行政改革。行財政改革。構造改革。公共サービス改革。行政刷新。
過去約15年、名前を変えながらもこのテーマの必要性が叫ばれてきました。

自民党政権、民主党政権ともに、このテーマを政府の重要取組課題として位置付けましたが、
なかなかその成果は伝わってきません。

今回は、現在、政府で行われている行政改革の体制や中身を紹介するとともに、
「新しい公共」への新たな一歩を提言したいと思います。

以前このブログで、イギリス政府の事例を紹介しました。
イギリス政府が進める公共サービスの“社会企業”への委託
イギリス政府は、今後の行政や「国」のあり方として、
市民社会、より詳細にはいわゆる「ソーシャルビジネス」と協働して、
公共サービスを市民に提供していく方向への転換を発表しています。

すなわち、従来、公共サービスは、
「国や地方政府が提供する」
「国や地方政府が定めたものを、外部機関にアウトソースする」
と定義されてきたのに対し、
このイギリス政府の発表では、
「国とソーシャルビジネスが台頭に公共サービスの担い手となる」
「国はソーシャルビジネスが活躍できる環境を整える役割を担う」
と斬新な定義をしているのです。

さて、日本政府においては、どのような検討がされているのでしょうか。

具体的な政府の活動を紹介する前に、
まず、あらためて、「行政改革」という言葉を定義したいと思います。

2006年に自民党政権下で制定された「行政改革推進法」では、
行政改革は「簡素で効率的な政府を実現するための改革」と位置付けられました。
また、2009年に民主党政権下で閣議決定した「行政刷新会議の設置」においては、
行政刷新を「国民的な観点から、国の予算、制度その他国の行政全般の在り方を刷新するとと
もに、国、地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行う」ことと定義されています。

正直、どちらの定義も非常にぼんやりとしています。
そこで、ここでは、行政改革の定義を、
「国や地方政府が行うべき事業やサービスを再定義し、さらに公共サービスを提供するための
手法として、国、地方政府、民間の役割を再設計する改革」としたいと思います。

現在、日本政府は、行政改革に関する検討を複数の別々の場で実施しています。

・内閣府行政刷新会議 (事業仕訳・規制緩和改革)
・内閣府「新しい公共」推進会議(ソーシャルビジネス・NPOの環境整備)
・内閣府地域主権戦略会議(国から地方への権限移譲)
・内閣官房国家戦略室(国がやるべきことの整理)

※自民党政権で発足した内閣行政改革推進本部は一定の役割を終えて2011年6月に廃止
 され、現在は後継組織「内閣官房行政改革推進室」にて、独立行政法人の見直し業務や役員
 公募事務のみ実施しています。

それぞれの検討ボードには、担当の大臣がいます。
・行政刷新会議:     蓮舫 内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)
・「新しい公共」推進会議:蓮舫 内閣府特命担当大臣(「新しい公共」担当)
・地域主権戦略会議:   川端達夫 内閣府特命担当大臣(地域主権推進担当)
・国家戦略室:      古川元久 国家戦略担当大臣

また、いずれの検討ボードにも事務局員として官僚が配置されています。
基本的な活動は、方針を定めるために、外部委員を含めた検討会議を定期的に開催し、
政府方針や骨格となる法律の制定を一定のゴールとしています。
そのための各府省との折衝、定めた事項のモニタリングも実施しています。

続いて、それぞれの会議体の中身を見ていきたいと思います。

〇 行政刷新会議

行政刷新会議の主な仕事のひとつは、政府歳出の削減です。
「事業仕分け」という名前で、テレビでも大きく報道されました。

行政刷新会議の議員
 議長: 野田 佳彦(内閣総理大臣)
 副議長: 蓮舫 (内閣府特命担当大臣/行政刷新)
 議員: 藤村 修(内閣官房長官)
    古川 元久(国家戦略担当大臣) 
    安住 淳(財務大臣)
    川端 達夫(総務大臣)
    葛西 敬之(東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長)
    加藤 秀樹(行政刷新会議事務局長)
    片山 善博(慶應義塾大学法学部教授)
    草野 忠義(公益財団法人連合総合生活開発研究所理事長)
    松井 孝典(千葉工業大学惑星探査研究センター所長)
    茂木 友三郎(キッコーマン株式会社取締役名誉会長 取締役会議長)
    吉川 廣和(DOWAホールディングス株式会社相談役)

民主党政権下で始まった行政刷新会議(事業仕分け)は、
2009年秋の第1弾、2010年春の第2弾、2010年秋の第3弾の3回行われ、
この過程で、政府の一般会計および特別会計の無駄が洗い出されました。
成果は、合計で約1兆円の事業削減(歳出削減)の方向性が出されたことです。

しかしながら、日本全体の政府負債が1000兆円を超えている現在、
1兆円の事業削減では埒があきません。
また、事業削減の方向性が出された政府事業の中には、
所管官庁が事業削減に抵抗しているものも多数あります。(内容はコチラ

また、行政刷新会議の組織下には、「規制・制度改革に関する分科会」があり、
ここでは、政府の「権限」をスリム化し、自由市場によるイノベーションを期待する検討が
なされています。

規制・制度改革に関する分科会の構成員(2010年10月時点)
 分科会長:平野達男(内閣府副大臣/規制改革担当)
 分科会長代理:園田康博(内閣府大臣政務官/規制改革担当)
 分科会長代理:岡素之(住友商事株式会社代表取締役会長)
 メンバー  :安念潤司(中央大学法科大学院教授)
         大上二三雄(エム・アイ・コンサルティンググループ株式会社代表取締役)
         大室康一(三井不動産株式会社代表取締役副社長)
         翁百合(株式会社日本総合研究所理事)
         黒岩祐治(ジャーナリスト・国際医療福祉大学大学院教授)
         中条潮(慶應義塾大学商学部教授)
         土屋了介(財団法人癌研究会顧問)
         新浪剛史(株式会社ローソン代表取締役社長CEO)
         星野佳路(株式会社星野リゾート代表取締役社長)
         若田部昌澄(早稲田大学政治経済学術院教授)
         渡邊佳英(日本商工会議所特別顧問、東京商工会議所副会頭、
              大崎電気工業株式会社会長)

規制緩和の重点は、「グリーンイノベーション」「ライフイノベーション」
「農林・地域活性化」「アジア経済戦略、金融」という4テーマに置かれています。

東日本大震災の前の2011年1月26日に行われた最後の会議では、
現在検討されている規制緩和ポイントのレビューが行われました。

レビューには、それぞれの規制緩和に関する所管省庁の反論が記されています。
そして、所管省庁は、「国の管理下から離れると、行政庁の監督が行き届かなくなる。
公益性が損なわれる」という理由で、基本的に規制緩和に反対する姿勢を示しています。

所管省庁が規制緩和に反対する姿はある意味当然だといえます。
規制をするそれなりの理由がなければ、そもそも規制をされていないからです。
市場の公平性を担保するのが政府の役割だとすれば、
規制することは政府の当然の仕事だといえます。

この状況下で、規制緩和を議論するためには、
「国や地方政府として最低限担保しなければならないことは何か?」
「何を得るために、何を犠牲にするのか?」
という規制の有無を判断するための大きな判断軸が必要となります。

このように行政刷新会議は行政改革のための十分な成果を挙げられずにいます。
その原因の一つは、
「大きな判断軸をもって個別案件の必要性を判断する」という方法をとるための、
「大きな判断軸」を持っていないという点です。
この大きな判断軸の不在という課題は、国家戦略室の議論と絡んできますので、
そちらのコーナーで解説していきます。

そして、行政刷新介護が空回りしているもう一つの原因は、
「公益性のある事業は政府が担当する」という姿勢を所管省庁が貫いている点です。
公益性のある事業を政府だけでなく、
ソーシャルビジネス・NPOとともに提供していくというイギリス政府のような考え方は、
「新しい公共」推進会議にて検討されていますので、
この2つ目の原因については、「新しい公共」推進会議のコーナーにて、
より深くみていきたいと思います。
 

〇 「新しい公共」推進会議

この会議体の趣旨は、
「官だけでなく、市民、NPO、企業などが積極的に公共的な財・サービスの提供主体となり、
身近な分野において、共助の精神で活動する「新しい公共」の推進について、「新しい公共」
を支える多様な担い手が検討を行う場」
となっています。

「新しい公共」推進会議構成員
 委員: 秋山をね(株式会社インテグレックス代表取締役社長)
     浅岡美恵(気候ネットワーク代表・弁護士)
     小澤浩子(東京都赤羽消防団副団長)
     加藤好一(生活クラブ事業連合生活協同組合連合会会長)
     金子郁容(慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授)
     兼間道子(特定非営利活動法人日本ケアシステム協会会長・
          新しい公共をつくる市民キャビネット共同代表)
     北城恪太郎(日本アイ・ビー・エム株式会社最高顧問)
     黒田かをり(CSOネットワーク 共同事業責任者)
     佐野章二(ビッグイシュー日本代表)
     白井智子(特定非営利活動法人トイボックス代表理事)
     高橋公(特定非営利活動法人ふるさと回帰支援センター専務理事・事務局長)
     坪郷實(早稲田大学社会科学総合学術院教授)
     寺脇研(京都造形芸術大学芸術学部教授)
     中竹竜二(財団法人ラグビーフットボール協会コーチングディレクター)
     新浪剛史(株式会社ローソン代表取締役社長CEO)
     西田厚聰(株式会社東芝取締役会長)
     早瀬昇(社会福祉法人大阪ボランティア協会常務理事・
         特定非営利活動法人日本NPOセンター副代表理事)
     藤岡喜美子(特定非営利活動法人市民フォーラム21・NPOセンター事務局長・
           一般社団法人日本サードセクター経営者協会執行理事兼事務局長)
     向田映子(女性・市民コミュニティバンク理事長)
     山口誠史(特定非営利活動法人国際協力NGOセンター事務局長・理事)

2011年7月22日に開催された最後の会合では、
新たな公共サービスの担い手となるNPOの財務基盤改善のための取組や
NPOのキャパシティビルティングのための政府事業がレビューされました。

財務基盤改善のための柱としてニュース等で報道されたのが、
「特定非営利活動促進法(通称NPO法)の改正」です。
改正のポイントは、寄付に対して税制優遇を受けられる「認定NPO法人」の認定要件緩和です。
従来、「寄附金が総収入に占める割合が1/5以上」とされたいた要件の他に、
「各事業年度に3,000円以上の寄附を平均100人以上から受けること」又は
「事務所所在地の自治体の条例による個別指定を受けること」でも、
認定が受けられるようになりました。

また、同日の会合では、
政府と市民セクターとの関係のあり方等に関する報告」が発表され、
「新たな公共」についての重要な骨子となる政府とNPOの関係のあり方についての検討報告も
なされました。

しかしながら、この「新たな公共」推進会議も大きな課題をかかえています。
それは、「新たな公共」の推進の意味合いが、「NPO活動の普及促進」にとどまり、
「国の役割を縮小し、公共サービスの担い手を民間に移す」という行政改革の側面が、
ほとんど検討から抜け落ちているという点です。

例えば、目玉施策であった認定NPO法人の要件緩和。
認定されたNPOは、政府にかわり公共サービスを担っていくことが期待されていそうですが、
政府はこの要件緩和による財源の移行(NPOの税額控除)の規模を
たったの3000万円と見積もっています。(出所はコチラ
これでは行政改革としては大きな成果とはなりません。

