
       松村敏弘(東京大学社会科学研究所教授)
       吉川廣和(DOWAホールディングス株式会社代表取締役会長)

内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室(通称:原子力安全庁設置準備室)

室長:    森本英香(内閣官房内閣審議官・前環境省審議官)
室メンバー: 副室長3名、参事官5名、事務官28名

6月10日、
「東日本大震災復興基本法案」が衆議院本会議で可決されたニュースが
相次いで報道されました。

そして、6月20日にも、同法案は参議院本会議でも可決され、
法律として成立するとの見通しが立てられています。

多くの報道機関は、この衆院通過について、
「復興庁、復興債、復興特区が盛り込まれた」「民主党が自民党・公明党案を丸のみした」
ということに力点を置いていましたが、
どのメディアの記事を読んでも、この法律で「何がどう変わるのか」がわかりづらかったため、
法案にまでさかのぼって内容を見てみました。

法案は、衆議院のホームページから閲覧することができます。
※このブログの最後に法案を全文を掲載しました。

この法案は、4章24条構成となっています。

◆ 第1章(第1条から第5条):総則

法案の趣旨を説明したものであり、具体的に「何が変わるか」に関する取極はありません。

◆ 第2章(第6条から第10条):基本的施策

ここで述べられている具体的な内容は、「財源」についてです。
長い文章ですが、要は、「特例の復興債」を発行して財源を確保するという内容です。
その代わり、その他の国家予算は切り詰めるように努力しようと補足しています。

この復興債は、その他の公債とは区別してモニタリングされるようです。
復興債の額や手法については、「別に法律で定める」と言っているので、
具体的な内容はまだ決まっていません。

第10条では、地方自治体が、
従来の法律に沿わない取組を実施することを可能とするための枠組みとして、
「復興特別区域制度」を検討するということが書かれていますが、
こちらも具体的な内容については、
「総合的に検討を加え、速やかに必要な法制上の措置を講ずる」としており、
具体的な検討はこれからのようです。

◆ 第3章(第11条から第23条):東日本大震災復興対策本部

この章では、新しく内閣に(組織的にはおそらく内閣官房に)新設される
「東日本大震災復興対策本部」の中身について書かれています。

3月11日の大震災発生以降、政府は沸き起こる様々な課題に対して、
次々と「対策チーム」を設置して、対応してきました。
原子力災害対策本部、被災者生活支援特別対策本部、原子力被災者生活支援チーム、
震災ボランティア連携室など、新設された政府の組織は20以上もあるようです。

内閣の中に新たな「チーム」を発動することはそれほど難しくはありません。
誰が「チーム長」で、誰が「副チーム長」なのかを決めればよいだけだからです。
しかし、そのチームを「機能させる」ことは容易ではありません。
具体的なチーム編成、予算、権限、活動範囲、活動内容、活動スケジュール、
意志決定の方法、チーム内や他の省庁との連絡ルートの確立、扱う法案の範囲
などなど、不明確なものがたくさんあるためです。

そのため、新設される「東日本大震災復興対策本部」の役割は、
全体の企画立案や意思決定をスムーズにしていくことにあります。

□ 東日本大震災復興対策本部
 〈意志決定機関〉
   本部長: 首相
   副本部長: 内閣官房長官と東日本大震災復興対策担当大臣(新設)の2名
   本部員: 全ての国務大臣と、首相が任命する副大臣・政務官・官僚トップ
 〈事務遂行機関〉
   幹事: 首相が任命する官僚
   現地対策本部: 本部長(首相が任命する副大臣・政務官など)
              本部員(首相が任命する官僚)
   事務局: 事務局長、事務局員、現地対策本部事務局
 〈ご意見番機関〉
   東日本大震災復興構想会議: 地方自治体の首長または有識者など25名以内
   原発事故対策用の合議制機関: 地方自治体の首長または有識者など
   ※双方とも、関係企業、団体、個人などに資料提出やヒアリングを要求できる。