また、キャパシティビルディングの分野においても、
特定事業への補助金支給がメインとなっており、
結果的に、行政のスリム化ではなく政府歳出の拡大を招いています。
例えば、この会議体のもうひとつの目玉施策であり、予算87.5億円がついた
「新しい公共支援事業」では、モデル事業の推進という名のもとに、
予算が各都道府県にばらまかれています。
確かにこの予算は、将来の行政スリム化のための先行投資だともいえます。
しかしながら、この投資が生む将来効果については明らかにされていません。

行政改革として、「新しい公共」をとらえていくためには、
「新たな公共」がどのような未来を想像しているのかを具体的にイメージすることが重要です。

政府の歳出規模はいくらぐらいか。国と地方と民間の役割分担は何か。
どのように市民は声を民間の公共サービス担い手に反映していくのか。
サービスの公平性・平等性はどのように担保していけるのか。
「新たな公共」時代のナショナル・ミニマムは何か。

これらの将来ゴールに対するイメージが不明確な状況では、
有効な先行投資のあり方は意思決定できませんし、
官庁側もNPOや他のプレーヤーを信頼して規制緩和や事業廃止を意思決定できません。
 

〇 地域主権戦略会議

2010年6月に閣議決定された「地域主権戦略大綱」。
その中で、地域主権改革の意義は、
「国と地方公共団体の関係を、国が地方に優越する上下の関係から、対等の立場で対話のでき
る新たなパートナーシップの関係へと根本的に転換し、国民が、地域の住民として、自らの暮
らす地域の在り方について自ら考え、主体的に行動し、その行動と選択に責任を負うという住
民主体の発想に基づいて、改革を推進していかなければならない。」
と謳われています。

この会議体では、国から地方への権限移譲、財源移譲、国と地方の協議の場の制度化、
国の出先機関の原則廃止などが具体的に検討され、検討スケジュールも組まれています。
 
地域主権戦略会議の構成員(2011年7月7日時点)
 議長:菅直人(内閣総理大臣)
 副議長:片山善博(内閣府特命担当大臣/地域主権推進)
 構成員:野田佳彦(財務大臣)
     枝野幸男(内閣官房長官)
     玄葉光一郎(国家戦略担当大臣)
     上田清司(埼玉県知事)
     北川正恭(早稲田大学大学院公共経営研究科教授)
     北橋健治(北九州市長)
     小早川光郎(成蹊大学法科大学院教授)
     神野直彦(東京大学名誉教授)
     橋下徹(大阪府知事)
     前田正子(甲南大学マネジメント創造学部教授)
     盛泰子(伊万里市議会議員)
     渡邊廣吉(聖籠町長)

しかしながら、やはりこの地域主権戦略会議にも大きな課題があります。
それは、議論の内容が、国から地方への権限移譲にのみ焦点があてられており、
行政改革にとって不可欠な「行政のスリム化」の方向性が不明確である点です。

例えば、地域主権戦略大綱の中では、財源について、
「(財源の取扱い)事務・権限の地方自治体への移譲及び国から地方自治体への人員の移管等
に際しては、改革の理念に沿って、それに伴う財源を確保することとし必要な措置を講ずる。」
とだけ述べており、具体的な方策は示されていません。

一方で、昨今の景気後退や東日本大震災の影響を受け、
地方財政の国庫依存度は高まるばかりです。
本格的な地方主権改革のためには、
国と地方との歳出総額削減の検討、国の役割の特定という
大きなプロセスが必要です。
 

〇 国家戦略室

民主党政権の肝入りとして登場した「国家戦略室」は。
国家の長期的な役割を定めるために設置されました。
すなわち、行政刷新会議、「新たな公共」推進会議、地方主権戦略会議のいずれにおいても
課題となっている「国家の長期的な役割・ビジョン」を定める役割をになっています。

当初は、内閣官房に「国家戦略局」を設置するまでの時限的な「国家戦略室」だったのですが、
局化のための法案審議がとりやめになり、引き続き「国家戦略室」として存続しています。
そのため、国家の長期的なビジョンづくりは、国家戦略局が誕生するまでお預けになっている
と思っている方もいるかもしれませんが、
実は、国家の長期的役割や重要政策は、なんと2010年6月にすでに設定されています。
新成長戦略 〜「元気な日本」復活のシナリオ〜

この新成長戦略は、21の国家戦略プロジェクトが指定し、
それぞれのプロジェクトについて2020年時点の到達ゴールが設定されています。
到達ゴールは、数値目標を持って設定されており、比較的わかりやすい内容です。

また、2010年9月には「新成長戦略実現会議」が設置され、
新成長戦略実現に向けての短期目標設定や進捗確認がなされています。

新成長戦略実現会議の委員(2011年8月3日時点)
 議長:菅直人(内閣総理大臣)
 副議長:枝野幸男(内閣官房長官)
     玄葉光一郎(国家戦略担当大臣兼内閣府特命担当大臣)
     海江田万里(経済産業大臣)
 委員:野田佳彦(財務大臣)
    内閣総理大臣が指名する大臣
    白川方明(日本銀行総裁)
    伊藤元重(東京大学大学院経済学研究科教授)
    岡村正(日本商工会議所会頭)
    河野栄子(DIC株式会社社外取締役)
    古賀伸明(日本労働組合総連合会会長)
    小宮山宏(三菱総合研究所理事長)
    桜井正光(経済同友会代表幹事)
    清家篤(慶応義塾塾長)
    宮本太郎(北海道大学大学院法学研究科教授)
    米倉弘昌(日本経済団体連合会会長)

しかしながら、「行政改革」の要となるはずの政府の役割を定めた新成長戦略は、
大きな欠陥をもっています。

それは、長期的なゴールが定められている一方で、
その実現ために必要な予算が明らかでない点です。

企業に例えるならば、10か年戦略の中に到達すべき事業イメージがあれども、
そのためのコスト・投資計画、および利益計画がないということになります。
それでは、せっかく定めた戦略を推進する間に倒産してしまうかもしれませんし、
様々な事業課題の中で、投資対効果を鑑みた優先順位づけもできません。

この「予算に関する記述がない」長期目標では、
将来の必要歳入・歳出規模に関する見通しが立たないため、
税改革議論も、歳出削減の検討も、規制改革の検討もできません。
さらに、どのぐらい公共サービスを効率化する必要があるかも不明瞭なため、
国と地方と民間の役割分担の設計もできません。

結果として、この「新成長戦略」は、
行政改革を推進するための重要な機能を果たしていないことになります。

逆説的に、もし「新成長戦略」が明確な財政計画をもっている場合を、
考えてみましょう。

明確な財政計画をもった「新成長戦略」があれば、
国家(政府)が果たすべき役割とそれが実現された場合の財政インパクトがわかり、
同時に、非重要政策項目および削るべき予算額が明らかになります。

その結果、行政刷新会議において、非重要政策項目と削るべき予算額を判断軸とし、
大胆な事業仕分けと規制緩和を実施することができます。
同時に、地方主権戦略会議においても、地方分権の中で実現すべきコスト削減、
行政サービスの効率化目標を明確に定めることができます。
さらに、政府が事業撤退したサービスを民間が担っていくために必要な措置や基盤整備内容が
同時に明らかになるため、「新しい公共」推進会議での検討課題も明確となり、
市民社会も「今後何を自分たちで担う必要があるのか」を認識し、
NPOやソーシャルビジネスの活動も活発化していきます。

イギリス政府は、歳出削減の必要性を前に、「新しい公共」の概念をいち早く確立しました。
一方で、日本政府は、歳出削減の必要性に苛まれながらも、
従来公共サービスを担ってきた所管官庁が「新しい公共」の概念を信頼しきれず、
新たな公共サービスの担い手に役割を受け渡していくことに躊躇しています。
所管官庁の立場からすると、自らの権益や人事的利益を冒した上に、
維持してきた公共サービスを質の面でもリスクに追いやることはしたくないはずです。

しかしながら、日本政府の歳出削減の必要性は待ったないところまできています。
所管官庁に対して「事業縮小」を説得力をもって交渉していくためには、
政府の長期的ゴール(財政計画含む)を政治的リーダーシップをもって設定したうえで、
「何が議論の余地なく必要なのか」を所管官庁に示すプロセスが欠かせません。

こうした将来の到達ゴールイメージを明確にするバックキャスティングの取組が、
日本の行政改革、「新たな公共」の推進のために有効に機能するのではないでしょうか。

ここ数年、企業に対して、ESG(環境・社会・ガバナンス)分野に関する法規制が、
欧米諸国を中心に強化しつつあります。

今回は、その中でも特に重要だとされているものをご紹介します。
BSRのレポートを参考にしました。

〇 U.K. Bribery Act 2010(2010年イギリス贈収賄防止法)

イギリスで2010年4月に制定された贈収賄防止法が、2011年4月に施行されます。
この法律は、過去になく適用範囲が大幅に拡大されているのが特徴です。
通常の贈収賄防止法は、国内に上場または登記している企業が対象なのですが、
この法律は、適用範囲が国境を超える、域外適用を認めています。

例えば、登記していなくても、イギリス国内の企業や個人と販売・調達の取引がある、
イギリス国内を通過する物流を行っているなど、なんらかの事業活動のつながりが、
イギリス国内にあれば、その企業は適用範囲となります。

また、イギリス国民に対しては、国外にいても適用されます。

そのため、日本に登記をしている企業が、インドで贈収賄行為を行ったとしても、
その企業がイギリス国内でも事業をすれば、その贈収賄行為にもこのイギリス法が
適用され裁かれます。

また、「贈収賄行為」の範囲も例のないほど拡大され、
いかなる「便宜行為」も例外として認められません。
企業や個人が、自分の利益のために、他者・他社に対して金品を渡す行為は、
すべて「贈収賄行為」として認識されます。
間に代理人等を介して行う場合でも、訴追されます。

この法を犯した場合は、個人に対し10年以下の懲役または禁錮が課せられます。
刑期の長さでも他に例を見ません。
例えこの法律に対する認識がなかったとしても、同法律は適用されます。
 

〇 U.S. Dodd-Frank Act(ドッド・フランク法)

この法律そのものは、リーマンショック後の金融規制強化のために制定されましたが、
同法1502条に、コンゴ民主共和国の紛争資源に関わる条文が盛り込まれています。

同法自体は2010年夏に制定されていますが、紛争資源に関わる詳細は、
SEC(アメリカ証券取引委員会)に審議に委ねられており、
SECは2011年4月に最終ルールを施行する予定としています。

紛争資源として定められているのは、錫、タンタル、タングステン、金の4種類。
そのほか、SECが必要と定めた場合には、他の鉱物も追加されます。

この法律の適用対象者は、アメリカで株式上場をし、さらに、上記の4種類の鉱物を
原料として必要とするすべての製造業者。
これらの企業は、この4種類の鉱物の原産国が、
コンゴ民主共和国および周辺諸国(スーダン、中央アフリカ、コンゴ共和国、アンゴラ、
ザンビア、マラウィ、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、タンザニア)であるかどうかを
開示しなければなりません。
原料の直接の購入者でなくとも、調達先をたどり原産国を特定する必要があるため、
サプライチェーンの途中にいる企業に対しても事実上同様の努力が課せられることとなります。

ルールとして定められている要求事項は、
・原産国がコンゴ民主共和国および周辺諸国であるかどうかを開示しなければならない。
・原産国が当該諸国でない場合は、それを第三者機関などが認証しなければならない。
・原産国が当該諸国である場合や判断できない場合は、「紛争鉱物報告書」を作成しなければならない。

罰則については現在、SECにて検討されています。
 

〇 California Transparency in Supply Chains Act(カリフォルニア州サプライチェーン透明法)

カリフォルニア州で2010年9月に制定された州法です。
米国で社会問題となっている人身売買の防止を強化するために定められました。

カリフォルニア州内のすべての企業は、人身売買を防止するための取組につして、
ホームページ上などで公開することが義務付けられています。
また、国際人権規約を順守することも、同様に義務付けられています。
 

〇 EU Flegt Law(EU木材規制)

2010年にEU域内27か国に適用される木材規制が制定されました。

これは、違法な方法で伐採・生産された木材製品の取引を禁じるものです。

同法は2013年3月3日に施行され、以後、EU域内の木材取引企業には以下の義務が課されます。
・違法な方法で伐採・生産された木材製品の取引の禁止
・全ての木材製品がEU域内に持ち込まれた時点で、違法性有無のデューデリジェンスを実施。
・トレーサビリティ確立のため、全ての木材製品取引において買い手と売り手の記録。
 

〇 OECD Guidelines on multinational enterprises(OECD多国籍企業ガイドライン)

2011年5月に制定されたガイドラインで、環境、労働環境、人権、賄賂などについて、
多国籍企業が守るべき事項が書かれています。

こちらは法律ではありませんが、42か国が同ガイドラインに採択しており、
企業が自主的に守るべき規制として、今後認識されていく可能性が非常に高いです。

〇 UN Guiding Principles on Business and Human Rights(国連ビジネスおよび人権原則)

こちらも人権について書かれた国連のガイドラインで、2011年6月に制定されました。

企業経営において守るべき人権項目が説明されています。

OECDガイドラインと同様、法律ではありませんが、国連の人権委員会で採択されたものであり、
国内法の規制強化へと方向づけるものになる可能性があります。

 

企業のグローバル化とは、海外の法規制に対してもアンテナを張り、
順守していく努力を必然的に伴います。
今回紹介したものは、ぜひ日本のグローバル企業の皆さんにも知っておいて頂きたいと思う
ものたちばかりです。

世界の政財界関係者が一堂に会する世界経済フォーラム(通称ダボス会議)。

毎年1月にスイスのダボスで行われる年次総会に加え、
2007年からは毎年夏に中国でニュー・チャンピオン年次総会(通称夏季ダボス会議)が
開催されています。
今年2011年は、9月14日から16日まで大連にて開催されていました。

その中で毎年の恒例行事となっているのが、
ボストン・コンサルティング・グループが調査発表する
「ニュー・サステナビリティ・チャンピオン」(New Sustainability Champion)の発表。

この賞は、今日世界の経済成長課題に対して、革新的で実用的なソリューションを
生み出し推進し、グローバル社会に広めている組織に対して与えられます。
特に、経済活動インフラが整備されている先進国の政府、環境団体、グローバル企業
ではなく、より日々の苦労が大きい新興国の企業・組織を表彰するものとされています。

今年は、世界から合計16の企業・組織が表彰されました。
※レポート(英文)はコチラ

Broad Group (中国:製造業)
Equity Bank (ケニア:金融サービス業)
Florida Ice & Farm (コスタリカ:消費財メーカー)
Grupo Balbo (ブラジル:農業)
Jain Irrigation Systems (インド:製造業)
Manila Water Company (フィリピン:インフラ)
Masisa (チリ:林業/製造業)
MTR Corporation (香港:輸送業)
Natura (ブラジル:消費財メーカー)
New Britain Palm Oil (パプアニューギニア:農業)
Sekem (エジプト:農業)
Shree Cement (インド:セメント)
Suntech (中国:再生可能エネルギー)
Suzlon (インド:再生可能エネルギー)
Woolworths (南アフリカ:小売業)
Zhangzidao Fishery Group (中国:農業)

この審査にあたっての評価基準は、以下となっています。

1. イノベーションにより、積極的に活動制約を機会に転換した
  - 不足する資源に対処した
  - 顧客を教育した
  - 顧客に適切な資金を供給した
2. 企業文化の中にサステナビリティを埋め込んだ
  - 大胆にサステナビリティビジョンを定義した
  - サステナビリティ向上を日々のオペレーションの中に組み込んだ
  - サステイナビリティ向上のための人事施策を導入した
3. ビジネス環境を主体的に生成した
  - 政策や基準策定に影響力を発揮した
  - 共通目的の達成のためのパートナーシップを締結した
  - サステナビリティの重要性を周囲に認知させた
4. 同業界の他社より財務成績が良い


※出所:World Economic Forum “Redefining the Future of Growth”

それではここから、それぞれの受賞企業と受賞理由を紹介していきます。

〇 Broad Group

・本社所在地:中国・長沙
・従業員数:約2000人
・事業内容:電気を使わないエアコンの製造および設置
・売上高:USD379 million (2008)
・電気供給不足の中、エアコンの普及率が進む中国において、電気の代わりに天然ガスと臭化リチウ
 ムの混合溶液を使うエアコンを開発し、現在、非電気エアコンマーケットシェア国内50%。
・電気式エアコンに比べ、電気効率は2倍。二酸化炭素排出量は1/4に削減。
・製品は70か国に輸出されている。
・エネルギー効率を高める技術開発を重視し、その他のエコ製品を多数上市。
・従業員用住宅無料化、ジム完備、オーガニック料理提供など従業員福利厚生も充実。

Equity Bank

・本社所在地:ケニア・ナイロビ
・事業内容:農業銀行
・売上高:USD274 million (2010)
・国民の3/4が農業に従事するケニアで、農家の生活改善に寄与する金融サービスを幅広く提供。
・農地の肥沃化や肥料への融資のほか、農家への金融教育なども実施。
・ケニアの携帯電話会社Safaricomと提携し、携帯電話上での情報サービスも展開。
・長期的なシナリオに基づく、経営戦略や事業計画を策定。
・数多くの国際機関やNGOと協働。

〇 Florida Ice & Farm

・本社所在地:コスタリカ・サンホセ
・事業内容:飲食料品製造・販売
・売上高:USD571 million (2010)
・トリプルボトムライン経営を実施。環境、社会的な指標を利益と同程度に重要視。
・例えば飲料品製造における水資源消費量を半分以下にまで削減。
・経営陣のパフォーマンス評価もトリプルボトムラインの指標を活用。
・トリプルボトムライン経営を他社へ広げるべく、政府やNPOと協働しノウハウを体系化。

〇 Grupo Balbo

・本社所在地:ブラジル・サンパウロ
・事業内容:製糖業
・売上高:USD350 million (2010)
・農薬や肥料が生物多様性に悪影響を与える製糖業において、20年前から無農薬製糖を実施。
・当初は低生産に悩んだが、現在は微生物農法を確立し、業界平均より20%高い生産性を実現。
・ノウハウを広く普及さえるため、情報を広く公開。
・政府と協働し、無農薬製糖の認証制度の制定を推進。

〇 Jain Irrigation Systems

・本社所在地:インド・ジャルガオン
・事業内容:農業用灌漑設備メーカー
・売上高:USD820 million (2010)
・水資源の希少性が増すインドで、水利用効率を高める細流灌漑設備を小規模農家に提供。
・肥料、水、農薬などの利用ノウハウも併せて伝授し、生産性向上とコスト削減を同時に実現。
・灌漑への投資を可能とするため、農家の政府補助金獲得や金融機関からの融資獲得を支援。
・灌漑ノウハウを教育するため、地域人材採用を重視。
・地域イベントの参加など、地域に溶け込んだプロモーションを実施。

〇 Manila Water Company

・本社所在地:フィリピン・マニラ
・事業内容:水供給業
・売上高:USD415 million (2010)
・慢性的な水供給不足に悩むマニラにて、地域と一体となり水供給網を確立。
・新設備を導入し、供給過程で失われる浪費水量を大幅に削減。
・地域社会と協働し、盗水を監視し、水の安定供給を強化。
・二酸化炭素排出量など環境指標を経営に導入。

〇 Masisa

・本社所在地:チリ・サンティアゴ
・事業内容:林業および木工業
・売上高:USD1,080 million (2010)
・森林伐採が進むラテンアメリカで、持続可能な林業・木工業を推進。
・30000人の大工をネットワーク化し、大工ノウハウの共有と生活水準向上に貢献。
・生活水準向上に伴い、持続可能な林業で生産された木材原料の購入促進を実現。
・林業の規制強化を政府と協業。
・低所得者層向けビジネスプランを従業員から広く募集し、事業化。

〇 MTR Corporation

・本社所在地:中国・香港
・事業内容:公共交通機関
・売上高:USD4,316 million (2010)
・人口密度の高い香港にて、環境・社会への影響を最小限にとどめた交通網整備を推進。
・人に優しい駅構内整備や、美観を意識した公園設計などを実施。
・リスクマネジメントや利害関係者の関心を経営戦略に盛り込む。
・中国で最初にサステナビリティレポートを発行。

〇 Natura

・本社所在地:ブラジル・サンパウロ
・事業内容:コスメティクス製造・販売
・売上高:USD3,047 million (2010)
・政府、NGO、地域と協働して設定した環境持続可能性基準を順守した原材料調達を実施。
・地域との信頼関係構築に成功し、地域からの原材料調達やノウハウ獲得で強みを発揮。
・製品の容器にリサイクル容器を用い、環境負荷をさらに削減。
・管理職層や利害関係者に対する持続可能性教育に多額資金の投資。
・地域社会への啓蒙活動を行うNPOを設立。

〇 New Britain Palm Oil

・本社所在地:パプアニューギニア・モサ
・事業内容:パーム油等製造・販売
・売上高:USD470 million (2010)
・パーム生産を草原や荒廃林地に限定し、原生林を保護。
・パーム供給者に対して認証を発行し、サステイナブルなパーム生産を義務化。
・パーク農場において、購入ではなく貸借形態をとり、地域社会に利益を還元。
・NGOとの協働を積極化し、地域社会との信頼関係構築を実現。
・パーム油のトレーサビリティを確立。

〇 Sekem

・本社所在地:エジプト・カイロ
・事業内容:オーガニック食材酪農業
・売上高:USD34 million (2009)
・微生物を活用した有機農法にて、健康食品から乳製品、蜂蜜などを栽培・生産。
・有機廃棄物は微生物分解により肥料として再利用。
・無期廃棄物は紙資源の原料やビニール袋としてリサイクル。
・利益の最大化は目指さず、契約農家に対して利益を還元。
・設立したNGOを通じて、契約農家に対する教育活動も展開。

〇 Shree Cement

・本社所在地:インド・ビーワー
・事業内容:セメント業
・売上高:USD809 million (2010)
・エネルギー生産性を高めるためのシステムを導入。バイオマス発電所も設置。
・生産過程廃棄物「溶滓」を最小限に抑える製法を開発し、気候変動枠組条約事務局から表彰。
・粗悪石灰岩から石膏を創る技術、亜鉛鉱滓を再利用する技術、コークスによる火力発電技術を開発。
・水消費量を最小限にとどめる生産技術も開発。
・従業員に対するサステナビリティ教育も充実。
・高レベルのサステナビリティレポートを発行。競合会社も招いたノウハウ共有も実施。