◆ 第4章(第24条):復興庁の設置に関する基本方針

第3章で定められた「東日本大震災復興対策本部」は、
第4章で定められる「復興庁」が創設されると廃止されることになります。
そして、東日本大震災復興構想会議など、対策本部の下部組織は、
この復興庁に引き継がれることとされています。

これが、成立しようとしている「東日本大震災復興基本法」の内容です。

したがって、冒頭の「この法律によって何が変わるか?」の回答としては、

  新たな行政組織が誕生する。
  復興債や復興特別区域制度というものも誕生しそうだが、
  これらはまだ具体的には決まっていない。
  また、新設される行政組織が実施する新たな政策や取り組みについても、
  まだ決まってない。

ということとなります。
この法律で、復興支援の具体案が何か決まるわけではありません。

しかしながら、この法律は、行政組織を動かしていくためには必要な法律です。
行政組織は、基本的に「法律に基づいて」活動することが許されている組織であり、
人員数、予算額、部署の新設・統廃合等を決めるためには、
すべて国会で法律を新設または修正する必要があるからです。

東日本大震災という通常の行政手続だけでは対応できない大きな問題に対し、
行政組織のリソース(人的資源、予算、資産)を活用するには、
その活用方法に関するルール(基本法)がどうしても必要となります。
この基本法があることで、官僚機構が持てる力を発揮できるようになり、
具体的な施策の検討をスムーズに開始できるのです。

もちろん、この基本法が成立するのが震災発生の3か月後という、
スピードの遅さは極めて大きな問題です。
官僚機構リソースの活用方法を決めるためだけに3か月を費やしては、
国民の支持を得ることはできません。

もちろん、この3か月、国は何も議論をしてこなかったわけではありません。
例えば、東日本大震災復興基本法で規定されている
東日本大震災復興構想会議」は、既に4月15日から活動を始めています。
構想会議の下には、長期ビジョンを検討する「検討部会」も設置され、
様々な有識者による意見交換が開始されています。
他にも、それぞれの省庁において短期的な復興への取組が始まっています。

しかしながら、復興に向けて大がかりな仕掛けについては、
いまだ目指す方向性は固まっておらず、
構想会議で検討されている内容が実際の政策にどう反映されるかについても、
はっきりしないのが実状です。

官僚機構は、巨大な権限、資源、予算を持ち、強大な影響力を持つ一方、
「大組織」として運営効率やスピード、柔軟性を書く性格を本質的に帯びています。

国民は「日本の政治はスピードが遅い」と嘆くだけでなく、
この官僚機構の負の性格を理解した上で、
政府に対する付き合い方や期待の度合いを考えていく必要があると考えています。

===東日本大震災復興基本法案の本文===

目次

 第一章 総則(第一条―第五条)
 第二章 基本的施策(第六条―第十条)
 第三章 東日本大震災復興対策本部(第十一条―第二十三条)
 第四章 復興庁の設置に関する基本方針(第二十四条)
 附則

   第一章 総則

 (目的)
第一条 この法律は、東日本大震災が、その被害が甚大であり、かつ、その被災地域が広範にわたる等極めて大規模なものであるとともに、地震及び津波並びにこれらに伴う原子力発電施設の事故による複合的なものであるという点において我が国にとって未曽有の国難であることに鑑み、東日本大震災からの復興についての基本理念を定め、並びに現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会の実現に向けて、東日本大震災からの復興のための資金の確保、復興特別区域制度の整備その他の基本となる事項を定めるとともに、東日本大震災復興対策本部の設置及び復興庁の設置に関する基本方針を定めること等により、東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進と活力ある日本の再生を図ることを目的とする。