〇 Suntech

・本社所在地:中国・無錫
・事業内容:太陽光発電パネルメーカー
・売上高:USD2,904 million (2010)
・太陽光発電メーカー売上高で世界トップ。単結晶型・多結晶型のエネルギー変換効率で世界トップ。
・太陽子発電パネルコストの削減に大きく寄与。
・世界中で技術者採用を実施する一方で、ローカル採用にも注力。
・保有ノウハウを他社にも共有し、業界全体をリード。
・太陽光発電の可能性を子供たちに伝え、次世代教育にも貢献。

〇 Suzlon

・本社所在地:インド・プネー
・事業内容:風力発電機メーカー
・売上高:USD4,604 million (2010)
・風力発電機で世界で高いシェアを誇る1社。発電コストの削減に大きく貢献。
・自社エネルギーは太陽光発電または風力発電にて調達。
・利用済み水や廃棄物のリサイクルも実施。
・海外管理職ポジションにローカル人材を抜擢。
・海外にて積極的に再生可能エネルギーについて市民や政治家への普及に従事。

〇 Woolworths

・本社所在地:南アフリカ・ケープタウン
・事業内容:小売量販店チェーン
・売上高:USD3,074 million (2010)
・販売製品の97%が自社ブランドの衣類・食料品小売量販店。
・衣類の原材料にオーガニック綿を使用。納入農家の教育も実施。
・サステナブル経営=経営そのものという概念を確立。
・政府と協働し、農作物基準の策定や、労働環境改善、教育などにも注力。

〇 Zhangzidao Fishery Group

・本社所在地:中国・大連
・事業内容:漁業
・売上高:USD340 million (2010)
・疑似的な捕食環境を構築する養殖手法(IMTA)を用いた漁業(ホタテ貝、ナマコ、ウニ、アワビ)を実施。
・養殖場の病気の削減、生物多様性の増加、二酸化炭素吸収量の向上を実現。
・水質および微生物活動状況を毎月モニタリング。
・研究機関と協働し、さらなる養殖技術の向上にも熱心。

以上、16社。

この16社の取り組みから、先進国だけでなく新興国でもサステイナブル経営が浸透しつつある
ことがおわかりいただけると思います。
特に、サステイブル経営を、「利益を社会に還元する」「CSRレポートを作成する」という
意味以上に、事業の根幹として経営者がとらえているということも重要なポイントです。

上記の企業たちは、
サステナブルな社会・環境をつくるための課題を、事業機会ととらえ、事業を推進し、
大きな財務成績を誇っています。

ひとつ今回の「2011年ニュー・サステナビリティ・チャンピオン」を読み解く中で、
残念に感じたことは、このチャンピオンの審査過程に、日本人が一人も参加していない
という点です。

日本企業が真の意味でグローバル企業となるための課題のひとつに、
このような「サステナブル経営」というグローバル企業の大きなトレンドを掴み、
それを推進していくということがありそうです。

もっと日本人が世界のサステナビリティ活動に推進に大きく貢献できる
ようにしていきたいですね。

先日、世界のメガソーラー(大規模太陽光発電)の世界の状況についてレポートしたのに続き、
今回は、世界の風力発電の状況をご紹介したいと思います。

世界の風力発電の大規模化は、太陽光発電を大きく凌駕する勢いで進んでいます。
例えば、現在の世界最大規模の太陽光発電所は、カナダのSarnia で92MW。
一方、現在の世界で最大規模の風力発電所は、アメリカのRoscoe で781.5MW。
8倍以上の開きがあります。
さらに、風力発電所の大規模化は今後も大きく進むと予想され、
中国は5000MWを超える超巨大風力発電所を2020年に甘肃省にオープンする
ことを発表しています。
※世界の風力発電所ランキングについては後述します。

世界の風力発電は、2006年あたりから、急速に造塊しています。
世界風力エネルギー協議会(Global Wind Energy Council: 通称GWEC)が
発表している、世界の風力発電トップ12か国を見てみましょう。


※出所:GWECレポート Global Wind Report 2010, 2009, 2008

ご覧いただくと、中国、アメリカ、ドイツ、スペイン、インドが
世界の風力発電を大きくリードしていることがわかります。

ドイツ、スペインは太陽光発電の分野でも世界をリードしており、
再生可能エネルギー全般にを政府が全面的に後押ししていますが、
その両国を超えるスピードで、中国、アメリカ、インドでは、
風力発電の建設が進んでいます。
中国は2010年ついに累積風力発電量で世界トップとなりました。

続いて、大規模風力発電所の状況を紹介します。
風力発電所はその立地により、オンショア風力発電(陸上風力発電)と
オンショア風力発電(洋上風力発電)に大きく分けられます。

大規模化が著しく進んでいるのは、建設コストが少ないオンショア風力発電です。

オンショア風力発電出力量の世界ランキングトップ35>

オフショア風力発電出力量の世界ランキングトップ35>

オンショア風力発電の分野では、アメリカ、特にテキサス州での建設が目立ちます。
理由としては、テキサス州政府が発令している送電網の電力会社(風力発電電気の買い手)
負担政策が挙げられます。
この政策により、
風力の強いテキサス州の荒地から都市部などの電力消費エリアに送電するコストが軽減され、
風力発電の発電事業者が積極的に大規模風力発電所を建設できるようになりました。

オフショア風力発電の分野では、イギリスとデンマークの存在が目立ちます。
両国ともに、風力発電量全体としては、それぞれランキング8位、11位ですが、
オフショア風力発電の分野では、世界を牽引しています。
特にデンマークは、国営企業Vattenfallと、国営色の濃いエネルギー企業DONG Energyが、
自国内だけの発電量増加だけでなく、積極的に近隣諸国に展開し、
発電プラントを積極的に建設しています。

一方、イギリスは、オフショア風力発電の一層の促進を計画しています。
2010年1月イギリス政府は、オフショア風力発電のライセンスを大規模に発行。
世界最大となる9,000MW規模の発電所をはじめ、
超巨大風力発電所が複数誕生する予定となっています。


※出所:BBC News

今回はデータを中心に紹介しましたが、各国の事情については、
今後紹介していきたいと思います。

sustainable japan

電力・エネルギー等サステナビリティに関する最新トピックスは、Sustainable Japanに掲載しています。御覧ください!

東日本大震災から半年が経過した9/11。
野田内閣ではじめての東日本大震災復興対策本部が開催されました。

今回の対策本部は、震災復興において、
短期的な復旧を担当する「緊急災害対策本部」、
さらに、原子力災害からの復旧復興を担当する「原子力災害対策本部」
とあわせた三本部合同対策本部の形式をとっています。

この日の議論では、菅内閣時に制定された復興基本方針や、
復旧・復興に関する現状、および政府の体制について、
8月末に各本部事務局(官僚)でまとめられた資料が、本部員に共有されました。
この共有の目的は、概して、前内閣からの連続的な本部運営の実現と、
新たな内閣での変更要望や修正要望の有無が確認されていくことにあります。

そのため、会議の議事では、実質的な対策の議論よりも、
新メンバーに対するインプットに比重が置かれていrます。

この新政権誕生を見越して、各本部事務局では、内閣が変わる直前の8月末に、
前内閣における現状認識、方向性、取組内容に関するまとめ作業が、
急ピッチで進められ、前内閣の最終会議にて内容確認が行われていました。
責任ある業務遂行を続けるための、官僚の知恵だと考えられます。

また、この会議では、政府が、国際原子力機関(IAEA)に対して報告する
福島原子力発電所のレポートについても、内容の確認(オーソライズ)が
行われました。

会議で共有された資料
1. 復旧の現状と主な課題への取組(復興対策本部のこれまでの取組のまとめ)
2. 被災地域の復旧の状況等(データ編)(現地の復旧状況の詳細データ)
3. 復興基本方針のポイント(菅内閣でまとめた復興基本方針のまとめ)
4. 除染に関する緊急実施基本方針
5. 国際原子力機関に対する日本国政府の追加報告書
-東京電力福島原子力発電所の事故について-(第2報)(概要)(案)

6. 国際原子力機関に対する日本国政府の追加報告書
-東京電力福島原子力発電所の事故について-(第2報)(案)(日本語版)

7. 国際原子力機関に対する日本国政府の追加報告書
-東京電力福島原子力発電所の事故について-(第2報)(概要)(案)(英語版)

この会議に参加した「東日本大震災復興対策本部」「緊急災害対策本部」
「原子力災害対策本部」の構成員は、
基本的には菅内閣時のメンバーが踏襲されています。
組閣時にも組織運営の連続性が考慮され、平野復興対策担当大臣や、
担当副大臣、担当政務官や事務局の官僚についても、
基本的には再任されています。

大きな構成員の変化となったのは、原子力災害対策を担う経済産業省および
環境省の大臣変更ですが、
その鉢呂経済産業大臣については、突然の辞職に伴い、
経済産業大臣不在の会議となりました。

以下、各本部の構成員の一覧です。

目次

東日本大震災復興対策本部
岩手現地対策本部
宮城現地対策本部
福島現地対策本部
東日本大震災復興構想会議
東日本大震災復興構想会議・専門委員会
内閣官房復興庁設置準備室

緊急災害対策本部
現地対策本部(宮城県庁内)
現地連絡室(岩手・福島県庁内)
被災者・生活支援チーム
震災・ボランティア連携室

原子力災害対策本部
政府・東京電力統合対策室(東京電力内)
現地対策本部(福島県庁内)
原子力災害合同対策協議会
原子力被災者生活支援チーム
原発事故経済被害対応チーム
東京電力に関する経営・財務調査委員会
内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室(通称:原子力安全庁設置準備室)

■ 東日本大震災復興対策本部

東日本大震災復興対策本部

本部長:  野田佳彦(内閣総理大臣)
副本部長: 藤村修(内閣官房長官・経済産業大臣代理)
      平野達男(復興対策担当大臣)
本部員:  川端達夫(総務大臣・内閣府特命担当大臣)
      平岡秀夫(法務大臣)
      玄葉光一郎(外務大臣)
      安住淳(財務大臣)
      中川正春(文部科学大臣)
      小宮山洋子(厚生労働大臣)
      鹿野道彦(農林水産大臣)
      枝野幸男(経済産業大臣)
      前田武志(国土交通大臣)
      細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
      一川保夫(防衛大臣)
      山岡賢次(国家公安委員会委員長)
      自見庄三郎(内閣府特命担当大臣)
      古川元久(内閣府特命担当大臣)
      蓮舫(内閣府特命担当大臣)
      齋藤勁(内閣官房副長官)
      長浜博行(内閣官房副長官)
      竹歳誠(内閣官房副長官)
      津川祥吾(岩手現地対策本部長・国土交通大臣政務官)
      郡和子(宮城現地対策本部長・内閣府大臣政務官・対策本部本部長補佐)
      吉田泉(福島現地対策本部長・財務大臣政務官)
      後藤斎(内閣府副大臣・対策本部本部長補佐)
      松下忠洋(経済産業副大臣)
      浜田和幸(外務大臣政務官)
幹事:   山本庸幸(内閣法制次長)
      浜野潤(内閣府事務次官)
      安藤隆春(警察庁長官)
      畑中龍太郎(金融庁長官)
      福嶋浩彦(消費者庁長官)
      岡本保(総務事務次官)
      大野恒太郎(法務事務次官)
      佐々江賢一郎(外務事務次官)
      勝栄二郎(財務事務次官)
      清水潔(文部科学事務次官)
      阿曽沼慎司(厚生労働事務次官)
      町田勝弘(農林水産事務次官)
      安達健祐(経済産業事務次官)
      宿利正史(国土交通事務次官)
      南川秀樹(環境事務次官)
      中江公人(防衛事務次官)
事務局長: 峰久幸義(内閣官房内閣審議官・元国土交通事務次官)
事務局次長:岡本全勝(内閣官房内閣審議官・前内閣府大臣官房審議官)
      上田健(内閣官房内閣審議官・前国土交通省大臣官房審議官)
      佐川宣寿(内閣官房内閣審議官・前財務省大臣官房審議官)
事務局員: 参事官(25人以内)を含め62人 (事務局体制の詳細はコチラ

岩手現地対策本部

本部長:  津川祥吾(国土交通大臣政務官)
本部員:  関係地方行政機関の長
事務局長: 井上明(内閣官房内閣審議官・前水産庁資源管理部長)
事務局員: 常駐4人、非常勤20人

宮城現地対策本部

本部長:  郡和子(内閣府大臣政務官)
本部員:  関係地方行政機関の長
事務局長: 沢田和宏(内閣官房内閣審議官・前国土交通省東北地方整備局副局長)
事務局員: 常駐4人、非常勤20人

福島現地対策本部

本部長:  吉田泉(財務大臣政務官)
本部員:  関係地方行政機関の長
事務局長: 諸橋省明(内閣官房内閣審議官・前総務省自治財政局公営企業課長)
事務局員: 常駐4人、非常勤20人

東日本大震災復興構想会議

議長:   五百籏頭真(防衛大学校長、神戸大学名誉教授)
議長代理: 安藤忠雄(建築家、東京大学名誉教授)
      御厨貴(東京大学教授)
特別顧問: 梅原猛(哲学者)
委員:   赤坂憲雄(学習院大学教授、福島県立博物館館長)
      内館牧子(脚本家)
      大西隆(東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻教授)
      河田恵昭(関西大学社会安全学部学部長・教授、阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター長)
      玄侑宗久(臨済宗福聚寺住職、作家)
      佐藤雄平(福島県知事)
      清家篤(慶應義塾塾長)
      高成田享(仙台大学教授)
      達増拓也(岩手県知事) 
      中鉢良治(ソニー株式会社代表執行役副会長)
      橋本五郎(読売新聞特別編集委員)
      村井嘉浩(宮城県知事)

東日本大震災復興構想会議・専門委員会

部会長:  飯尾潤(政策研究大学院大学教授)
部会長代理:森民夫(全国市長会会長、長岡市長)
専門委員: 五十嵐敬喜(法政大学法学部教授)
      池田昌弘(東北関東大震災・共同支援ネットワーク事務局長、
       特定非営利活動法人全国コミュニティライフサポートセンター理事長)
      今村文彦(東北大学大学院工学研究科附属災害制御研究センター教授)
      植田和弘(京都大学大学院経済学研究科教授)
      大武健一郎(大塚ホールディングス株式会社代表取締役副会長)
      玄田有史(東京大学社会科学研究所教授)
      河野龍太郎(BNPパリバ証券経済調査本部長・チーフエコノミスト)
      西郷真理子(都市計画家)
      佐々木経世(イーソリューションズ株式会社代表取締役社長)
      荘林幹太郎(学習院女子大学教授)
      白波瀬佐和子(東京大学大学院人文社会系研究科教授)
      神成淳司(慶応義塾大学環境情報学部准教授)
      竹村真一(京都造形芸術大学教授)
      團野久茂(日本労働組合総連合会副事務局長)
      馬場治(東京海洋大学海洋科学部教授)
      広田純一(岩手大学農学部共生環境課程学系教授)
      藻谷浩介(株式会社日本政策投資銀行地域振興グループ参事役)

内閣官房復興庁設置準備室
室長:   竹歳誠(内閣官房副長官)
室長代理: 佐々木豊成(内閣官房副長官補)
      峰久幸義(東日本大震災復興対策本部事務局長)
室メンバー:次長1名、審議官2名、参事官11名、事務官17名

■ 緊急災害対策本部

緊急災害対策本部

本部長:  野田佳彦(内閣総理大臣)
副本部長: 藤村修(内閣官房長官・経済産業大臣代理)
      平野達男(防災担当大臣)
      川端達夫(総務大臣・内閣府特命担当大臣)
      一川保夫(防衛大臣)
本部員:  平岡秀夫(法務大臣)
      玄葉光一郎(外務大臣)
      安住淳(財務大臣)
      中川正春(文部科学大臣)
      小宮山洋子(厚生労働大臣)
      鹿野道彦(農林水産大臣)
      枝野幸男(経済産業大臣)
      前田武志(国土交通大臣)
      細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
      山岡賢次(国家公安委員会委員長)
      自見庄三郎(内閣府特命担当大臣)
      古川元久(内閣府特命担当大臣)
      蓮舫(内閣府特命担当大臣)
      後藤斎(内閣府副大臣)
      伊藤哲朗(内閣危機監理官)

現地対策本部(宮城県庁内)

本部長:  郡和子(内閣府大臣政務官)

現地連絡室(岩手・福島県庁内)

室長:   津川祥吾(国土交通大臣政務官)
      吉田泉(財務大臣政務官)

被災者・生活支援チーム

チーム長:  平野達男(防災担当大臣)
チーム長代理:川端達夫(総務大臣)
       齋藤勁(内閣官房副長官)

震災・ボランティア連携室

担当大臣:  平野達男(復興対策担当大臣)
室長:    湯浅誠(内閣府参与)

■ 原子力災害対策本部

原子力災害対策本部

本部長:  野田佳彦(内閣総理大臣)
副本部長: 不在 → 枝野幸男(経済産業大臣)
事務総長: 細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
本部員:  川端達夫(総務大臣・内閣府特命担当大臣)
      平岡秀夫(法務大臣)
      玄葉光一郎(外務大臣)
      安住淳(財務大臣)
      中川正春(文部科学大臣)
      小宮山洋子(厚生労働大臣)
      鹿野道彦(農林水産大臣)
      前田武志(国土交通大臣)
      細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
      一川保夫(防衛大臣)
      藤村修(内閣官房長官・経済産業大臣代理)
      山岡賢次(国家公安委員会委員長)
      平野達男(内閣府特命担当大臣)
      自見庄三郎(内閣府特命担当大臣)
      古川元久(内閣府特命担当大臣)
      蓮舫(内閣府特命担当大臣)
      松下忠洋(経済産業副大臣)
      伊藤哲朗(内閣危機監理官)
陪席:   班目春樹(原子力安全委員会委員長)

政府・東京電力統合対策室(東京電力内)

連絡担当責任者:不在 → 枝野幸男(経済産業大臣)
連絡担当者:  細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)

現地対策本部(福島県庁内)

本部長:    柳澤光美(経済産業大臣政務官)

原子力災害合同対策協議会

現地対策本部長:柳澤光美(経済産業大臣政務官)

原子力被災者生活支援チーム

チーム長:   細野豪志(環境大臣・内閣府特命担当大臣)
        不在 → 枝野幸男(経済産業大臣)
チーム長代理: 齋藤勁(内閣官房副長官)
事務局長:   松下忠洋(経済産業副大臣)

原発事故経済被害対応チーム

チーム長:   不在 → 枝野幸男(原子力被害・経済被害担当大臣)
副チーム長:  藤村修(内閣官房長官)
        安住淳(財務大臣)
        中川正春(文部科学大臣)

東京電力に関する経営・財務調査委員会

委員長:   下河辺和彦(弁護士)
委員:    引頭麻実(株式会社大和総研執行役員)
       葛西敬之(東海旅客鉄道株式会社代表取締役会長)
       松村敏弘(東京大学社会科学研究所教授)
       吉川廣和(DOWAホールディングス株式会社代表取締役会長)

内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室(通称:原子力安全庁設置準備室)

室長:    森本英香(内閣官房内閣審議官・前環境省審議官)
室メンバー: 副室長3名、参事官5名、事務官28名

[注] 2012年1月13日に発足した野田改造内閣の主要人事一覧はコチラ
   2012年6月5日に発足した野田第二次改造内閣の主要人事一覧はコチラ
   2012年10月1日に発足した野田第三次改造内閣の主要人事一覧はコチラ

野田佳彦内閣の主要人事が固まりました。
どのような人々が、震災復興と日本の将来を議論するポジションについたのか、
まとめてみました。

※氏名の後の括弧内は野田内閣組閣時の前職または以前の職
※敬称略

目次
内閣
民主党
首相官邸
内閣官房
内閣法制局
内閣府
総務省
法務省
外務省
財務省
文部科学省
厚生労働省
農林水産省
経済産業省
国土交通省
環境省
防衛省
衆議院
参議院

内閣

内閣総理大臣:野田佳彦(財務大臣)

内閣官房長官:藤村修(民主党幹事長代理)

総務大臣
兼内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当)
兼内閣府特命担当大臣(地域主権推進担当)
兼特命事項(地域活性化担当):川端達夫(衆議院議院運営委員長)

法務大臣:平岡秀夫(総務副大臣)

外務大臣:玄葉光一郎(内閣府特命担当大臣/新しい公共・科学技術政策担当、
           特命事項/国家戦略・宇宙開発担当)

財務大臣:安住淳(民主党国会対策委員長)

文部科学大臣:中川正春(衆議院予算委員会筆頭理事)

厚生労働大臣:小宮山洋子(厚生労働副大臣)

農林水産大臣:鹿野道彦(農林水産大臣)

経済産業大臣
兼特命事項(原子力被害・経済被害担当):鉢呂吉雄(衆議院政治倫理審査会会長・民主党副代表)→ 枝野幸男(内閣官房長官)
                   
国土交通大臣
兼特命事項(海洋政策担当):前田武志(参議院予算委員長)

環境大臣
兼内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構担当)
兼特命事項(原発事故の収束及び再発防止担当):細野豪志(内閣府特命担当大臣/原子
  力損害賠償支援機構担当、特命事項/節電啓発・原発事故の収束及び再発防止担当)

防衛大臣:一川保夫(民主党政調会長代理)

国家公安委員長
兼内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全担当)
兼内閣府特命担当大臣(拉致問題担当):山岡賢次(民主党副代表兼代議士会長)

内閣府特命担当大臣(防災担当)
兼特命事項(東日本大震災復興対策担当):平野達男(内閣府特命担当大臣/防災担当、
  特命事項/東日本大震災復興対策担当)

内閣府特命担当大臣(金融担当)
兼特命事項(郵政改革担当):自見庄三郎(内閣府特命担当大臣/金融担当、
  特命事項/郵政改革担当)

内閣府特命担当大臣(経済財政政策担当)
兼内閣府特命担当大臣(科学技術政策担当)
兼特命事項(国家戦略担当)
兼特命事項(社会保障・税一体改革担当)
兼特命事項(宇宙開発担当):古川元久(民主党代表代行補佐)

内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)
兼内閣府特命担当大臣(新しい公共担当)
兼内閣府特命担当大臣(少子化対策担当)
兼内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)
兼特命事項(公務員制度改革担当):蓮舫(内閣総理大臣補佐官)

      