 (基本理念)
第二条 東日本大震災からの復興は、次に掲げる事項を基本理念として行うものとする。
 一 未曽有の災害により、多数の人命が失われるとともに、多数の被災者がその生活基盤を奪われ、被災地域内外での避難生活を余儀なくされる等甚大な被害が生じており、かつ、被災地域における経済活動の停滞が連鎖的に全国各地における企業活動や国民生活に支障を及ぼしている等その影響が広く全国に及んでいることを踏まえ、国民一般の理解と協力の下に、被害を受けた施設を原形に復旧すること等の単なる災害復旧にとどまらない活力ある日本の再生を視野に入れた抜本的な対策及び一人一人の人間が災害を乗り越えて豊かな人生を送ることができるようにすることを旨として行われる復興のための施策の推進により、新たな地域社会の構築がなされるとともに、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指して行われるべきこと。この場合において、行政の内外の知見が集約され、その活用がされるべきこと。
 二 国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の連携協力並びに全国各地の地方公共団体の相互の連携協力が確保されるとともに、被災地域の住民の意向が尊重され、あわせて女性、子ども、障害者等を含めた多様な国民の意見が反映されるべきこと。この場合において、被災により本来果たすべき機能を十全に発揮することができない地方公共団体があることへの配慮がされるべきこと。
 三 被災者を含む国民一人一人が相互に連帯し、かつ、協力することを基本とし、国民、事業者その他民間における多様な主体が、自発的に協働するとともに、適切に役割を分担すべきこと。
 四 少子高齢化、人口の減少及び国境を越えた社会経済活動の進展への対応等の我が国が直面する課題や、食料問題、電力その他のエネルギーの利用の制約、環境への負荷及び地球温暖化問題等の人類共通の課題の解決に資するための先導的な施策への取組が行われるべきこと。
 五 次に掲げる施策が推進されるべきこと。
  イ 地震その他の天災地変による災害の防止の効果が高く、何人も将来にわたって安心して暮らすことのできる安全な地域づくりを進めるための施策
  ロ 被災地域における雇用機会の創出と持続可能で活力ある社会経済の再生を図るための施策
  ハ 地域の特色ある文化を振興し、地域社会の絆(きずな)の維持及び強化を図り、並びに共生社会の実現に資するための施策
 六 原子力発電施設の事故による災害を受けた地域の復興については、当該災害の復旧の状況等を勘案しつつ、前各号に掲げる事項が行われるべきこと。

 (国の責務)
第三条 国は、前条の基本理念にのっとり、二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を示すとともに、東日本大震災からの復興のための施策に関する基本的な方針(以下「東日本大震災復興基本方針」という。)を定め、これに基づき、東日本大震災からの復興に必要な別に法律で定める措置その他の措置を講ずる責務を有する。
 (地方公共団体の責務)
第四条 地方公共団体は、第二条の基本理念にのっとり、かつ、東日本大震災復興基本方針を踏まえ、計画的かつ総合的に、東日本大震災からの復興に必要な措置を講ずる責務を有する。

 (国民の努力)
第五条 国民は、第二条の基本理念にのっとり、相互扶助と連帯の精神に基づいて、被災者への支援その他の助け合いに努めるものとする。

   第二章 基本的施策

 (復興に関する施策の迅速な実施)
第六条 国は、東日本大震災からの復興に関する施策を迅速に実施するため、第三条の規定により講ずる措置について、その円滑かつ弾力的な執行に努めなければならない。

 (資金の確保のための措置)
第七条 国は、次に掲げる措置その他の措置を講ずることにより、東日本大震災からの復興のための資金の確保に努めるものとする。
 一 復興及びこれに関連する施策以外の施策に係る予算を徹底的に見直し、当該施策に係る歳出の削減を図ること。
 二 財政投融資に係る資金及び民間の資金の積極的な活用を図ること。

 (復興債の発行等)
第八条 国は、東日本大震災からの復興に必要な資金を確保するため、別に法律で定めるところにより、公債(次項において「復興債」という。)を発行するものとする。
2 国は、復興債については、その他の公債と区分して管理するとともに、別に法律で定める措置その他の措置を講ずることにより、あらかじめ、その償還の道筋を明らかにするものとする。