民主党

代表:野田佳彦(財務大臣)
最高顧問:羽田孜(最高顧問)
     渡部恒三(最高顧問・倫理委員長)
     鳩山由紀夫(民主党新しい公共調査会会長)
     菅直人(内閣総理大臣)
     江田五月(法務大臣)
     岡田克也(民主党幹事長)
     藤井裕久(内閣総理大臣補佐官)
幹事長兼参議院議員会長:輿石東(民主党参議院議員会長)
政策調査会長:前原誠司(民主党懲罰委員会委員)
国会対策委員長:平野博文(衆議院安全保障委員長)
参議院幹事長:平田健二(民主党参議院幹事長)→小川敏夫(参議院議院運営委員会筆頭理事)
参議院国会対策委員長:羽田雄一郎(民主党参議院国会対策委員長)
副代表:北澤俊美(防衛大臣)
    直嶋正行(参議院共生社会・地域活性化調査会長)
    岡崎トミ子(民主党副代表兼懲罰委員会理事)
    田中慶秋(衆議院経済産業委員長)
幹事長代行:樽床伸二(衆議院国家基本政策委員長)
幹事長代理:城島光力(民主党政策調査会長代理)
総括副幹事長:阿久津幸彦(内閣府大臣政務官)
       樋高剛(環境大臣政務官)
       松井孝治(参議院内閣委員長)
政策調査会長代行:仙谷由人(内閣官房副長官)
政策調査会長代理:三井辨雄(国土交通副大臣)
         櫻井充(財務副大臣)
政策調査会筆頭副会長:大島敦(民主党政策調査会内閣部門会議座長)
政策調査会各調査会長
 税務調査会長:藤井裕久(内閣総理大臣補佐官)
 経済財政・社会調査会長:仙谷由人(内閣官房副長官)
 憲法調査会長:中野寛成(国家公安委員会委員長)
 男女共同参画調査会長:小川勝也(防衛副大臣)
 地域主権調査会長:海江田万里(経済産業大臣)
政策調査会座長
 内閣部門会議:田村謙治(民主党政策調査会国土交通部門会議座長)
 財務金融部門会議:大久保勉(参議院財政金融委員会委員)
 総務部門会議:加賀谷健(参議院総務委員会筆頭理事)
 法務部門会議:松野信夫(参議院倫理・選挙特別委員会委員)
 外務部門会議:菊田真紀子(衆議院外務委員会委員)
 防衛部門会議:榛葉賀津也(参議院外交防衛委員会筆頭理事)
 文部科学部門会議:鈴木寛(文部科学副大臣)
 厚生労働部門会議:長妻昭(民主党筆頭副幹事長)
 農林水産部門会議:郡司彰(参議院農林水産委員会筆頭理事)
 経済産業部門会議:中山義活(経済産業大臣政務官)
 国土交通部門会議:松崎哲久(民主党政策調査会文部科学部門会議座長)
 環境部門会議:横山北斗(衆議院議院運営委員会理事)
 決算・行政監視部門会議:階猛(衆議院内閣委員会理事)
政策調査会PT座長
 経済連携PT:鉢呂吉雄(衆議院政治倫理審査会会長・民主党副代表)
 東日本大震災・復旧・復興PT:櫻井充(財務副大臣)
 成長戦略PT:直嶋正行(参議院共生社会・地域活性化調査会長)
 消費者問題PT:岡崎トミ子(民主党副代表兼懲罰委員会理事)
 公務員制度改革・総人件費改革PT:大島敦(民主党政策調査会内閣部門会議座長)
 水政策PT:三井辨雄(国土交通副大臣)
 鳥獣対策PT:佐々木隆博(衆議院農林水産委員会理事)
国会対策委員長代理:松本剛明(外務大臣)
          加藤公一(民主党議院運営委員会理事)
常任幹事会議長:中野寛成(国家公安委員会委員長)
選挙対策委員長:高木義明(文部科学大臣)
総務委員長:田中直紀(参議院倫理・選挙委員長)
財務委員長:武正公一(民主党選挙対策筆頭副委員長)
組織委員長:古本伸一郎(民主党常任理事)
広報委員長:広野ただし(民主党参議院議員副会長)
企業団体対策委員長:池口修次(国土交通副大臣)
国民運動委員長:近藤洋介(民主党統括副幹事長)
両院議員総会長:直嶋正行(参議院共生社会・地域活性化調査会長)
代議士会長:細川律夫(厚生労働大臣)
中央代表選挙管理委員長:岡崎トミ子(民主党副代表兼懲罰委員会理事)
会計監査:沓掛哲男(民主党会計監査)
     大石尚子(参議院懲罰委員長)
倫理委員長:北澤俊美(防衛大臣)

    

首相官邸

内閣総理大臣補佐官
 東日本大震災復興対策担当:末松義規(内閣府副大臣)
 政治主導による政策運営及び国会対策担当:手塚仁雄(民主党総括副幹事長)
 外交及び安全保障担当:長島昭久(民主党国会対策副委員長)
 内政の重要政策に関する省庁間調整担当:本多平直(民主党副幹事長)
 政治主導による政策運営及び国会対策担当:水岡俊一(民主党参議院国会対策委員長代理)

内閣総理大臣秘書官
 政務担当:河井淳一(村田蓮舫政務秘書官)
 事務担当:金杉憲治(外務省アジア大洋州局兼南部アジア部参事官)
      太田充(財務相主計局次長)
      前田哲(内閣総理大臣秘書官・防衛省出身)
      吉田学(厚生労働省保険局総務課長)
      寺沢達也(経済産業省通商政策局通商機構部長)
      山下史雄(警察庁総務課長)

      

内閣官房

内閣総理大臣:野田佳彦(財務大臣)
内閣官房長官:藤村修(民主党幹事長代理)
内閣官房副長官
 衆議院担当:齋藤勁(民主党衆議院議員)
 参議院担当:長浜博行(民主党参議院議員)
 事務担当:竹歳誠(国土交通事務次官)
内閣危機管理監:伊藤哲朗(内閣危機監理監)
内閣官房副長官補:佐々木豊成(内閣官房副長官補・財務省出身)
内閣官房副長官補:河相周夫(内閣官房副長官補・外務省出身)
内閣官房副長官補:櫻井修一(防衛省運用企画局長)
内閣広報官:千代幹也(内閣広報官・国土交通省出身)
内閣情報官:植松信一(内閣情報官・警察庁出身)

      

内閣法制局

内閣法制局長官:梶田信一郎(内閣法制局長官)
内閣法制次長:山本庸幸(内閣法制次長)

      

内閣府

内閣総理大臣:野田佳彦(財務大臣)
内閣官房長官:藤村修(民主党幹事長代理)
内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、地域主権推進):川端達夫(衆議院議院運営委員長)
内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全):山岡賢次(民主党副代表兼代議士会長)
内閣府特命担当大臣(経済財政政策、科学技術政策):古川元久(民主党代表代行補佐)
内閣府特命担当大臣(原子力損害賠償支援機構):細野豪志(内閣府特命担当大臣/原子力損害賠償支援機構)
内閣府特命担当大臣(防災):平野達男(内閣府特命担当大臣/防災)
内閣府特命担当大臣(行政刷新、新しい公共、少子化対策、男女共同参画):蓮舫(内閣総理大臣補佐官)
内閣府副大臣:石田勝之(衆議院財政金融委員長)
       後藤斎(衆議院経済産業委員会筆頭理事)
       中塚一宏(民主党総務委員長代理)
内閣府大臣政務官:郡和子(民主党政策調査会副会長)
         大串博志(衆議院財務金融委員会理事)
         園田康博氏(内閣府大臣政務官)
内閣府事務次官:浜野潤(内閣府事務次官)
警察庁長官:安藤隆春(警察庁長官)
金融庁長官:畑中龍太郎(金融庁長官)
消費者庁長官:福嶋浩彦(消費者庁長官)

      

総務省

総務大臣:川端達夫(衆議院議院運営委員長)
総務副大臣:黄川田徹(衆議院震災復興委員長)
      松崎公昭(衆議院倫理・選挙委員長)
総務大臣政務官:福田昭夫(衆議院総務委員会理事)
        主濱了(参議院農林水産委員長)
        森田高(総務大臣政務官)
総務事務次官:岡本保(総務事務次官)

      

法務省

法務大臣:平岡秀夫(総務副大臣)
法務副大臣:滝実(民主党総務院長)
法務大臣政務官:谷博之(民主党政策調査副会長)
法務事務次官:大野恒太郎(法務事務次官)

      

外務省

外務大臣:玄葉光一郎(内閣府特命担当大臣/新しい公共・科学技術政策担当、
           特命事項/国家開発・宇宙開発担当)
外務副大臣:山口壮(内閣府副大臣)
      山根隆治(民主党企業団体対策委員長)
外務大臣政務官:中野譲(民主党政策調査副会長)
        加藤敏幸(参議院議院運営委員会理事)
        浜田和幸(総務大臣政務官)
外務事務次官:佐々江賢一郎(外務事務次官)

      

財務省

財務大臣:安住淳(民主党国会対策委員長)
財務副大臣:五十嵐文彦(財務副大臣)
      藤田幸久(参議院財務金融委員長)
財務大臣政務官:三谷光男(民主党選挙対策副委員長)
        吉田泉(財務大臣政務官)
財務事務次官:勝栄二郎(財務事務次官)

      

文部科学省

文部科学大臣:中川正春(衆議院予算委員会筆頭理事)
文部科学副大臣:奥村展三(衆議院拉致問題委員長)
        森裕子(参議院予算委員会理事)
文部科学大臣政務官:城井崇(衆議院文部科学委員会理事)
          神本美恵子(民主党中央代表選挙管理委員会委員)
文部科学事務次官:清水潔(文部科学事務次官)

      

厚生労働省

厚生労働大臣:小宮山洋子(厚生労働副大臣)
厚生労働副大臣:牧義夫(衆議院厚生労働委員長)
        辻泰弘(参議院国家基本政策委員会理事)
厚生労働大臣政務官:藤田一枝(民主党政策調査副会長)
          津田弥太郎(参議院厚生労働委員長)
厚生労働事務次官:阿曽沼慎司(厚生労働事務次官)

      

農林水産省

農林水産大臣:鹿野道彦(農林水産大臣)
農林水産副大臣:筒井信隆(農林水産副大臣)
        岩本司(参議院農林水産委員会理事)
農林水産大臣政務官:仲野博子(民主党常任幹事)
          森本哲生(民主党国会対策副委員長)
農林水産事務次官:町田勝弘(農林水産事務次官)

      

経済産業省

経済産業大臣:鉢呂吉雄(民主党副代表)→ 枝野幸男(内閣官房長官)
経済産業副大臣:牧野聖修(衆議院懲罰委員会筆頭理事)
        松下忠洋(経済産業副大臣)
経済産業大臣政務官:北神圭朗(民主党企業団体対策副委員長)
          柳澤光美(参議院経済産業委員長)
経済産業事務次官:安達健祐(経済産業事務次官)

      

国土交通省

国土交通大臣:前田武志(参議院予算委員長)
国土交通副大臣:奥田建(衆議院法務委員長)
国土交通副大臣兼拉致問題担当副大臣:松原仁(衆議院海賊・テロ委員長)
国土交通大臣政務官:津川祥吾(国土交通大臣政務官)
          津島恭一(衆議院農林水産委員会筆頭理事)
          室井邦彦(民主党中央代表選挙管理委員会委員)
国土交通事務次官:宿利正史(国土交通審議官)

      

環境省

環境大臣:細野豪志(内閣府特命担当大臣/原子力損害賠償支援機構担当、特命
  事項/節電啓発・原発事故の収束及び再発防止担当)
環境副大臣:横光克彦(民主党組織委員長)
環境大臣政務官:高山智司(民主党広報委員長代理)
環境事務次官:南川秀樹(環境事務次官)

      