 (復興に係る国の資金の流れの透明化)
第九条 国は、被災者を含めた国民一人一人が東日本大震災からの復興の担い手であることを踏まえて、その復興に係る国の資金の流れについては、国の財政と地方公共団体の財政との関係を含めてその透明化を図るものとする。

 (復興特別区域制度の整備)
第十条 政府は、被災地域の地方公共団体の申出により、区域を限って、規制の特例措置その他の特別措置を適用する制度(以下「復興特別区域制度」という。)を活用し、地域における創意工夫を生かして行われる東日本大震災からの復興に向けた取組の推進を図るものとし、このために必要な復興特別区域制度について総合的に検討を加え、速やかに必要な法制上の措置を講ずるものとする。

   第三章 東日本大震災復興対策本部

 (設置)
第十一条 内閣に、東日本大震災復興対策本部(以下「本部」という。)を置く。

 (所掌事務)
第十二条 本部は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 東日本大震災復興基本方針に関する企画及び立案並びに総合調整に関する事務
 二 関係地方公共団体が行う復興事業への国の支援その他関係行政機関が講ずる東日本大震災からの復興のための施策の実施の推進及びこれに関する総合調整に関する事務
 三 前二号に掲げるもののほか、法令の規定により本部に属させられた事務

 (東日本大震災復興対策本部長)
第十三条 本部の長は、東日本大震災復興対策本部長(以下「本部長」という。)とし、内閣総理大臣をもって充てる。
2 本部長は、本部の事務を総括し、所部の職員を指揮監督する。

 (東日本大震災復興対策副本部長)
第十四条 本部に、東日本大震災復興対策副本部長(以下「副本部長」という。)を置き、内閣官房長官及び東日本大震災復興対策担当大臣(内閣総理大臣の命を受けて、東日本大震災からの復興のための施策の推進に関し内閣総理大臣を助けることをその職務とする国務大臣をいう。)をもって充てる。
2 副本部長は、本部長の職務を助ける。

 (東日本大震災復興対策本部員)
第十五条 本部に、東日本大震災復興対策本部員(以下「本部員」という。)を置く。
2 本部員は、次に掲げる者をもって充てる。
 一 本部長及び副本部長以外の全ての国務大臣
 二 内閣官房副長官、関係府省の副大臣若しくは大臣政務官又は国務大臣以外の関係行政機関の長のうちから、内閣総理大臣が任命する者

 (幹事)
第十六条 本部に、幹事を置く。
2 幹事は、関係行政機関の職員のうちから、内閣総理大臣が任命する。
3 幹事は、本部の所掌事務について、本部長、副本部長及び本部員を助ける。

 (現地対策本部)
第十七条 本部に、第十二条(第一号を除く。)に規定する事務の一部を分掌させるため、地方機関として、所要の地に現地対策本部を置く。
2 現地対策本部の名称、位置及び管轄区域は、政令で定める。
3 現地対策本部に現地対策本部長を置き、関係府省の副大臣、大臣政務官その他の職を占める者のうちから内閣総理大臣が任命する者をもって充てる。
4 現地対策本部長は、本部長の命を受け、現地対策本部の事務を掌理する。
5 現地対策本部に現地対策本部員を置き、国の関係地方行政機関の長その他の職員のうちから内閣総理大臣が任命する者をもって充てる。

 (東日本大震災復興構想会議の設置等)
第十八条 本部に、東日本大震災復興構想会議を置く。
2 東日本大震災復興構想会議は、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 本部長の諮問に応じて、東日本大震災からの復興に関する重要事項を調査審議し、及びこれに関し必要と認める事項を本部長に建議すること。
 二 東日本大震災からの復興のための施策の実施状況を調査審議し、必要があると認める場合に本部長に意見を述べること。
3 東日本大震災復興構想会議は、議長及び委員二十五人以内をもって組織する。
4 議長及び委員は、関係地方公共団体の長及び優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する。