防衛省

防衛大臣:一川保夫(民主党政調会長代理)
防衛副大臣:渡辺周(民主党国民運動委員長)
防衛大臣政務官:下条みつ(衆議院安全保障委員会理事)
        神風英男(衆議院安全保障委員会筆頭理事)
防衛事務次官:中江公人(防衛事務次官)

    
衆議院

衆議院議長:横路孝弘(衆議院議長)
衆議院副議長:衛藤征士郎(衆議院副議長)
常任委員長
 内閣委員長:荒井聰(衆議院内閣委員長)
 総務委員長:原口一博(衆議院総務委員長)
 法務委員長:小林興起(衆議院決算行政監視委員会筆頭理事)
 外務委員長:田中真紀子(衆議院文部科学委員長)
 財務金融委員長:海江田万里(経済産業大臣)
 文部科学委員長:石毛鍈子(衆議院消費者問題委員長)
 厚生労働委員長:池田元久(経済産業副大臣)
 農林水産委員長:吉田公一(農林水産大臣政務官)
 経済産業委員長:吉田治(衆議院災害対策委員長)
 国土交通委員長:伴野豊(外務副大臣)
 環境委員長:生方幸夫(民主党選挙対策委員長代理)
 安全保障委員長:東祥三(内閣府副大臣)
 国家基本政策委員長:田中慶秋(衆議院経済産業委員長)
 予算委員長:中井洽(衆議院予算委員長)
 決算行政監視委員長:新藤義孝(衆議院決算行政監視委員長)
 議院運営委員長:小平忠正(衆議院外務委員長)
 懲罰委員長:山本有二(衆議院懲罰委員長)
特別委員長
 災害対策委員長:村井宗明(衆議院内閣委員会理事)
 倫理・選挙委員長:山田正彦(衆議院農林水産委員長)
 沖縄・北方問題委員長:北村誠吾(衆議院沖縄・北方問題委員長)
            →福井照(衆議院国土交通委員会理事)
 青少年問題委員長:高木美智代(衆議院青少年問題委員長)
          →稲津久(公明党北海道本部代表)
 海賊・テロ委員長:首藤信彦(衆議院海賊・テロ委員会理事)
 拉致問題委員長:中津川博郷(衆議院外務委員会委員)
 消費者問題委員長:青木愛(参議院消費者問題委員会理事)
 科学技術委員長:松宮勲(民主党常任幹事)
 郵政改革委員長:赤松広隆(衆議院郵政改革委員長)
 震災復興委員長:古賀一成(衆議院国土交通委員長)
政治倫理審査会会長:川内博史(衆議院科学技術委員長)
憲法審査会会長:大畠章宏(国土交通大臣)
衆議院事務総長:鬼塚誠(事務総長)

参議院

参議院議長:西岡武夫(参議院議長)→平田健二(民主党参議院幹事長)
参議院副議長:尾辻秀久(参議院副議長)
常任委員長
 内閣委員長:芝博一(内閣総理大臣補佐官)
 総務委員長:藤末健三(参議院総務委員長)
 法務委員長:西田実仁(参議院議院運営委員会理事)
 外交防衛委員長:福山哲郎(内閣官房副長官)
 財政金融委員長:尾立源幸(財務大臣政務官)
 文教科学委員長:二之湯智(参議院文教科学委員長)
         →野上浩太郎(参議院決算委員会筆頭理事)
 厚生労働委員長:小林正夫(厚生労働大臣政務官)
 農林水産委員長:小川勝也(防衛副大臣)
 経済産業委員長:前川清成(民主党倫理委員会委員)
 国土交通委員長:小泉昭男(参議院国土交通委員長)
         →岡田直樹(参議院決算委員会理事)
 環境委員長:北川イッセイ(参議院環境委員長)
       →松村祥史(参議院経済産業委員会理事)
 国家基本政策委員長:鴻池祥肇(参議院国家基本政策委員長)
           →鈴木政二(参議院議院運営委員長)
 予算委員長:石井一(民主党選挙対策委員長)
 決算委員長:鶴保庸介(参議院決算委員長)
       →山本順三(自民党参議院国会対策筆頭副委員長)
 行政監視委員長:末松信介(行政監視委員長)
         →福岡資麿(参議院政府開発援助等に関する特別委員会理事)
 議院運営委員長:鈴木政二(参議院議院運営委員長)
         →鶴保庸介(参議院決算委員長)
 懲罰委員長:今野東(参議院沖縄・北方問題委員会理事)
特別委員長
 災害対策委員長:松下新平(参議院総務委員会筆頭理事)
 沖縄・北方問題委員長:中川雅治(参議院沖縄・北方問題委員長)
            →岸信夫(参議院外交防衛委員会筆頭理事)
 倫理・選挙委員長:足立信也(参議院倫理・選挙委員会理事)
 拉致問題委員長:大塚耕平(厚生労働副大臣)
 政府開発援助委員長:中村博彦(参議院政府開発援助委員長)
           →藤井基之(参議院厚生労働委員会筆頭理事)
 消費者問題委員長:山本博司(参議院厚生労働委員会理事)
 震災復興委員長:増子輝彦(参議院経済産業委員会理事)
調査会長
 国際・地球環境調査会長:藤原正司(参議院国際・地球環境調査会長)
 国民生活・経済・社会保障調査会長:山崎力(参議院 国民生活・経済・社会保障調査会長)
                  →鴻池祥肇(参議院国家基本政策委員長)
 共生社会・地域活性化調査会長:直嶋正行(参議院共生社会・地域活性化調査会長)
政治倫理審査会会長:平田健二(参議院政治倫理審査会会長)
          →小坂憲次(自民党参議院幹事長)
参議院事務総長:橋本雅史(参議院事務総長)

8月30日、米国カリフォルニア州に本社を置く、
太陽光発電パネルメーカーのSolyndra社が、連邦倒産法第11章に基づく
申請を行い、倒産しました。
(ニュースはコチラ

Solyndra社は、CIGS型薄膜太陽光パネルメーカーとして2005年に創業。
クリーンエネルギーの担い手として、オバマ大統領からも絶賛されていました。

ベンチャー・キャピタルから10億ドル以上の資金を調達。
さらに米国エネルギー省からも「債務保証」を受け、
仮に債務不履行となった場合に、エネルギー省が負担をする契約も
とりつけていました。

2009年には、1億ドルの売上を記録しましたが、巨額の債務は山積みのままで、
エネルギー省より「債務保証」に基づき、5億3500万ドルの支払いを受けます。

しかしながら、新たな産業促進を目指したエネルギー省の政策もむなしく、
2年後に倒産。1000人以上の従業員が職を失いました。
また、血税5億3500万ドルも返済はされず、ベンチャー・キャピタルも
10億ドル以上の損失を蒙りました。

このため、アメリカでは、太陽光発電に対する政府補助に対して、
批判的な意見が巻き起こり始めました。

その中で、サステイナビリティ関連のニュースを報道するメディア、
TriplePunditは、面白い議論を展開しています。
 

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未来への教訓

Q. 太陽光発電関連企業は落ち目にあるのか?
A. ノー。世界を見渡せば、この業界は激しい競争にある。太陽光発電パネルの価格は
 著しく下がってきている。今回の問題は、Sokyndraが競争に生き残れなかったという
 だけだ。

Q. ベンチャー・キャピタルはクリーンテクノロジー新興企業への投資をやめるべきか?
A. ノー。むしろ逆で、試行錯誤プロセスは市場メカニズムだ。新興企業は失敗確率の
 高い高リスクビジネスだ。ベンチャー・キャピタルはそのリスクを心得ておくべきだ。

Q. 米国連邦政府はクリーンテクノロジー新興企業への投資をやめるべきか?
A. イエス。政府は債務をどんどん膨らましている。適切な歳出を維持することすら
 できていない。政府は、ベンチャー・キャピタルのような高いリスクをとる余裕は
 ない。これが今回の真の教訓だ。
 

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新しい技術は、競争原理の中で育ってきます。
競争原理の中では、勝者も生まれれば、敗者も生まれます。
上記のTriplePunditの教訓には、僕は合点がいきます。

The Princeton Reviewが、

北米の大学の「環境配慮度」(The Green Rating)を毎年発表しています。

ちなみに、この「環境配慮度」とは以下の項目で測定されています。

・地域産品、オーガニック食材、エコ食品への支出が食品支出全体に占める割合。
・大学が、バスのフリーパス、他の交通機関のフリーパス、自転車シェアリングや
 自転車レンタル、カーシェアリング、乗り合いバスサービスなど、車の一人乗り
 を避けるための取組をしているかどうか。
・キャンパスの持続可能性を改善するために、学生も委員として参加した公式な
 委員会を開催しているかどうか。
・新校舎建設時に、LEED Silver規格や同等規格に則っているかどうか。
・廃棄物再利用の割合。
・大学が、環境学の主専攻、副専攻、認証プログラムを設けているか。
・大学が、入学選考時に「環境リテラシー」を審査しているか。
・大学が、温室効果ガス排出の目録を作成して公開し、さらに2050年までに
 温室効果ガス排出量を80%削減する気候行動計画を採択しているか。
・大学エネルギー消費量(冷暖房含む)のうち、再生可能エネルギー(原子力、
 大規模水力発電除く)が占める割合。
・大学が、フルタイムのサステイナビリティ担当理事を置いているかどうか。

2011年のこの審査において、満点の「99点」を取得した大学は次の15校です。
※審査全体は311校。

American University (Washington DC)
Arizona State University (Tempe)
College of the Atlantic (Bar Harbor ME) Dickinson College (Carlisle PA)
Georgia Institute of Technology (Atlanta)
Harvard College (Cambridge MA)
Northeastern University (Boston MA)
Oregon State University (Corvallis)
San Francisco State University (San Francisco CA)
State University of New York – Binghamton University
University of California – Santa Cruz
University of Maine (Orono)
University of Washington (Seattle)
University of Wisconsin – Stevens Point
Virginia Tech (Blacksburg VA)
Warren Wilson College (Asheville NC)
※アルファベット順

大学の顔ぶれがどうなのかはさておき、
「環境配慮度」を上記と定義した発想は、参考になります。

昨今では、環境やサステイナビリティについての専攻を設置する
欧米の大学や大学院が増えてきていますが、
まだまだ、その質の評価については明らかになっていませんし、
その「教育の質」についての評価は未知です。

この分野を志す方々のためにも、その質の評価が待たれます。

日本で最近話題になり始めた、
「メガソーラー」と呼ばれるような大規模太陽光発電プラント。

日本の電力企業10社が加盟する電気事業連合会は、
2020年度までに全国約30地点(電力会社10社合計)で、
約140MWの太陽光発電設備を設置する「メガソーラー発電」計画を公表しています。

その中でも、最大の規模を計画しているのが東京電力。
東日本大震災より以前、2008年10月に、20MWのメガソーラーを川崎市と
協働で推進することに合意。
そして、2011年8月12日に、第1号となる「浮島太陽光発電所」(7MW)の運転開始
を開始しました。(ニュースはコチラ

また、ソフトバンク社は、2011年の5月に、
日本全国約10か所に2MW規模のメガソーラーを建設する構想を発表。
7月には全国の知事が参加する「自然エネルギー協議会」を発足。
今日現在で、北海道、岩手県、秋田県、山形県、福島県、栃木県、群馬県、
埼玉県、神奈川県、富山県、山梨県、長野県、静岡県、愛知県、三重県、
滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、和歌山県、鳥取県、徳島県、奈良県、
島根県、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県、高知県、佐賀県、
長崎県、熊本県、大分県、宮崎県の計34道府県が参加しています。