 (原子力発電施設の事故による災害を受けた地域の復興に関する合議制の機関)
第十九条 前条第一項に定めるもののほか、原子力発電施設の事故による災害を受けた地域の復興に関する重要事項について、当該災害の復旧の状況等を踏まえ、特別に調査審議を行わせるため必要があると認められるときは、政令で定めるところにより、本部に、関係地方公共団体の長及び原子力関連技術、当該災害を受けた地域の経済事情等に関し優れた識見を有する者で構成される合議制の機関を置くことができる。この場合において、当該機関による調査審議は、東日本大震災復興構想会議による調査審議の結果を踏まえて行われなければならない。

 (資料の提出その他の協力の要請)
第二十条 東日本大震災復興構想会議及び前条に規定する合議制の機関(以下「東日本大震災復興構想会議等」という。)は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関又は関係のある公私の団体に対し、資料の提出、意見の表明、説明その他の必要な協力を求めることができる。
2 東日本大震災復興構想会議等は、その所掌事務を遂行するため特に必要があると認めるときは、前項に規定する者以外の者であって調査審議の対象となる事項に関し識見を有する者に対しても、必要な協力を依頼することができる。

 (事務局)
第二十一条 本部に、その事務を処理させるため、事務局を置く。
2 事務局に、事務局長その他の職員を置く。
3 事務局長は、関係のある他の職を占める者をもって充てられるものとする。
4 事務局長は、本部長の命を受け、局務を掌理する。
5 事務局に、現地対策本部に対応して、事務局の所掌事務のうち当該現地対策本部に係るものを処理させるため、現地対策本部事務局を置く。

 (主任の大臣)
第二十二条 本部に係る事項については、内閣法(昭和二十二年法律第五号)にいう主任の大臣は、内閣総理大臣とする。

 (政令への委任)
第二十三条 この章に定めるもののほか、本部に関し必要な事項は、政令で定める。

   第四章 復興庁の設置に関する基本方針

第二十四条 別に法律で定めるところにより、内閣に、復興庁(第三項に規定する事務を行う行政組織をいう。以下同じ。)を設置するものとする。
2 復興庁は、期間を限って、置かれるものとする。
3 復興庁は、主体的かつ一体的に行うべき東日本大震災からの復興に関する国の施策に関し、次に掲げる事務をつかさどるものとし、当該事務の効率的かつ円滑な遂行が確保されるよう編成するものとする。
 一 東日本大震災からの復興に関する施策の企画及び立案並びに総合調整に関する事務
 二 東日本大震災からの復興に関する施策の実施に係る事務
 三 その他東日本大震災からの復興に関し必要な事務
4 本部は、復興庁の設置の際に廃止するものとし、本部並びに現地対策本部、東日本大震災復興構想会議等及びその他の本部に置かれる組織の機能は、復興庁及びこれに置かれる組織に引き継がれるものとする。
5 復興庁は、できるだけ早期に設置することとし、政府は、前各項に定めるところにより、復興庁を設置するために必要な措置について検討を行い、可能な限り早い時期に法制上の措置を講ずるものとする。

   附 則
 この法律は、公布の日から施行する。

     理 由
 東日本大震災が、その被害が甚大であり、かつ、その被災地域が広範にわたる等極めて大規模なものであるとともに、地震及び津波並びにこれらに伴う原子力発電施設の事故による複合的なものであるという点において我が国にとって未曽有の国難であることに鑑み、東日本大震災からの復興の円滑かつ迅速な推進と活力ある日本の再生を図るため、東日本大震災からの復興についての基本理念を定め、並びに現在及び将来の国民が安心して豊かな生活を営むことができる経済社会の実現に向けて、東日本大震災からの復興のための資金の確保、復興特別区域制度の整備その他の基本となる事項を定めるとともに、東日本大震災復興対策本部の設置及び復興庁の設置に関する基本方針を定めること等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。