一方で、太陽光発電の高コスト体質を理由に、
メガソーラー計画に批判的な意見もあります。

そこで、今回、世界のメガソーラーの現状を見ていきたいと思います。

Solar Plazaという団体が、
世界の太陽光発電プラント(Solar Photovoltaic Plant)の
ランキングを発表してくれています。

太陽光発電所名 最大出力(MW) 発電所所有者 発電所所有者の業態 発電所建設企業 太陽光発電パネルメーカー パネルタイプ 完成年
1 カナダ Sarnia 92 Enbridge エネルギー企業 First Solar First Solar CdTe 2010
2 イタリア Montalto di Castro 84 Sunpower 太陽光発電パネルメーカー Sunpower, Sunray Sunpower c-Si 2011
3 ドイツ Finsterwalde I, II & III 83 Q-Cells 太陽光発電パネルメーカー Q-Cells Q-Cells c-Si 2010
4 イタリア Rovigo 70 First Reserve プライベート・エクイティ企業 SunEdison Canadian Solar a.o. c-Si 2010
5 スペイン Olmedilla de Alarcón 60 Nobesol Levante 太陽光発電プラント建設・売電企業 Nobesol Levante Siliken a.o. c-Si 2008
6 米国 Boulder City (Copper Mountain) 55 Sempra Generation エネルギー企業 First Solar First Solar CdTe 2010
7 ドイツ Strasskirchen 53 Q-Cells 太陽光発電パネルメーカー Q-Cells Q-Cells c-Si 2009
8 ドイツ Lieberose 53 Juwi Solar 太陽光発電プラント建設・売電企業 Juwi Solar First Solar CdTe 2009
9 スペイン Puertollano I 52 Renovalia Energy 太陽光・風力発電売電企業 Renovalia Energy Suntech, Solaria c-Si 2008
10 ポルトガル Moura (Amareleja) 46 Acciona Solar 持続可能(再生可能エネルギー、インフラ、水)施設デベロッパー Acciona Solar Yingli Solar c-Si 2008
11 ドイツ Köthen 45 Deutsche Eco 太陽光発電プラント建設・売電企業 Deutsche Eco BP Solar c-Si 2011
12 イタリア Cellino San Marco 43 AES Solar 太陽光発電プラント建設・売電企業 AES Solar First Solar CdTe 2010
13 ドイツ Waldpolenz 40 Juwi Solar 太陽光発電プラント建設・売電企業 Juwi Solar First Solar CdTe 2008
14 チェコ Ralsko 38 CEZ Group エネルギー企業 CEZ Group c-Si 2010
15 イタリア Alfonsine 36 Reno Solar, Tozzi Holding 太陽光発電プラント建設・売電企業 Reno Solar, Tozzi Holding
16 チェコ Vepřek Solar Park 35 Decci 不明 Decci PhonoSolar c-Si 2010
17 スペイン La Magascona & Magasquilla 35 Fotowatio Renewable Ventures 太陽光発電プラント建設・売電企業 Fotowatio Renewable Ventures Suntech c-Si 2008
18 スペイン Arnedo 34 T-Solar 太陽光発電プラント建設・売電企業 T-Solar 2008
19 ドイツ Reckahn 32 Belectric 太陽光発電プラント建設・売電企業 Belectric First Solar CdTe 2010
20 フランス Le Gabardan 26 EDF Energies Nouvelles 太陽光・風力発電プラント建設・売電企業 EDF Energies Nouvelles
21 ドイツ Ernsthof 34 Relatio 太陽光発電プラント建設・売電企業 Relatio LDK Solar c-Si 2010
22 スペイン Dulcinea 32 Avanzalia 太陽光・風力発電プラント建設・売電企業 Avanzalia Kyocera, Suntech c-Si 2010
23 イタリア Sant’ Alberto 35
24 スペイン Alamo (I, II, III, IV) 34 Gestamp 太陽光発電プラント建設・売電企業 Gestamp Trina Solar c-Si 2010
25 ドイツ Tutow I, II 31 Juwi Solar 太陽光発電プラント建設・売電企業 Juwi Solar, RIO Energie First Solar CdTe 2010
26 米国 Cimarron Solar Facility 30 Tri-State エネルギー企業 First Solar First Solar CdTe 2010
27 スペイン SPEX Merida/Don Alvaro 30 Deutsche Bank, ecoEnergías 銀行, 太陽光発電プラント建設・売電企業 Deutsche Bank, ecoEnergías Solarworld c-Si 2008
28 チェコ Ševětín 30 CEZ Group 太陽光発電プラント建設・売電企業 CEZ Group c-Si 2010
29 ドイツ Helmeringen 26 Gehrlicher Solar 太陽光発電プラント建設・売電企業 Gehrlicher Solar First Solar CdTe 2010
30 米国 DeSoto 25 Floride Power & Light エネルギー企業 Floride Power & Light Sunpower c-Si 2009

メガソーラー・トップ30の場所


より大きな地図で 世界の太陽光発電プラント最大出力ランキングトップ30 を表示

ここから、読み取れるものを、いくつかまとめていきたいと思います。

1. メガソーラーは、ヨーロッパ諸国に集中。

上記の30メガソーラーを国別にまとめてみると、

ドイツ  9
スペイン 7
イタリア 5
チェコ 3
米国 3
フランス 1
ポルトガル 1
カナダ 1

となり、ヨーロッパ諸国が86.7%を占めています。

実際に、ドイツ、イタリア、スペイン、チェコでは、
2007年前後から急速に太陽光発電での発電量が上昇しています。


※出所:”Photovoltaic Power Systems Programme”, IEA-PVPS, 2010
     and “Top 30 Solar PV Markets”, Solar Plaza, 2011

この背景には、
固定価格買取り制度」(Feed-in-Tariff)の存在が挙げられます。
ドイツでは2000年、チェコとイタリアでは2005年、スペインでは2007年から開始された、
固定価格買い取り制度により、太陽光発電所で発電された電力の販売価格が上昇し、
太陽光発電所運営の収益性が良くなりました。

その結果、メガソーラーの建設も進んできています。

日本でも、2011年8月26日に固定価格買い取り制度を定めた、
「再生可能エネルギー特別措置法」が成立しました。
この法律による影響については、あらためてブログでとりあげたいと思っています。
 

2. 専業者中心のヨーロッパとエネルギー会社主導の北米

ヨーロッパでは、「太陽光発電プラント建設・売電企業」が
メガソーラーの事業者となる傾向があるのに対し、
北米では、「エネルギー企業」がメガソーラー事業を牽引しています。

これは、大規模な固定価格買い取り制度や、再生可能エネルギー比率を高める
法律が整備されているヨーロッパでは、
太陽光や再生可能エネルギーを専業とした新興企業の設立を後押ししているのに対し、
まだ整備が進んでいない北米では、
資本力のある既存のエネルギー企業が、将来に向けての事業多角化や、
社会に対するブランド戦略の意味合いで、太陽光発電に取り組んでいるという違いが、
挙げられます。

また、ヨーロッパ、北米双方で、太陽光発電パネルメーカーによる、
メガソーラー運営も最近の大きな流れの一つです。
こちらについては、パネルメーカーが、製造、建設、運営までの、
一連のサプライチェーンを、垂直統合し、
利益率の上昇や、PDCAサイクルの高速回転を目指すという、
戦略上の要因が挙げられます。
 

3. 農地や荒れ地を中心とした立地

メガソーラーの立地については、
地方都市近郊の農地や荒れ地での建設が中心です。
洋上や山間部に設置されているケースは、
トップ30の中にはありません。

また、既存の地方空港の空き地を利用したメガソーラーの建設も、
ヨーロッパを中心に見られます。
 

4. 金融関係資本の投資が加速

ランキング18位のT-Solarに対し、
プライベートエクイティ世界大手のKKRがドイツの再保険会社Munich Reと共同で
49%の株式を買収したり、(ニュースはコチラ
ランキング30位のFPLが、2億5000万ドルの社債発行に成功したりと、
金融関連の資本が、メガソーラーにも集まってきています。(ニュースはコチラ
 

冒頭で紹介した、日本の電気事業連合会の14MWメガソーラー構想は、
これらの世界レベルのメガソーラーを見ると、規模が霞んで見えます。

また、ソフトバンクが打ち出している約200MW規模の構想については、
すでに、ヨーロッパ諸国では、専業メーカーにより実現されている規模であり、
規模の観点では、決して「絵空事」ではありません。

日本の太陽光発電については、
再生可能エネルギーを推進するという考えでは一致していても、
各論の推進の場面で、高コストを理由に反対する声があります。

であるならば、ポイントは、
「高コストだからダメ」で終わらせるのではなく、
いかに発電コストを削減していけるかにあるのではないでしょうか。

そのための、太陽光パネルのエネルギー変換効率の向上、
太陽光パネルおよびその部品の製造技術の向上、
低コストオペレーションのための取組の推進、
そして、その技術革新を支えるための官民資金の呼び込み。

こうした会話や取組こそが今、必要なんだと思います。

sustainable japan

電力・エネルギー等サステナビリティに関する最新トピックスは、Sustainable Japanに掲載しています。御覧ください!

「持続可能性担当マネージャー」。ときには「CSR担当マネージャー」。

日本ではまだあまり耳にすることの少ないポジションですが、
欧米のグローバル企業には広く普及してきたポジションです。
日本でも今後、このポジションを設立する企業が増えてくると
思われます。

「持続可能性担当マネージャー」とは何か。

このブログで解説しているように、
今後の企業経営において、社会や環境への影響を鑑みた意思決定は
企業そのもののサステイナビリティを考える上で不可欠になっていきます。

そうした状況下で、社会や環境をひとつのステークホルダーとしてとらえ、
このステークホルダーの視点を経営に反映していく役割を担うのが、
持続可能性(サステイナビリティ)担当マネージャーです。

このポジションに就任したら、何から手をつければいいのか。
あまりにも新しいポジションのため、多くの人は戸惑うかと思います。
「サステイナビリティ・レポート」「CSRレポート」を作成するだけであれば、
既存の広報部やIR担当部門と役割は重なってしまいます。

この疑問に対して、カナダのNPO、Network for Business Sustainabilityが、
持続可能性(サステイナビリティ)担当マネージャーに就任したら
知っておくべき10のコト
」というレポートを発表してくれています。

ここでは、その10個の内容を紹介したいと思います。

1. 持続可能性向上のための投資は回収できるか?

2. 持続可能性向上を企業文化に中に組み込むにはどうすればよいか?

3. 自社製品のサプライチェーンをより強化するにはどうすればよいか?

4. 顧客は持続可能性を向上させた製品・サービスに対価を支払うか?

5. 株主を魅了するにはどうすればよいか?

6. 自社にとって最適な環境測定指標は何か?

7. 持続可能性向上施策を通じて従業員を魅了するにはどうすればよいか?

8. 気候変動を軽減したり、リスクを回避するにはどうすればよいか?

9. 自社にとって、事業の持続可能性とはどのように定義できるか?

10. 持続可能性向上施策に関する情報収集をどうのようにすればよいか?
 

このレポートの中では、上記の質問に関する一般的な解も提供してくれています。

しかしながら、最終的に持続可能性担当マネージャーは、
上記の質問に関する回答を自社という枠に当てはめて考え、
回答を導く必要があります。

そのため、最初のステップとしては、上記の質問を回答するための情報収集を行い、
経営会議に対して報告を行った上で、
炙り出された課題点を基に、当面の活動方針を設定していくこととなります。